泉田良輔のブログ

テクノロジーアナリストの100%私見

2013-01-01から1年間の記事一覧

ビジネスモデルをデザインすることと単に理解するということは次元が違う

大学院に入学しデザインを勉強して、早くも9ヶ月が経過。 ただし、デッサンを勉強していたわけでもなくモノを作っていたわけでもありません。 システムのデザインです。 さて、証券アナリストとして一番興味があるシステムがビジネスモデル。 ビジネスモデル…

グローバル企業調査会「世界業界マップ2013-14」

世界業界マップ2013-14作者: グローバル企業調査会出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2013/05/31メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る 「世界業界マップ」の2013年版がようやく出ました。 そして先ほど手に入れました。 毎年楽…

投資情報の格差をなくす-個人投資家のための金融経済メディア"Longine(ロンジン)"

個人投資家と機関投資家の間には投資情報の格差があります。 今後、「貯蓄から投資」を促進するのであれば、この格差は必要ありません。 その格差を埋めるべく、私たちは個人投資家のための投資情報サイトを準備しています。 個人投資家のための金融経済メデ…

伊藤隆敏「インフレ目標政策」

インフレ目標政策作者: 伊藤隆敏出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2013/02/26メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (2件) を見る 2001年版も読みましたが、改訂された「インフレ目標政策」を読んでみま…

「どん底から生まれた宅急便」-ヤマト運輸の復活劇のキーワードはB2BからB2C、ライフスタイルの提案そして何かをあきらめること

どん底から生まれた宅急便作者: 都築幹彦出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2013/04/23メディア: 単行本この商品を含むブログを見る ヤマトが規制(免許)とたたかって大きくなってきたのは有名な話。 創業家2代目小倉昌男氏を支えた元社長の都築…

NECの決算説明会で証券アナリストは何を質問すべきであったのか

2013年度の減収・減益ガイダンスはさておき、ポイントは新中期経営計画。 新しい中計を遠藤社長が自身で説明するという貴重なシチュエーション。 公開情報(OSINT)で勝負するインテリジェンスにとってはもっとも重要な機会。 私に質問することが許…

朝日新聞が東芝の人事ネタに踏み込み過ぎている件-改めて日立、東芝の社長がなぜ今の顔ぶれかを考える

「おーっ」と思えた記事です。 昨日と今日の朝日新聞の「けいざい深話」で東芝のトップ人事の裏側を報道。 ただ、正直、話の内容がリアルすぎることに少々ひいてしまいます。 なぜここまで具体的に書くことができるのかということに。 朝日新聞の記事は実名…

JPMザ・ジャパンのパフォーマンスがすごすぎる件

日本株の投信がどうなってるかなぁと思い、いろいろ調べてみました。 噂には聞いていました…。 それにしても、JPモルガン「ザ・ジャパン」のパフォーマンスすごすぎます。 短期間に、投信の基準価格が2万から4万円に倍にになってるw 投信でこのパフォーマ…

アベノミクスの舞台裏と今後-政治と経済はシステムそのもの。よってトレードオフが存在する。

昨年来のインタゲ・金融緩和のアナウンスメントと黒田日銀総裁のエグゼキューション。 ここまでは、円安・株高を実現、景気も上向きかであるような演出もできました。 安倍さんとしては、100日プランの立ち上がりとしてはまずますだと思っているはずです。 …

日本がイノベーションを生み出すために絶対必要なのに見過ごされていること

多くの日本人が、気付いています。 「日本に足りないのはイノベーションだ」 「イノベーションを生み出せば、日本は再生する」 実際、毎日のように「イノベーションを起こせ」と目にしたり、耳にします。 しかし、一連の「イノベーションを起こせ」議論で欠…

「日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか」を出版します。

泉田良輔の考えたことが、日本経済新聞出版社から出版されることになりました。 とはいっても、このブログの内容ではなく、完全書き下ろしです。 総準備期間は、最初から最後まで入れると…約6か月。 本を執筆する大変さをはじめて知った次第です。 これまで…

パナソニックの中期経営計画の云わんとすること-まだ大きな意思決定はされていない

本日、パナソニックの中計がでました。 その前に、大坪さんが特別顧問に、長榮さんが会長に就任というニースが。 この人事を1年前に実現できていれば、パナの変化も一段進んでいたかもしれません。 個人的には、残念でなりません。 さて、過ぎたことを悔いて…

「TPPと農協問題」

最近、日本のコメどころに訪問して、 「いかに日本の農家がしいたげられているか」 について、ほぼ一方的に、長時間にわたる講義を受けました。 講師の方の知識を上回るモノを持ち合わせていなかったので、黙って聞くのみ。 それにしても日本の農業は知れば…

『未来の会社-これからの「働く」を考える』

コンビニの本棚でふと目に入ってきたので早速購入。 WIREDって、紙のメディアもあったんだ…ということで、めくってみました。 これまでアナリストとして数多くの「会社」にかかわらさせていただきました。 ここで、改めて「会社とは何か」を考えてみることに…

『スラムダンク』にみるチーム形成と戦略。UCLAバスケットボール元監督ジョン・ウドゥンから

『スラムダンク』の安西先生のモデルともいうようなジョン・ウドゥン(John Wooden)。ウドゥンは元UCLAのバスケットのコーチです。 彼のバスケットボールの考え方が示されたのが本書 “Practical Modern Basketball”で、Woodenのバスケットへの取り組み…

IKEAモデル

IKEAモデル―なぜ世界に進出できたのか作者: アンダッシュ・ダルヴィッグ,志村未帆出版社/メーカー: 集英社クリエイティブ発売日: 2012/11/26メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 4回この商品を含むブログ (1件) を見る IKEAのビジネス理念は、 …

今あえて天然ガスの議論をするべき時機

エネルギー論争の盲点―天然ガスと分散化が日本を救う (NHK出版新書 356)作者: 石井 彰出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2011/07/07メディア: 新書購入: 7人 クリック: 421回この商品を含むブログ (34件) を見る エネルギー関連で久しぶりに読みごたえのあ…

千利休は日本を代表するシステムシンカーでありイノベーター

ペンブックス6 千利休の功罪。 (Pen BOOKS)作者: 木村宗慎,ペン編集部出版社/メーカー: 阪急コミュニケーションズ発売日: 2009/11/05メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (3件) を見る 日本人はシステム思考ができ…

テクノロジーは失業を生むのか?仕事はどこにいった?

機械との競争作者: エリク・ブリニョルフソンMITスローンスクール経済学教授),アンドリュー・マカフィー(MITスローンスクール),村井章子出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2013/02/07メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 31回この商品を含むブログ (1件) を…

日本海軍にみる、いつまで経っても変わらない日本の組織

日本海軍の功罪―五人の佐官が語る歴史の教訓作者: 千早正隆,実松譲,源田実,吉田俊雄,奥宮正武,野中郁次郎出版社/メーカー: プレジデント社発売日: 1994/07メディア: ハードカバーこの商品を含むブログを見る 野中郁次郎と源田実の対談がおもしろい@千早他「…

歴史にみる、エンジニアと戦略コンサルがフリー・ランスになる時

同時に2冊の本を読んでいて面白いことを見つけました。 一冊は、三輪修三「工学の歴史」ちくま学芸文庫 もう一冊は、森三樹三郎訳「墨子」ちくま学芸文庫 今回は両方の要訳が中心ですが、おもしろいので取り上げてみます。 タイトルの通り、 「歴史に見る、…

経営にFMECAやFTAを持ち込むことはできるのか

リスクマネジメントの必ずはじめに出てくるのはFMECAとFTA。 ちなみに、 FMECA = Failure Mode, Effect and Criticality Analysis FTA = Fault Tree Analysis これらは主にエンジニアリングにおいてプラントや宇宙システムの分析等が対象。 授業の講…

経営学の3つのソーシャル:「世界の経営学者はいま何を考えているのか」

世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア作者: 入山章栄出版社/メーカー: 英治出版発売日: 2012/11/13メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 10人 クリック: 90回この商品を含むブログ (19件) を見る てんこ盛りの内…

日立金属と日立電線の合併契約締結ずれの背景

おかしいなぁとはおもっていました。 背景は昨日の日立金属の大幅下方修正が原因かと思われます。 http://www.hitachi-metals.co.jp/ir/ir-news/20130130.pdf 金属と電線が合併の話をしたのが、2012年11月13日。 合併契約締結が遅れることを発表したのが、20…

業績/収益予想モデルの作り方(P/L編)-証券アナリストはこうつくる

意外によく聞かれるのが、「業績(収益)予想モデルはどう作っているのですか」という質問。 私自身も日本生命やフィデリティ投信で機関投資家の証券アナリスト(バイサイド・アナリスト)やファンドマネージャーとして従事してきましたが、実際はそれぞれで…

システムズ・エンジニアリングと戦略のクロスポイント:ポーターとルメルトの根源

良い戦略、悪い戦略作者: リチャード・P・ルメルト,村井章子出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2012/06/23メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 73回この商品を含むブログ (9件) を見る リチャード・ルメルトの「良い戦略、悪い戦略」を読んで初め…

フェアディスクロージャと理想のIR

フェアディスロージャを厳密に守ると発行体は投資家には会う必要がなくなります。 投資家に話せる内容は既に公開されてなければなりません。 したがって、発行体から公式なリリースが出ているはずです。 投資家も公開されている情報をもらいにわざわざ時間を…

なぜアップルが減速するとファナックは売りなのか

ファナックの業績は中国での製造業自動化のストーリーとともに語られていました。 しかし、それはホンの一部を語っているにすぎません。 アップル製品のきれいなアルミボディはファナックの工作機械のNCがあって実現できる製品。 現在のファナックの受注にど…

システム設計の落とし穴:戦略は細部かつ盲点に宿る

授業で「簡単に航空写真をとるシステムを考えよ」というお題が与えられました。 これまでの航空写真は費用もかかることながら、場所も時間も制約を受けてきました。 その制約をぶち壊して新しいシステムを提案してくださいという内容です。 概要はUAV(無人…

なぜポーターは日本の経営者に評価されて、バーニーはほとんど知られていないのか

競争優位の戦略―いかに高業績を持続させるか作者: M.E.ポーター,土岐坤出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 1985/12メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 24回この商品を含むブログ (18件) を見る あらためてマイケル・ポーターがなぜ日本の経営者に人気…