泉田良輔のブログ

テクノロジーアナリストの100%私見

トリガーポイントのグリッドで腰の筋肉をストレッチ

年齢は仕方がないにしても腰が痛いのはつらい

長時間にわたって椅子に座る仕事をしていると年齢とともに腰に痛みを覚えるようにもなりました。仕事上は調べることが多いので一度作業を始めると1~2時間はあっという間に過ぎてしまいます。

腰の痛みの背景は、筋肉が落ちている&硬くなっていることにより、左右のバランスが崩れているとのことです。

対処法は、短期的には痛みのある個所と固くなっている箇所をストレッチし、長期的には鍛えるしかないそうです。

筋膜をはがすためにストレッチポールも選んだ方が良い

はじめは発砲スチロールのようなやわらかい素材でできているストレッチポールを使っていたのですが、正直物足りなくなってきました。グリグリ感が足りないのです。

通っているジムでは硬いストレッチポールだったのを思い出し、検索して購入したのがTRIGGERPOINT(トリガーポイント)のTHE GRID(ザ・グリッド)というストレッチポールでした。

自分が知らなかっただけで、アマゾンでも200を超えるレビューがついており、かつ評価も高いのに驚きました。私と同じような悩みを抱えている人が多いのだというのも認識。 

これで筋肉をストレッチするとしばらくは弛緩して痛みも和らぎます。助かります。

グリッドの品ぞろえを見ると、GRID X Foam Rollerというのもあり、トリガーポイントのサイトを見ると「一番硬い」という触れ込み。確かに硬い方が良かったのですが、GRID Xの硬さが必要なのかは筋肉の状態次第かもしれません。

トリガーポイントとはなにか

ここまでトリガーポイントという言葉を使っておいて最後に名称の意味をまとめるとは何事かといわれてしまいそうですが、体の痛みのしこりになっている部分を言うそうです。ツボとは正確には意味は異なるそうです。商品名の意味が分かってきました。

トリガーポイントのサイトから、トリガーポイントの解説を引用すると以下のようになります。

トリガーポイントは前述のように筋膜の短縮に伴う筋膜の機能障害を誘発するポイントです。

出所:トリガーポイントのサイト「トリガーポイントとは?」

筋膜とは何か

筋膜は筋肉を覆っている薄い組織膜とのことで、この筋膜が不具合を起こすとトリガーポイントの原因になるそうです。

筋膜に機能障害が起きると筋膜は水分を失い柔軟性の無い筋膜繊維となり、自分の着ている服を一部分から引っ張られたような窮屈な状態になります。この窮屈さは水分を失い柔軟性をなくした筋膜だけでなく、そこにつながる筋膜の均衡を阻害する因子となります。

出所:トリガーポイントのサイト「筋膜とは?」

筋膜リリースは本当か

筋膜を引きはがすというコンセプトで「筋膜リリース」というフレーズを使っているのですが、本当なんでしょうか。

筋膜は目で見えないし、全身筋膜でおおわれているじゃないか、という突っ込みはあると思います。

ジムのインストラクターに話を聞くと、ゴリゴリ押し当てるのではなく、じわーっと押し当てて筋肉に覚えさせるように圧をかけていくというのが良いようです。

あまり強く長時間押し当てるとそれはそれで筋肉が硬くなってしまうとのこと。

トリガーポイントを扱う会社を調べてみた

アナリストとして購入した商品が良いとその企業を調べたくなるのが性分でこれはいつも同じです。とりあえず調べてみました。

どうやら、Impuls LLCという会社が運営しているようです。なかなか会社名にたどり着かないという、何かの戦略でしょうか。

https://www.tptherapy.com/tp_contact/headquarters

サイトを見ると動画コンテンツもあり、モノを売るというよりは「体験」を売るというコンセプトを前面に押し出しています。いかにも米国の会社という印象です。

“LEARN”には、購入者からトレーナーまでのコンテンツが並んでいます。このフォーマットは当たり前のようでいて、結構使えるなという印象です。

まとめ

トリガーポイントへの注射もあるようですが一時的なもののようですし、病院に行く手間と時間、コストを考えれば家でできるストレッチの方が手軽だと思います。

大学院では、システムデザインとそのマネジメントを勉強していましたが、筋肉というのはまさにシステムでどこかに不具合が起きると必ず別の部位に影響を及ぼします。筋肉はアスリートでなくとも気にすべき「システム」という印象を持ちました。深い領域だなぁ、と。

シリコンバレーについての壮絶なまとめ本

シリコンバレーは米国経済のエンジン

個人的にも現在の米国の(株式市場)の成功はシリコンバレーにあると思う。

仕事をしたい人が十分に働けているかどうかという雇用についてシリコンバレーが貢献しているかどうかは自信をもってそうだとは言い切れないが(見た目の数字は悪くない)、シリコンバレーがリードするICT産業に将来製造業が入ってくると、米国経済は本当に最強だなと思う。そして、その最強の組み合わせを狙っていそうなところも米国のしたたかさかなと思う。

シリコンバレーをざっくり知りたい

その米国のありようについてまとめてくれている本が以下の本。

池田純一:〈未来〉のつくり方 シリコンバレーの航海する精神 (講談社現代新書)

正直、執筆者の意見そのものは見出しにくかったが、まとめ本としては良くできていて、カバーされているトピックは十分。

たとえば、グーグルに関しては、私の意見と相当程度^10 似ているし、フィンテック, FinTechという言葉自体は使っていないが、レンディングクラブもカバーしてある。

個人的にもブルンバーグも注目していましたが、その記載もあります。ブルンバーグがニューヨークという都市に注目していた事実とその背景を改めて指摘しているのには、なるほどと思いました。

読後感

一方で、この情報はどこから引っ張ってきたのか?という疑問も残るので、出所は明確にしてほしいもの。自分の意見であれば、その根拠も欲しい。

また、シリコンバレーに詳しいのね、と読みつつも、卒業した大学院は東海岸のコロンビアというオチ。

シリコンバレーの考え方については、NewsPicksのFinTech特集でインタビューさせていただいた増島雅和弁護士の回が秀逸。西海岸の弁護士事務所で勤務経験があるとのこと。

日本人もシリコンバレーのパワーを勉強するだけでなく、東京で実践したいもの。

正面から人を攻める。場所を攻めるのではない

人を攻略することで局面を打開する

現在の川崎フロンターレは、風間八宏監督の戦術がしっかりはまり、2016年のJリーグ第4節(3月19日)のアウェーのヴァンフォーレ甲府戦を終えて、負けなしで首位をキープ。

風間監督は試合後のインタビューにも次のように答えている。

いつも言っているのですが、うちは場所を埋められても場所を攻略するわけではないので、人を攻略するサッカーですから、そういう意味では今日なんかは壁パスやワンツーのパスなんかはすごく効果的なので、そこのところで人を動かしながら、どう崩していくかという作業をしました。

出所:KAWASAKI FRONTALE

ヴァンフォー甲府はホームゲームでもあるにもかかわらず、引いて来ることが想定されていた。川崎フロンターレはDFが自陣に引いて場所が埋まっていても、人を攻略することでゴールをこじ開けるという戦術を想定していたということになる。

場所ではなく、人を攻略するという発想に立てば、相手もファールをする確率が高まるし、それがゴール前であれば、FKのチャンスも増える。実際に、中村憲剛のFKが直接ゴールとなったことを考えれば、想定通りといえる。

メディアも結局は人をいかに攻略するか

サッカーに限らず、メディアも人をいかに攻略するかが重要である。

インターネットにおいてもメディアを複数持つことで、読者としての接点をより多く持つ(ページビューという概念か)ことでメディアとしての価値を向上させるという選択肢はある。風間理論でいえば、場所を攻めるということになるのであろうか。

メディアを運営するための資本と記者やライターが無尽蔵というのであれば、その戦略も選択肢としては十分ありな考え方だ。ただし、これは強者の戦略であり、弱者の戦略ではない。多くの人が取りうる選択肢とは言えない。

メディアの裏には記者、ライターがいてはじめて成立する。

ネットメディアは雑誌や新聞を背景として展開する場合には、多くの記者を抱え、記事の数が多いという攻め方がこれまでの既存ネットメディアの攻め方であった。

しかし、現状はそうした各社が一件合理的とも思える戦略をとることで、全体では齟齬が出ている。合成の誤謬といえるかもしれない。

それはどのような状況であろうか。

メディアの数とともに記事の数も多くなり、結果メディアのキュレーションが必要となってきたことは少しアンテナがたっていれば認識されていることである。

記事に関しては、記事の質、1本1本で勝負し、高品質の記事で局面を打開できれば、そうした記事の集合体であるメディアは既存メディアと比較し、局面を打開することが十分に可能であるし、時代の流れはそのアプローチを求めているといえる。その時には記事の集合体であるメディアという概念すら薄れているかもしれない。コンテンツにおける究極の局地戦である。

 元鹿島アントラーズの秋田豊の発言はがっかり、秋田は分析力なし

2016年3月19日に放送されたテレビ東京のFOOT×BRAINを見ていてびっくりした。

リオ・オリンピックのオーバーエイジ枠に誰を呼ぶのか-番組内でアナリストと呼ばれている都並敏史や福田正博、三浦淳宏らとともにオーバーエイジ枠の想定選抜メンバーを発表していた。

その際に、都並アナがFWでは大久保嘉人を呼ぶべき、なぜならば数字が出ているからという根拠を説明した際に、秋田は次のように反論した。

大久保の数字が出ているのは、フロンターレの戦術がはまっているだけ

出所:バックナンバー|FOOT×BRAIN :テレビ東京

秋田の分析力は相当程度疑問が残る。

大久保が結果が出ているのは、局面の読み筋とシュートという実行力があるからである。これは、個人の判断力の優位性を表している。いま、日本代表に足りないのは個の力の圧倒的に優れたプレーヤーだろうと思う。

ハリルの戦術も怪しいし、結果その人選も怪しいというのが本質であろう。U-23においても、個の力が不足しているので、手倉森監督も総力戦でメンバーを変えざるを得ないのが実際であろう。弱者の戦略としては、正しい解だ。

大久保が3年連続得点王だという結果は、もちろん大久保にボールを周りが集めているからというプロセスがあるからであるが、サッカーでチームで競技をしているのは他のチームも同じだろう。

秋田には二度とアナリストの名称を使ってほしくない。サッカー元日本代表で十分だろう。

ついでに言うと、状況を分析できない人間に解説もしてほしくない。ましてや将来間違ってもサッカーの監督などにはなってほしくないものだ。 日本のサッカーの未来をつぶしてほしくない。

小倉監督の目指す5人目の動きと実践結果-川崎フロンターレ対サンフレッチェ広島戦(2016年2月27日)

2016年に初采配を振るう名古屋グランパス・小倉隆史新監督が掲げるテーマが「5人目の動き」だというので、グランパスがどう実現するかなと見ていましたが、結局2016年Jリーグの開幕戦で川崎フロンターレが対サンフレッチェ広島戦で実践していました。

【追記:2016年8月24日】

結局小倉監督は8試合を残して「休養」という事実上の解雇をされました。Jでの本格的な監督経験がない中での登板でしたが、Jも決して甘いリーグではなかったということです。

これまで小倉元監督はGMも兼任ということで監督と分離しないで一体としてきたので勝てない責任をだれがとるのかという議論もありました。結局両方とらされることになりました。

理想の5人目の動き

ポイントは、2016年2月27日の対広島戦において、0-0で迎えた後半35分過ぎ。

フロンターレの中村憲剛がサンフレッチェの青山敏弘が受けたパスを後ろからカット。

そのボールを森本貴幸が受け、パスは大島僚太へ。

大島からのパスを大久保嘉人が受ける。大久保がドリブルで敵陣深くに切り込みながら、左サイドを駆け上がってきた中野嘉大へ。

中野はペナルティエリア内に切り込みながら、パス気味の早いセンタリング。

そのボールを待ち構えていた小林悠が森本の位置を確認しながらゴールに押し込む。

ボールの流れを順番に整理すると以下の通り。

  1. 中村憲剛
  2. 森本貴幸
  3. 大島僚太
  4. 大久保嘉人
  5. 中野嘉大
  6. 小林悠

中村を起点として、後続の5人が関係、連動しフィニッシュをする形というわけです。おそらく小倉監督が目指すのはこういうサッカーでしょう。

ただ、上背の大きな選手をスウェーデンから引っ張ってくる等したことからパスサッカーというより、両サイドで切り崩しながらズドン!という形なのかなと考え出すと、戦術と選手補強がバランスしてないなとも見えます。

Jリーグには上背のあるDFが少ないので、やりたい気持ちはわかりますが、正直ちぐはぐに見えます。

フロンターレの対サンフレッチェ戦での収穫

ポイントはデフェンス面といえます。

FC東京から移籍してきたU-23のリオ・オリンピック代表候補の奈良竜樹が非常に効果的に効いていました。

サンフレッチェのお決まりの浅野拓磨(U-23で奈良と同じくリオ・オリンピック代表候補)をきっちり抑えていました。テレビには浅野が苦笑いする様子も見られるほど、抑えきっていました。

フロンターレのタイトルを取れない理由の一つとしていつもあるのが、ディフェンスが弱いということですが、2月27日の奈良の動きを見ていると安心感が持てます。

また、フロンターレの新ゴールキーパーのチョン・ソンリョンもナイスセーブを連発し、こちらも安定感抜群でした。ゴールキーパーだけに言語の問題がありそうかなと思いましたが、今回はその点に関してはそれほど意識しなくてはならない問題には見えませんでした。

2016年はクラブ創設20周年なので本当にタイトルとってほしいものです。

個(タレント) × 規律(ディシプリン) = 世界観(ビジョン)

これで話が終わってはサッカーの話だけではないか!となってしまうので、同じテーマで別に切り口から。

やはり他を圧倒するプレーやサービス-でも同じだと思うのですが-を実現しようとすれば、「個(タレント)」が「規律(ディシプリン)」にしたがって動き、その動きが連なること-連動ともいえるでしょう-で「世界観(ビジョン)」を実現するというのが最強なのではないでしょうか。

フロンターレの場合には、「個」の力はそれぞれの強みは中からでも外からでも同じような評価かもしれませんが、ボールを持っている人にできるだけ顔を出すという「規律」の一つをしっかりと実践し、ポゼッションを圧倒的有利にすることで得点確率を上げるというものです。全員がこの「規律」を頭で理解し、体にしみこませることで実現しています。

ここまで書いてみて、改めて自分たちの規律について見直さなくてはと思いました。

強いチーム・強い組織の条件とは何か-「個」vs「組織」

強いチームや組織を作りたいというのは経営者のみならず小さなチームの将来に責任を持つ者にとっては目先の目標ともいえますし、長期の理想ともいえる難しいテーマです。今回は強いチームや組織作りに成功した人を中心に取り上げ、どのような共通項があるのかを見出してみたいと思います。【2016年8月17日更新】

強いチームや組織に必要なこと

強いチームや組織とはどのようなものかを考えることが多くなった。強いチームとはどのようなものなのであろうか。

一口にチームや組織とはいっても規模が異なれば考える次元も違うのであろう。しかし、チームや組織の規模の大小を置いておけば、強いチームや組織に必要なのは、なんといっても「個」が局地戦で負けないということが必要なのではないかと思う。

つまり、「個」が競争優位を確立できているかにあるかと思う。「個」が負けなければ、その集合体であるチームも強いという発想である。

「個」が強いとはどういうことか

では、「個」が強いとはどういうことであろうか。「個」がチームの一員であるとすれば(つまり「個」は「個」であるが組織として戦っているという前提)、組織としての戦略はありながらも、その戦略に基づいて「個」が局地戦で優位な状況を築くことができているということである。そのためには「個」が属するチームや組織の戦略を理解し、その戦略をもとに「個」が自分が対峙する局地で戦術に落とし込んで勝率をあげることが必要である。

もちろん、チームや組織のリーダーが戦略や時には具体的な戦術を「個」に示し、浸透させることが必要だろう。

しかし、後で述べるチームや組織としての「全体」としての武器となる優位性が確立できていないチーム組成の初期フェーズでは「個」の実行能力に依存せざるを得ない場合が多い。そのため、初期フェーズのチームや組織は「個」の力に依存することは前提となりがちであり、チームや組織が生存確率を上げ続けるためにも、「個」の競争優位を上げ続けることが必須となる。

「個」の競争優位を高めるには

では、「個」の競争優位を引き上げ続けるにはどうしたらよいであろうか。これは、「個」に刺激を与え続け「個」の潜在能力を引き上げるか、もしくは「個」同士を比較し継続的に優位性のある「個」に換え続けなければならない。

余談だが、今年で就任5年目を迎える川崎フロンターレの風間八宏監督は、川崎フロンターレの戦力強化は常にこの発想が前提にあるといってよい。

たとえば、中村憲剛、大島僚太というようなチーム戦術を考える上で鉄板のボランチのポジションに、原川力というような大島と同世代(U-23)の有力な選手を同ポジションに連れてきており、ポジション争いをさせている。

また、同チーム内でも、これまでディフェンダーとしての出場機会の多かった谷口彰悟といった選手もボランチを希望するなど、新規と既存選手相交えてのポジション争いとなっている。

もちろん、中村の年齢を考えれば、ポスト中村という選手を育てていかなければならないが、基本は「個」の競争優位を引き上げるために、競争を持ち込んでいる。

Jリーグで3年連続得点王の大久保嘉人も川崎フロンターレでは欠かせない選手ではあるが、上で指摘したように、競争に勝ち続けた結果が今の結果ということもできる。

風間監督の「個」についての考え方は次の本が参考になる。

>>「 1対21 」 のサッカー原論 「 個人力 」 を引き出す発想と技術

余談ついでに監督の資質について読んでおいて損がない本がある。それが以下の本である。

>>辻秀一「スラムダンク勝利学

スラムダンク勝利学では、コーチの条件として以下の5つのポイントをあげている。

  • 理解力(コンプリヘンション)
  • 正しいものの見方(アウトルック)
  • やさしさ(アフェクション)
  • 魅力的な個性(キャラクター)
  • ユーモア

いずれもなかなか十分に持っているといえる人も難しいだろうが、特に上の2つは基盤ともいえる条件だと思う。

「個」の役割はマニュアルを作り業務を標準化させること-無印良品

無印良品の業績を大きく回復させた松井忠三氏の言葉で印象的なのは、現場の人間がマニュアルを作ることこそが仕事だというのだ。

現場を良く知るものがマニュアルを作り、業務を標準化し、またその修正を行うというものだ。確かに現場手動に修正領域までを任せることができれば、不完全なマニュアルだとしてもアップサイドが期待できる。

マニュアルをトップが現場に渡すのではなく、現場から全員に共有をするというものだ。そうすることで仕事のスキルやノウハウが共有ができ組織全体のスキルとなるというものだ。

>>無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい (ノンフィクション単行本)

ただし、ひとつ疑問なのが現場にマニュアルを作ることができる能力のあるものが果たしてどれくらい存在するかということである。マニュアルを作る、業務を標準化させるというのは極めて次元が高い作業のように自分の経験でも思うのだが、そこは無印良品がどうクリアしたのかを知りたいところではある。

「個」から「全体」優位への脱却

チームや組織が小さいうちは、そうした「個」の競争優位に依存することが多いが、その規模が大きくなるにつれ、必ずしも「個」の競争優位に依存しなくてもよい(意図的も含む)状況となる。

それは、チームや組織としてのリソース(人やカネ、モノ)が増えることで、「個」の強さを引き出すためのチームや組織の仕組みづくりによる「全体」の優位性を生かした展開もできるようになるからだ。「全体」の優位性というのは、チームや組織のブランドかもしれないし、製造業でいえば家内制手工業的なアドホックな生産設備ではなく、量産を前提とした大規模な生産設備になるかもしれない。

一方で、「全体」に目を向けるのには永続的に競争優位のある「個」に依存することができないということもある。有能な「個」も無限にいるわけではなく、チームや組織の規模が大きくなれば、「個」に依存しない仕組みづくりを考えなくては事業がスケールしないことも多い。

私はビジネスモデルはバリューチェーンのデザインとその運用手法という定義をしている。ビジネスモデルというのは、「個」への依存度を極限にまで減らし、「全体」としての競争優位を確立できたものを指していると考えている。なんでもかんでも商売の仕組みをビジネスモデルと呼ぶのはいかがなものかとも考えている。

ビジネスモデルの強さというのは、仕組みに強さがあるのであって、誰がその仕組みの一部になろうとも、モデル全体の競争優位が変わらないというような代物であると考えている。

強いチームや組織に必要なのは、チームや組織組成初期フェーズの強い「個」による局地戦の勝利やその勝率をいかにうまく「全体」の勝率にまで転換していけるかがカギになると思う。逆にそうしたシフトができなければ、「全体」としての生存確率を引き上げることはできず、「全体」には戦略がないこととなる。

「全体」として弱い「個」を刺激する方法-オープン・イノベーションの本当の意味

「個」から「全体」への転換が必要なのはわかったが、それに挑戦し続けて失敗してきた歴史の積み重ねがいまだ、というような経営者も多いであろう。それに対してどうすればよいかという答えがオープン・イノベーションだ。

オープン・イノベーションといえば、社外のリソースを有効活用して、自社の成長ポテンシャルを引き上げるといえば聞こえが良いであろう。しかし、実態を言えば、「社内が本当にどうしようもなく使えないので、外部に頼らざるを得ない」というのが近いのではないだろうか。

結局、「個」の競争優位を高めることで一度は「全体」の仕組みづくりに成功しても、「全体」の競争優位を高め続けることは難しい。新しいことに挑戦するにしても、基本的にはまた「個」の競争優位がどこにあるのか、何をどうするのかを考えなければならない。突き詰めて考え、社内にリソースがないとなれば、外部にそのリソースを求めなければならない。それがオープン・イノベーションだ。

こうしてみると、チームや組織がどのステージにいようと、強い「個」は永遠に必要で、優秀な人材を「人財」という経営者も多いが、本当にその通りだと思う。

まとめ

いかがだったでしょうか。強いチームや組織を作るためのヒントは見つかったでしょうか。いくつかの例を見てきましたが、個の能力をどこまで認めるのかという議論は残りますが、「個」発の変化がいずれにせよポイントになるのかなと思います。

つまり「全体」はやはり「個」に依存しているのであり、「個」を生かすのには「全体」、つまり組織を動かすための仕組みづくりであり、それが経営者の仕事ということになりそうです。頭でわかっても実行するプロセスをまた考える余地は大きそうです。

【募集中】Longine(ロンジン)/株1(カブワン)/投信1(トウシンワン)で執筆者募集。口コミや評判だけではもう足りない

ナビプラの業容拡大につきといってよいかは分かりませんが執筆者を募集しています。株式会社ナビゲータープラットフォームでは運営する各種メディアで執筆者を募集しております。【2018年1月29日更新】

投信1(トウシンワン)などのメディアの露出が増えることで、口コミや評判で執筆者の応募も増えておりますが、引き続き「出力」のあるライターさんやアナリストさんを募集しています。ご興味ある方は、是非ご連絡ください。

執筆者募集中のメディア

募集しておりますメディアは以下の通りです。

  • 個人投資家向け経済金融メディアLongine
  • 株1
  • 投信1

それぞれ、以下のリンクより、内容をご確認のうえ、ご応募ください。

◆Longine

www.longine.jp

◆株1

株1 執筆者募集 |1からはじめる初心者にやさしい株入門サイト

◆投信1

投信1 [トウシンワン] ライター募集 | 投信1 | 1からはじめる初心者にやさしい投資信託入門

識者を集め、知恵を届ける。

株式会社ナビゲータープラットフォームのビジョンは「識者を集め、知恵を届ける。」です。

ネットが普及し、情報もあふれていますが、情報の取捨選択・キュレーションできる方が集まることで、それだけでもメディアができますし、そうした識者がメッセージを発信していくことで読者のリテラシーは向上していくはずです、と信じてメディアを運営しています。

そして、Longineのテーマは、投資情報の「格差」を飛び越えよう!ですが、株1も投信1も根底は同じコンセプトです。これから投資をはじめようとする方にとって有益で理解し易い情報を発信できればと思います。ビジョンとコンセプトにご賛同いただける方のご応募、お待ちしております。

引き続き、よろしくお願いいたします。

あわせて読みたい

izumida.hatenablog.com

 

2012年から2015年までの振り返りと2016年にやってみたいこと

2016年のためのブレスト

2016年は2012年9月に独立して、4年目に入ります。あらためて、次に何をしたいかを書き出しておきたいと思います。

メディア

独立後には、アベノミクスという歴史にも残るであろうイベントもあり、その後に立ち上げた株式会社ナビゲータープラットフォームでの個人投資家向け経済金融メディア Longine(ロンジン)は、おかげさまで個人投資家の皆さんの支持を頂戴することができました。

また、Longineでは、複数のオンライン証券さんにコンテンツを配信開始、上場企業様のトップマネジメントインタビュー記事、投資信託会社のファンドマネージャーインタビュー記事などの掲載もでき、引き続き、個人投資家、事業会社、機関投資家である運用会社の3者が集えるプラットフォームを確立できるよう今後も様々な施策を実行していきたいと思います。

2014年はあわただしく、Longine以外のメディアを立ち上げました。4月には株式投資の初心者から中級者向けの株式投資家向けメディア 株1(カブワン)、10月には投資信託初心者向けメディア 投信1(トウシンワン)を立ち上げました。これまで以上に日本の個人投資家層のすそ野を広げることができればと思います。

出版

2013年4月には、テクノロジーアナリストとして、電機、機械、ネット、メディアなどの産業を見てきた経験から、日本経済新聞出版社から自分の分析と意見をまとめた「日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか」を出版しました。

また、2014年12月には、KADOKAWAから「Google vs トヨタ」を出版しました。電機産業が踏んだ轍を自動車産業が踏まないようにリスクシナリオを提唱したつもりです。その本は、2015年11月には中国語でも翻訳され浙江大学出版社から出版されました。

2016年の目標

ナビゲータープラットフォームとしての活動として現在コア事業となっているメディアに関しては、今後もLongine、株1、投信1のようなバウンダリーをフォーカスしたメディアを立ち上げていければと思います。

GFリサーチの調査活動に関しては、今後もどういった領域を調査対象にするかはアイデアを煮詰めていければと思いますが、やはり目が離せないFRB利上げ後のグローバルのマクロ経済環境を意識しながら、アップル、グーグル、アマゾン、フェイスブック、テスラ、ディズニー、アリババ、インテル、TSMC、クォルコムといったテクノロジー企業だけではなく、シーメンス、GE、ABB、アルストムといったヘビーエレキ企業も含めてグローバル企業動向についてもじっくり分析していければと思います。

既存の上場企業だけではなく、UberやAirbnbのようなシェアリングエコノミー企業調査もどのように掛け合わせることができるかもじっくり考えていきたいと思います。

また、修士論文で取り上げたエネルギーに関する取り組みも形にできればと思います。

Jリーグオフシーズンの移籍ニュースを見つつ思うこと。J各チームの戦略から日本らしいサッカーを考える

11月終わりからJリーグの移籍・残留・加入を見つつ思うこと

Jリーグに限らずプロスポーツのオフシーズンは毎年恒例だろうが、移籍や加入のニュースを見てて思うのは、どのチームも何を考えているのかなぁと思えるくらい、みな、せわしい。

確かに1年間チームとしてたたかってみて、各監督の戦術にはまるはまらない、思ったほどには機能しなかったなどという理由があるのはわかるのだけれども、サッカー選手の契約条件を見ていると単年契約の選手がそもそも多い。複数年でじっくりチームの戦術理解も含めて試そうという発想がないのかな、と思えるくらい。はたして、そんな頻繁な選手の入れ替えを繰り返していて何が残るのかなと。今年チームに残れたとしても、その選手も疑心暗鬼になるだけで、チームとして精神的にヘルシーなのだろうか。

そもそも毎年、選手の供給が十分であるから、選手を試す期間が短くても、次に試す選手がたくさんいるというのがあると思うのだが、「焼き畑農業」的にしか見えない。実力主義なのだから仕方がないというのは当然認めるのだが、そもそも1年で放出するのは、初めの目利きが間違っていたということを認めるわけで、あまり褒められたものではなかろう。

まあ、チームの成績が悪ければ、監督はシーズン中でもさっさと首をすげかえられる職業なので、監督も短期で結果を出せる布陣としたいインセンティブもわかる。そうはいっても、たとえが正しいかどうかは別として、結果が数字に常に見える運用会社とファンドマネージャーとの間の関係も正直ここまで短期志向ではない。

サッカーと資産運用は違うといわれればそれまでだが、サッカーに話を戻すと、最後はクラブチームとして、そのチームをどうしたいかという経営の問題に行きつくのであろう。経営の方針が確立されれば、監督の方針も決まるであろうし、そこで求める選手が決まってくるという流れであろうか。

日本のサッカーを強くするためには、どうしたらよいかという議論が常にあるが、そもそもサッカーに挑戦することで輝かしい未来を描くことができなのであれば、そのうちサッカーに挑戦しようという若い世代も減ってしまう。Jリーガーのセカンドキャリア問題よろしく、出口戦略のない職業はいずれそっぽを向かれる。現役時代にこれでもかと稼げる職業であれば、それでも一定の人材の供給があるであろうが、現役時代もそれほど稼げない、出口戦略もないとあれば、これは職業というより、趣味の世界といわざるを得ない。

そもそも、日本人が金銭的にサッカー選手として成功するためには、すでに欧州に行くだけが選択肢ではない。好き嫌いは別として、中国もじゃぶじゃぶのマネーで優秀な選手を買いあさっている。川崎フロンターレのレナト選手が広州富力にがっつりかっさらわれたのを目の当たりにしたので、あらためて中国でプレーする選択肢もあるのだなと気づかされた。欧州、米国、中国もありなのかと。これまでにない選択肢の広がりだ。

レナトも川崎フロンターレには感謝もしつつも、より条件が良いチームに移籍するのはサッカー選手としては当然という意思決定はあるいみさっぱりしていて、日本で見られなくなるのは残念だけれども、見ていて悪い感じはしなかった。選手にとって市場が広がるのは悪くはないであろう。

余談であるが、その広州富力の監督はあのストイコビッチである。グランパスエイトでは、ピクシーも結果を出せなかったが、またチャンスをもらえるというのは素晴らしいことだと思う一方、監督という職業は、そもそも人材が少ないからなのだろうか、結果や実績が大したことなくても、ある程度までチャンスを与えられているように見えるのは気のせいだろうか。もちろん、最終的には結果が出なければ、お呼びはかからなくなるのだが。ストイコビッチが監督になったので、日本人のJリーガーもチャンスといえばチャンス。JリーガーDNAが世界に拡散することもまた悪い話ではない。

2016年にかけての川崎フロンターレの補強や移籍を見てみる

さて、2015年は、大久保嘉人選手が3年連続得点王という歴史に残る記録を残したわけだが、チームとしてはタイトルはない。引き続き無冠だ。

2016年はチーム創設20周年ということで、節目にタイトルを!と誰しもが思うところなのだが、チームから選手放出の話はどんどん出てくる一方、補強がうまくいってないように見えるのは、気のせいだろうか。ただし、あとにもコメントするが、現時点での布陣はけが人を除けばあまり変える必要がないという考えもある。

私の立ち位置として、川崎フロンターレのサポーター、特に風間八宏監督の思考スタイルが好きということを明確にして、話を進める。

風間スタイルがポゼッションサッカーといわれることもあるが、個人的にはそれは結果的にそう見えているに過ぎないと考えている。ボールを回すというより、ボールをとられないようにしているという方が意識があると思う。ボールをとられることが少なければ、結果としてポゼッションは上がっている。

風間監督のDVDなどで、動き出しのコツというか狙いを見ていると、いかに最小限の動き-省エネといえるかもしれないーで相手を外すことができるかという点に重点が置かれている。ヴィッセル神戸から移籍してきた大久保嘉人選手に「動きすぎるな」とアドバイスしたことからもそれが分かる。ちょっとしたそらしでボールは格段に受けやすくなるし、パスも出しやすくなるというわけだ。

となれば、風間戦術にはまる選手というのは、

  • 動き出しを頭を使いながらでき、ボールキープ力のあるFW
  • FWの動き読み、パスを正確にパスが出せ、ボールキープ力のあるMF

ということになる。

ここでよくわからなくなるのだが、風間戦術ではどのようなDFが必要なのだろうか。

等々力競技場に何度も足を運び、等々力劇場よろしく川崎フロンターレの攻めには魅了されるのだが、え?!というような簡単なミス(にみえる)で失点を重ねる場面も何度もてきた。印象に残るのは、試合開始後すぐの場面に多い。

失点よりも得点が多ければ、試合に勝つわけだが、失点をいかに少なくするかというのも得点と同時に考えるべき領域だ。攻めと守りは、一部トレードオフの関係にあるのだが、失点のパターンにも善し悪しがあるであろう。素人目に見ても川崎フロンターレの失点は、あれ?!という内容が多い。

DFを見ていても、車屋紳太郎選手などをみていると、DF能力よりも切り込みの良さが目立つし、武岡優斗選手も、相手FWに振り切られている場面もよく見るのだが、どこまでリスクをとりながら上がれるかを見はからっているような、リスクの嗅覚に特徴のあるタイプに見える。いずれもDFなのだが、攻めるためのDFといえる。

と、こうして見てみると、川崎フロンターレの2016年の布陣は、風間監督の考え方はそれほど変わらないと思うので、カギとなる選手はそれほど変わらないと思う。ただし、それは固定という意味ではない。

試合を見ていると、固定メンバーというのはあまりなくて、その時々で、「こういうサッカーをしたい。そのうえで、相手がこうなので、このメンバーでいく」というようなアプローチで決められているように見え、結構メンバーは変わっていたりする。そうすることで、2015年は中野嘉大選手のような若手も見出せるし、というわけである。

今回FW陣では、杉本健勇選手がまさかの1年でセレッソ大阪に移籍した一方、ジェフユナイテッド千葉から森本貴幸選手が移籍してきた。森本貴幸選手の動き出しは、瞬発力があるので、風間戦術にははまりそうな予感はある。ただし、風間戦術を理解する気時間が必要だろう。

小林悠選手や田坂祐介選手がケガ気味であることを考えると、大久保選手と森本選手の2トップは見ごたえがありそうである。もしくは中野選手をFWとして、3トップも面白そうではある。

たとえば、次のような布陣はどうであろうか。(ちなみに左から)

FW:中野嘉大、大久保嘉人、森本貴幸

MF:車屋紳太郎、中村憲剛、大島僚太、エウシーニョ

DF:小宮山尊信、谷口彰悟、武岡優斗

GK:新井章太

このメンバーであれば、新規の移籍組がそれほどなくてもしっくりくる。

ただし、韓国代表GKのチョ・ソンリョンやブラジル人MFのエドゥアルド ネット選手もどれくらい機能するかでその布陣も変わってくる。風間監督はちょいちょい試すのは好きな方と見ているので、彼らのパフォーマンスを見ることもすぐにできるであろうと思う。レナトの代わりであったマイアーはあっという間にブラジルに戻ってしまったこともあるので、どうなるかは未知数だが。

日本のサッカーはサンフレッチェ広島スタイルで強くなるのか

風間サッカーが、個人の能力に依存した理想を追い求めすぎるというのは、ある程度理解した上で思うのであるが、では、サンフレッチェ広島のプレースタイルを追求すれば、日本代表を含めてが世界でのし上がっていくために最善のアプローチかと問われると、心底そうだねとは言いにくい。

しっかり守って前線にロングボールを出してスピードで勝負する、またサイドからボールをあげてこぼれ球を決める、というアプローチで海外でJリーグ同様通用すると考えるのは尚早であろう。

クラブW杯をみていて、結果は上出来という評価も多いが(それまでは、やはり疑問に持つ人も多かったのだろう)、サンフレッチェ広島のスタイルを日本代表に持ち込んだとしても、負けない試合はできるが、勝ち進むチームにはならないであろう(そもそもハリルホジッチがどういうサッカーをしたいか、いまだに見えないことの方が問題だとは思うが)。だとすれば、いつも議論になる「日本らしいサッカー」にはいつまでたってもならないのではないだろうか。

このことは、現在のサンフレッチェ広島のスタイルの源流であるミハイロ・ペトロビッチ監督率いる浦和レッドダイヤモンズについても同じである。現在のJリーグでは、ペトロビッチスタイルが強いのであるが、それが必ずしも日本のサッカーを強くするための正攻法とは言えないのが問題だと思っている。

世界の強豪チームのデファクトが結果としてのポゼッションサッカーが主流としているのであれば、果たして今のサンフレッチェ広島や浦和レッズのアプローチで勝てるのか、同じことが代表チームに土俵を移して考えるときに、どうなのかという議論が必要に思う。

これは、余談であるが、サンフレッチェ広島や浦和レッドダイヤモンズのスポンサーを考えると、決して資金力に余裕がある企業とは言えないであろう。同業他社比較で見てもマツダや三菱自動車がトヨタ自動車と比べて資金力が決してあるとはいいがたい。

資金力と順位が必ずしも一致しない当のもサッカーの良いところであるが、資金力のない企業をバックに持つ弱者の戦略がいまの日本サッカーで強いというのが、なんとなく見えてくる構造である。

個人的には、川崎フロンターレのスタイルでしっかりタイトルをとって世界で勝てるサッカー基盤を作ってほしいと思う。ええ、完全なポジショントークです。

浙江大学出版社から「Google vs トヨタ」の中国語版が出版されました

「Google vs トヨタ」も出版しておおよそ1年が経ちましたが、2015年11月1日にその中国語版が浙江大学出版社からでました。

Google不毛の地ChinaにGoogleがテーマの本

拙著への翻訳版の依頼も早かったですが、実際の翻訳とその出版も早かったです。

中国でのモノづくりが盛んな地域の国立大学からの出版ということも興味深いです。

f:id:IzumidaR:20151201114210j:plain

タイトルやサブタイトルは、もとのものとは異なりますが、中身はざっと見る感じ、同じです(詳細は中国が分からないので実態は分かりませんが)。

中国語が読めて、ご興味があればどうぞ。

https://www.amazon.cn/%E6%99%BA%E8%83%BD%E5%8C%96%E6%9C%AA%E6%9D%A5-%E6%97%A0%E4%BA%BA%E9%A9%BE%E9%A9%B6%E5%B0%86%E5%A6%82%E4%BD%95%E6%94%B9%E5%8F%98%E6%88%91%E4%BB%AC%E7%9A%84%E7%94%9F%E6%B4%BB-%E6%B3%89%E7%94%B0%E8%89%AF%E8%BE%85/dp/B017R4V6OK/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1448865732&sr=8-1&keywords=%E6%99%BA%E8%83%BD%E5%8C%96%E6%9C%AA%E4%BE%86

よろしくお願いします。

LongineとPanasonicが個人投資家向け説明会開催―グーグル自動運転と欧州排ガス規制不正解説

Panasonic×Longine個人投資家向けセミナー開催―2015年12月10日

Longineとパナソニックが個人投資家向けセミナーを共同開催します。

開催日:2015年12月10日(木)

時間 :午後6時30分より8時まで

場所 :パナソニック東京汐留ビル5Fホール

費用 :無料(どなたでもご応募可能です)

Longineアナリストによる自動車産業解説

説明会の中で、Longineが自動車産業に関するプレゼンテーションを行います。

Longineのプレゼンテーションの主なトピックは、

  • グーグルはなぜ自動運転車の開発を行うのか
  • 欧州での排ガス規制不正の背景

などの解説を行います。

パナソニックCFOや機関担当役員も参加

パナソニックからはCFOや企画担当の役員も出席し、個人投資家からの質問に直接回答します。

以下のリンクをクリックしていただき、奮ってご応募ください。

Panasonic × Longine 個人投資家向け説明会2015 応募フォーム

自動運転に必要な都市整備を道州制を思い出して考えるー鉄道を事例に

自動運転車※が普及するためには、自動運転車が走る環境を考えなければならないのですが、その際にどうしても考えなければならないのが、"規制"の問題です。
※自動運転にもレベル(ゼロから4)があり、またオートパイロットか自律運転かの議論は必要です。ここでは一旦、無視します。

普通に思うのが、自動運転を普及させる、ないしはその前段階での実証実験をする際にも、一番ネックになるのが、都道府県の自治体の区割りかなぁと思っていました。

たとえば、アクアラインで川崎から木更津に移動している際に神奈川県から千葉県に移動することになるのですが、仮にそこで事故が起きた際に、どちらの警察が管轄するというような問題に直面すると思います。

ただ、自動運転で起きた事故は、仮に自動運転のモードに入っての運転であるとすれば、自動運転車というハードウエアの不具合であったり、自動運転システムの問題であったりと、地域性の問題というよりはレイヤーが一つ上の管轄が必要になるでしょう。このときは警視庁という管轄の担当でも当然なく、さらにレイヤーが上の、そう米国でいえばFBIのような役回りの監督官庁や機能が必要となります。

ここで思うのが、関東は、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県…などを統合して、関東州でも、トーキョー州でも、なんでもよいのですが、というような道州制に近い形を改めて議論しなければ、自動運転の拡張性も議論できず、もったいないなと思っていました。

自動運転という都市デザインの一部を考える際に、忘れていけないのが、鉄道のあり方な訳ですが、「鉄道総研の研究者が描く2030年の鉄道 」を読んでいると、同じような議論と事例があり、なるほどなと思いました。

同書では、フランスとドイツの例があり、いずれも県(フランスでいえば、デパルトマン)であったときよりも、地域圏(フランスではレジオン)で鉄道を運営する方が効率的になったという話もあります。

それはそうだろうという、突っ込みは当然あるとして、日本の鉄道もJRなんかも当然広域での管轄になっているし、民鉄ですら各自治体の境界線をまたいで運営されていることも珍しくないので、自動車のあり方が変わるのであれば当然という気がします。

そこで、日本の道州制はどうなったのか、という点ですが、小泉内閣の時、2006年2月に第28次地方制度調査会が、「道州制の導入が適当」との答申をしたと、同書にも記述があります。

さっとググってみると、経団連も2007年以降道州制を後押ししているんですね。でもすすんでいないと、2013年にも追撃弾。

地方の疲弊は、最近Longineのアナリストが秋田に行った記事を公開して、相当読まれたのですが(下が記事リンク)、

人口減少率が全国一の秋田を歩いてみた | 投信1 [トウシンワン] | 1からはじめる初心者にやさしい投資信託入門サイト

正直、このまま放置しても良いことは何もなさそうな気がします。

日本の産業戦略、つまりどの産業をより強くして、日本として"食っていくのか"を決めて、それに最適な自国の整備をするというのが現実解にならざるを得ないかと。

人の数とその散らばりが今後大きく変わってくる中で、日本のグランドデザインも必要となるし、その中での解もこれまで見ているものとは大きく変わらざるを得ない潮目という気がします。

あらためてイノベーションを考える

日本人はイノベーションを軽く口にしがち

イノベーションというのは、起業家だけではなく、学者も軽く口にしがちであるが、そもそも、その定義を各人がしっかりと定義しているのかどうか。

そもそもはシュンペーターの「新結合」、new combination、なのだが、日本では、目新しいものすべてが、イノベーションとなっていないだろうか。

新結合なので、そもそもが組み合わせなのだが、発明とごっちゃになっているキライもある。

正直、日本でしっかりとイノベーションの定義ができていないので、結果としてイノベーションが生まれても気づきにくいであろうし、そもそも狙って生み出せないというのが実際ではないだろうか。

水平思考の世界がイノベーションを理解するバイブルのはずだが

イノベーションを語るには欠かせない、エドワード・デ・ボノの“New Think(水平思考の世界)”をあらためて読んでみた。

水平思考とは、この本では

“一方向のパターンを離れて、別のいくつかのパターンへと移る”

という思考と定義している。

結論からいえば、この本だけでは、イノベーションをどのように生み出せば良いかは具体的には見えてこない。

本書では、一部の記号を例に、どのように分解してモノゴトを伝えるかで、大きな差が出てくることは、よくわかったが、それで?という感じ。

イノベーションを語る際には、よく出てくる水平思考だが、この本では垂直思考を意味する論理的思考との対比を丁寧に説明しているところに限られており、あくまでも概念の説明というところで止まっている。

水平思考の例をたくさん並べてくれているのも、いちいち、そうだよね、とうなずけるだけで、次はどうするの?というところで止まってしまう。

イノベーション・ツールキット

そうしたもやもやの中、「発想を事業化するイノベーション・ツールキット ―― 機会の特定から実現性の証明まで」を読むと、アプローチが数多く解説されており、一応次のステップにはすすめそうだ。

 

ただ、この本の一番良いところは、イノベーションを次のように説明している点。

“イノベーション成功の鍵は、イノベーションは2つの異なるプロセスからなることを理解することからだ”

といい、その2面性とは、

  • フロントエンドでのイノベーションで、機会を定義する
  • バンクエンドでの活用で、新しいソリューションを改良する

というポイントからそれぞれスタートしています。

なるほどなと。

イノベーションのプロセスもVee Modelに近い形で定義できるかも!と思った次第です。

手元に置きたい1冊。

ECBのDraghi(ドラギ)総裁と記者のやり取りが歌舞伎のようだ

2015年9月初めの中央銀行の総裁の発言としては、ECBのDraghi(ドラギ)総裁, President of the ECB, の発言が一発目。

今回は、ギリシャだけではなく、中国の株価なども含めて注目していたのでECB Draghiのプレゼンとその後の記者会見をじっくり見てみた。

  • ECBの金利水準は変えない
  • 相変わらず欧州は景気は良くなく、実質GDP予想を下方修正
  • エネルギー価格の影響もあり、物価上昇のペースは想定していたより遅い
  • 毎月600億ユーロの資産購入を実行する

マクロの見方に対しては、今回のECB総裁会見の中で特に変わったことはないが、プレゼン内容を聴いても昔の日本を見ているようで、これは多くのエコノミストが同じことを言うのは納得できる。バランスシートの調整が続き…などというコメントが懐かしい。

ドラギと記者とのやり取りが、静かにそしてよどみなく進む。質問する方も、ちゃんと質問ができるし、ドラギも無駄なく答える。まるで、事前の質問表と回答が準備されているようだ。歌舞伎か?!と疑いたくなる。

加えて、動画で公開されている内容は言い間違いも含めてトランスクリプトとして公開されており、緊張感があってよい。当然ながらFTの記者も質問しているが、日経の記者も質問してる…。

それにしても、ECBのウエッブサイトのデザインが今風。日銀も見習えばとも思う。

ドラギは、9月3日が誕生日だったようだ。きれいな女性記者から「誕生日おめでとう」だって。しかも質疑応答の最後に持ってくるとは。ますます、歌舞伎っぽい…。

投信1(トウシンワン)で「ニュース解説」をはじめましたーGoogleがAlphabetになる理由等

投資信託初心者向け入門サイト

これまで、Longine(ロンジン)、株1(カブワン)と日本の個人投資家向けの経済金融メディアを立ち上げてきましたが、この度、「投信1(トウシンワン)」を立ち上げました。

投信1は、投資信託初心者向け入門無料サイトです。

投資信託は、株式とは違い仕組みでできているので、はじめて購入される方はとっつきにくいかもしれませんが、一度理解できれば、個人ではなかなか購入できない金融商品なども保有できる便利な道具です。ご興味があれば、ぜひ、投信1(トウシンワン)のサイトを覗いてみて下さい。

ニュース解説という経済や金融に触れる一歩

また、投信1では、新しい試みを始めました。

それは、投資信託や株式投資にすでに興味があるような方、まだ資産運用をしたことがないけれども今後投資信託や株式投資などで資産運用をはじめたいとお考えの方向けに、時事ニュースや相場動向の解説、アナリスト散歩、銘柄診断などを配信をしています。

G is for Google

たとえば、ニュース解説では、『グーグルが「アルファベット」になる理由―背景は株式市場か』では、なぜグーグルが今回持ち株会社になってまで、また会社名を変えてまで経営体背を変えるのかを解説しています。

通常の速報性の求められるニュースは、踏み込んで解説されることは少なく、私たちもニュースのタイトルだけをみてわかった気になりがちです。しかし、「ニュース解説」では、Longineに参画しているアナリストや外部の有識者が踏み込んで解説をしています。

グーグルがなぜアルファベットに会社名を変えるのかは、実はグーグルの創業者のラリー・ペイジのブログに詳しく書かれています。

ペイジのブログは、"G is for Google" というタイトルではじまっており、そちらに詳しく書かれていますが、簡単に言うと株式市場の圧力によるものです。

そもそも、アルファベットも、「アルファ・ベット」ということで、運用に携わったことがある人はすぐに気付くと思いますが、資本市場のパフォーマンスを上回る部分をアルファと呼び、それにベット、つまり賭けるという意味があるのです。

これまでは、グーグルは、グーグルXというプロジェクト(自動運転車やグーグルグラスなんかそうです)をはじめ、投資リターンが不明瞭に多額の投資をつぎ込んできた経緯と、本業のネット広告の成長率が鈍化してきたこともあり、株主の要求が強まってきたという事実があります。今回はそうした声を多分に反映したといえます。

ニュースも元ソースをしっかり分析することで理解できることもさらに増えます。投信1のニュース解説は気軽に記事を読んだ後は1つの気づきがあるように工夫しながら編集していきます。是非、一度触れてみてください。

なぜ日本ではベンチャーが出てこないのかーいや少しずつだが生まれ、成功しつつあるその背景とは

日本経済が活性化するのにベンチャー企業が必要だ、といわれて久しいが、なかなかベンチャーで大きな企業が出てこない、出てきていないと嘆かれる人も多い。ただ、それは必ずしも的を得た議論ではなくて、周りをみていてもそんなことはないといえる。

そういうと、今度は世の中を変えるようなメガベンチャーが出てきていないではないか、という人もいるが、初めからメガベンチャーだと言い切れるモデルに完成している企業も少ないと思うが、どうであろうか。

若く優秀な証券アナリストが続々独立

さて、実際自分の周りを見てどうかといえば、セカンダリー担当を中心とする証券業界の若手アナリストでも、すっぱりと証券会社を辞めて起業をしたり、ベンチャーの経営に回るものも出てきている。

UUUM(ウーム)CFOの渡辺氏ももともとゴールドマン・サックス証券でエレキやインターネット企業を中心としたテクノロジーセクターのアナリストだったし、UBSで商社を見ていた竹内氏やクレディスイスでインターネットを担当していた中安氏も独立したりしている。

彼らは将来を期待された、ランキングアナリストであった。アベノミクスで証券業界は一見盛り上がって層に見えるが、実際の手数料に落ちているかどうかというのは?が残るし、若手はここぞとばかりに起業に走っている。

起業する業種はサービス業。製造業ではない

起業が増えているとはいえ、一つだけ言えるのは、その業種が偏っているということはできる。その特徴というのはやはりコンテンツも含めてサービスが多く、研究開発などを中心とした上流系は少ない。まあ、現在の日本経済全体の付加価値分布を考えてみても当然かもしれないが。

周りを見る限り、特に若い人の起業熱量は以前の2000年頭のような感じすらもする。

しかし、その背景も、ITバブル時の「なんだか時代を十分には見通せないけど、インターネットはおもしろいし、起業しておけば面白いことになりそう」というような、勢いが大半を占めるものではない。

現在では、インターネットだけではなく、ハイスペックのスマホも世界的に広がって、その上でサービスを展開すれば、とんでもないことになりそう!そしてその成功体験を持った人や企業が身近にあるというある程度手触り感を持っているような気がする。

課金・決済プラットフォーム × ハードウエア

その差はいったいなんだろうなと考えるときに、やはり「課金・決済プラットフォームの有無」の影響が大きいとみている。

皆さんご存知のように、スマホのコンテンツはとりあえずアプリをダウンロードし、有料コンテンツであれば、課金プラットフォーム上で決済される。アップストアやグーグルプレイがあることで、そのハードルは極めて下がった。

話はそれるが、アマゾン・ドットコムのすごさも、クレジットカード情報を入力させ、一度入力すればその後は基本的には決済関係の手間は限りなく少なくて済むようになった。

もちろんアマゾンのすごさは、それだけではなく、物流倉庫を自前で持ち、またデータセンターへの投資も自身だけではなく、外部も含めることで投資効率を上げているということもある。

加えて、スマホが継続的なアップグレードとともに世界共通のハードウエアプラットフォームとして広がったことも大きい。(言語対応の問題は残るが)商機が一気に世界に広がったといえる。

コンテンツは相変わらず

余談であるが、この決済とハードの組み合わせに足りていないものがある。それがコンテンツだ。2000年初めにも当然動画や音楽といったコンテンツは存在したが、十数年たってもその姿はそもそも変わっていない。

音楽はスポティファイやアップルミュージックのようにこれまでのダウンロード型からストリーミング型への配信方式の変化はあるが、別段内容が変わっているわけではない。

動画もそうであるが、個人的に言わせていただけば、視聴する時間や空間の制約がある以上、コンテンツも合わせて変わらなければ、コンテンツを消費する面は増えない。ゲーム市場がここまで大きくなったのはそうしたニーズに対応したからだと思うが、いかがだろうか。

メディアでも、スマートニュースやニューズピックスのようなキュレーションメディアも出てきているが、本丸はやはり自前の編集機能を持つモバイルを最大限活用したメディアであろう。閑話休題。

ファイナンス

ただ、そうした要素は世界中共通しているわけであって、日本特有の話というわけではない。2000年はじめと今を比較して、何が変わったのかといえば、ベンチャーのファイナンスを取り巻く環境が変わってきていることも大きい。

FIBCというフィンテックのカンファレンスで知り合いになった磯崎哲也さんはカブドットコムの社外役員などを経て、現在ベンチャーキャピタルを運営されているが、そうした2000年はじめのITベンチャーブーム経験者にファイナンス面で適切なアドバイスをしてもらえるような機会が増したことも大きいと思う。

磯崎氏に以前ご献本いただいた本「起業のファイナンス 増補改訂版 ベンチャーにとって一番大切なこと 」をあらためてじっくり読まさせていただいたが、事業モデルの組み方から資本政策、コーポレートガバナンスまでを丁寧に解説してあることがわかる。

こうしたファンナンス面での知識というインタンジブル・インフラも地味に起業機会には効いてくるとおもう。その意味で、今の起業熱が一時的なブームでないとみているが、そもそもアベノミクスで景気が良くなったから、というのでは身もふたもないが。