日本でデザインというと見た目の話がほとんど。
でも、それは大変残念な話。
「デザイン戦略」を語る人もいわゆる美大出身の「デザイナー」がほとんど。
それでは「くくり」が狭すぎるし、実は全体の一部しか語っていない。
今、日本企業に本当に必要なデザインはビジネスモデルをデザインすること・人。
見た目のデザインは、ビジネスモデルの一部に過ぎない。
いわゆる「デザイナー」でビジネスモデルにまで踏み込める人は稀だろう。
アップルだってグーグルも見た目の「デザイン」であそこまで大きくなったわけではない。
裏側の管理の仕組みとその運用は複雑であり、まねできない。
それが競争優位になっている。
見た目の「デザイン」なんかよりもマネをするのが難しい。
アップルが大きくなったのは鬼のようなキャッシュフローの管理のなせる業だ。
ジョブズがなぜティムを選んだかを分かればすべてが理解できる。
ティムは調達・購買の専門家だ。デザイナーではない。
ジョブズはティムを選んだ。
見た目のデザインあってのビジネスモデルではない。
どんなにクールでもカネを回さなければ事業を継続できない。
ビジネスモデルも、更に次元アップすれば別の呼び方の方が良いかもしれない。
壮大な話であれば、アーキテクチャーと呼んでもよいかもしれない。
アーキテクチャーは設計者であって、細かなモノづくりをする職人ではない。
ただ、いわゆる「デザイナー」という人たちも惜しいところまではいっている。
デザイナーがどこまで考えることができているのか知りたくて、色々読んでみた。
たとえば、上の本は、ブランド構築、広報・広告、販促活動までは言及できている。
この本では「ポジション」などにも言及できているので、戦略の概念はある。
ただし、そこまでだ。
ビジネスモデルには言及できていない。
売上も、コストも、利益も、バリューチェーンの話も何もない。
これでは、広報だけを専門にしている顧客は納得しても、経営者は納得しない。
そういうものだ。
一方、アナリストが「デザイン」を取り込んで分析できるかといえば、できない。
会計がシステムであることを理解はしているだろうが、俯瞰してみれない。
ビジネスモデルが、バリューチェーンを組合わせたものだという認識も不十分。
どこを見ても、ビジネスモデル・デザイナーがいない。