パナソニックの中期経営計画の云わんとすること-まだ大きな意思決定はされていない
本日、パナソニックの中計がでました。
その前に、大坪さんが特別顧問に、長榮さんが会長に就任というニースが。
この人事を1年前に実現できていれば、パナの変化も一段進んでいたかもしれません。
個人的には、残念でなりません。
さて、過ぎたことを悔いても仕方ありません。
今日の中計の会社のメッセージを読み解いていくことにします。
結論は、「まだトップは大きな意思決定はしていない」ということができます。
本日発表された数値目標も、特段に戦略めいたものは含まれていません。
リニアな変化を遂げれば、実現できそうな数値で、無理をしていないように見えます。
つまり、経営者はいまだ「跳んではいない」ということです。
ひとつは、ビジネスユニット数を88から事業部を49に「まとめる」というアクション。
半分近くになったという評価もできますが、トップは49も見なくてはならないという事実。
どんなに経営資源があっても、それを49で分割すれば、一事業部あたりはいくらになるのか。
また、どの事業が「もっとも勝機がある」のかの説明がなされていません。
したがって、このアクションの評価をしろといわれても無理です。
まとめましたということ以外の何物でもなく、戦略やストーリーはありません。
各事業部の名称と経営資源を上から並べていただけると分かりやすのですが…。
次いで、経営指標や財務指標も大きなメッセージは伝わってきません。
3年間でフリーキャッシュフローで6000億円を目指す前提と開示のグラフで判断すると、
最終利益の積み上げが、3年間で3500億円程度、
原価償却と設備投資の差が、3年間で2700億円、
CFを生み出す追加施策で、3年間で1000億円、
運転資金など、3年間で▲700億円、
配当で、3年間で▲1000億円。
(私の推定が入ってます)
まあ、大きなアクションアイテムがなければ、そうだろうなという印象です。
つまりは、これぞという意思決定は含まれていないということです。
さて、今回一番気になったスライドは「パナソニックの目指す姿」。
これをよーく見ると、「インフラ事業を拡大したい」という思いが伝わってきます。
自動車、航空、公共、流通小売、住宅産業、美容・健康。
こうした事業領域は既に事業ポートに入っているものばかりです。
特に、自動車、航空はシステムで取り扱える事業で、インフラ事業たりえます。
同時に、「われわれは、単なるテレビメーカではない」ともいってます。
つまり、「単品・売り切り商売はもうやめたい」ということです。
このブログで繰り返し書いていますが、インフラ事業と民生品事業では世界が違います。
テレビの技術やビジネスモデルの延長線上にインフラ事業はありません。
トップはそのギャップを埋める「しかけ」が何かを語らければならなりません。
それまでは、単なる目標で戦略までに昇華されていません。