システムズ・エンジニアリングと戦略のクロスポイント:ポーターとルメルトの根源

- 作者: リチャード・P・ルメルト,村井章子
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2012/06/23
- メディア: 単行本
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リチャード・ルメルトの「良い戦略、悪い戦略」を読んで初めて合点がいった。
ポーターのいうバリューチェーン内のトレードオフとその組み合わせやフィット、
ルメルトが提唱するリソース・ベースト・ビュー(RBV)は発想は結局同じ。
端的に言うと、二人ともシステム・エンジニアの発想で戦略の概念を語っている。
私はこれまで、戦略論を戦略論として理解してきた。
しかし、これでは理解は十分ではない。
ルメルトやポーターの戦略論はシステムズ・エンジニアリングそのものだ。
なぜ気付いたか。
ルメルトはUCBで電子工学を学び、NASAでジェット推進研究所で勤務している事実。
<このあたりで、ふっと気になった。なんでNASA?>
ルメルトはボイジャー号などのプロジェクトに参加してきたシステム・エンジニアだ。
<このあたりから、システムの話になり、もしかと思う。>
ルメルトは「最高の組み合わせ」を探す作業を設計と喝破した。
システム設計はサブシステムの相互作用、トレードオフを見極める作業。
<ポーターも同じようなこといってたな?!>
そう、トレードオフが重要という概念はポーターも一緒だ。
ルメルトはさらに、
「システム全体の性能は、サブシステムの能力だけできまるのではなくその組み合わせによって決まる」
と言っている。
<当たりだ。この二人見えているものが一緒だ。>
ポーターもトレードオフの組み合わせが重要だと言っている。
ルメルトは、自身のNASAでの経験により、
「戦略が選択や意思決定より設計に近いと考えている」と言っている。
ポーターもバックグラウンドを観るとプリンストン大工学部航空機械科卒だ。
これは、ルメルトがNANSで衛星を設計するのと同じ背景だ。
飛行機も決められた重量の中で、最高の組み合わせを模索する領域(と私は思う)。
つまり、ポーターもルメルトも同じバックグラウンドをもってしゃべっている。
これをいわゆる文系出身の経営者が聞いてもピンと来ないんじゃないだろうか。
私もこの3カ月この↓の本にどっぷり触れてようやく一部を理解し始めたころ。

Visualizing Project Management: Models and Frameworks for Mastering Complex Systems
- 作者: Kevin Forsberg,Hal Mooz,Howard Cotterman
- 出版社/メーカー: Wiley
- 発売日: 2005/09/01
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戦略というのははじめから最後まで一本の筋道でつながっている。
どこかで切れていてはいけなくて、各サブシステムが相互に影響するダイナミックスを持つ。
すべてのサブシステムには意味がある。なぜ選択されたかの。
そして各サブシステムにはトレードオフが付きまとい、その選択の組み合わせが特徴になる。
戦略というのはシステムだ!
学校に来て一番役に立った。うん。