泉田良輔のブログ

テクノロジーアナリストの100%私見

浙江大学出版社から「Google vs トヨタ」の中国語版が出版されました

「Google vs トヨタ」も出版しておおよそ1年が経ちましたが、2015年11月1日にその中国語版が浙江大学出版社からでました。

Google不毛の地ChinaにGoogleがテーマの本

拙著への翻訳版の依頼も早かったですが、実際の翻訳とその出版も早かったです。

中国でのモノづくりが盛んな地域の国立大学からの出版ということも興味深いです。

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タイトルやサブタイトルは、もとのものとは異なりますが、中身はざっと見る感じ、同じです(詳細は中国が分からないので実態は分かりませんが)。

中国語が読めて、ご興味があればどうぞ。

https://www.amazon.cn/%E6%99%BA%E8%83%BD%E5%8C%96%E6%9C%AA%E6%9D%A5-%E6%97%A0%E4%BA%BA%E9%A9%BE%E9%A9%B6%E5%B0%86%E5%A6%82%E4%BD%95%E6%94%B9%E5%8F%98%E6%88%91%E4%BB%AC%E7%9A%84%E7%94%9F%E6%B4%BB-%E6%B3%89%E7%94%B0%E8%89%AF%E8%BE%85/dp/B017R4V6OK/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1448865732&sr=8-1&keywords=%E6%99%BA%E8%83%BD%E5%8C%96%E6%9C%AA%E4%BE%86

よろしくお願いします。

LongineとPanasonicが個人投資家向け説明会開催―グーグル自動運転と欧州排ガス規制不正解説

Panasonic×Longine個人投資家向けセミナー開催―2015年12月10日

Longineとパナソニックが個人投資家向けセミナーを共同開催します。

開催日:2015年12月10日(木)

時間 :午後6時30分より8時まで

場所 :パナソニック東京汐留ビル5Fホール

費用 :無料(どなたでもご応募可能です)

Longineアナリストによる自動車産業解説

説明会の中で、Longineが自動車産業に関するプレゼンテーションを行います。

Longineのプレゼンテーションの主なトピックは、

  • グーグルはなぜ自動運転車の開発を行うのか
  • 欧州での排ガス規制不正の背景

などの解説を行います。

パナソニックCFOや機関担当役員も参加

パナソニックからはCFOや企画担当の役員も出席し、個人投資家からの質問に直接回答します。

以下のリンクをクリックしていただき、奮ってご応募ください。

Panasonic × Longine 個人投資家向け説明会2015 応募フォーム

自動運転に必要な都市整備を道州制を思い出して考えるー鉄道を事例に

自動運転車※が普及するためには、自動運転車が走る環境を考えなければならないのですが、その際にどうしても考えなければならないのが、"規制"の問題です。
※自動運転にもレベル(ゼロから4)があり、またオートパイロットか自律運転かの議論は必要です。ここでは一旦、無視します。

普通に思うのが、自動運転を普及させる、ないしはその前段階での実証実験をする際にも、一番ネックになるのが、都道府県の自治体の区割りかなぁと思っていました。

たとえば、アクアラインで川崎から木更津に移動している際に神奈川県から千葉県に移動することになるのですが、仮にそこで事故が起きた際に、どちらの警察が管轄するというような問題に直面すると思います。

ただ、自動運転で起きた事故は、仮に自動運転のモードに入っての運転であるとすれば、自動運転車というハードウエアの不具合であったり、自動運転システムの問題であったりと、地域性の問題というよりはレイヤーが一つ上の管轄が必要になるでしょう。このときは警視庁という管轄の担当でも当然なく、さらにレイヤーが上の、そう米国でいえばFBIのような役回りの監督官庁や機能が必要となります。

ここで思うのが、関東は、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県…などを統合して、関東州でも、トーキョー州でも、なんでもよいのですが、というような道州制に近い形を改めて議論しなければ、自動運転の拡張性も議論できず、もったいないなと思っていました。

自動運転という都市デザインの一部を考える際に、忘れていけないのが、鉄道のあり方な訳ですが、「鉄道総研の研究者が描く2030年の鉄道 」を読んでいると、同じような議論と事例があり、なるほどなと思いました。

同書では、フランスとドイツの例があり、いずれも県(フランスでいえば、デパルトマン)であったときよりも、地域圏(フランスではレジオン)で鉄道を運営する方が効率的になったという話もあります。

それはそうだろうという、突っ込みは当然あるとして、日本の鉄道もJRなんかも当然広域での管轄になっているし、民鉄ですら各自治体の境界線をまたいで運営されていることも珍しくないので、自動車のあり方が変わるのであれば当然という気がします。

そこで、日本の道州制はどうなったのか、という点ですが、小泉内閣の時、2006年2月に第28次地方制度調査会が、「道州制の導入が適当」との答申をしたと、同書にも記述があります。

さっとググってみると、経団連も2007年以降道州制を後押ししているんですね。でもすすんでいないと、2013年にも追撃弾。

地方の疲弊は、最近Longineのアナリストが秋田に行った記事を公開して、相当読まれたのですが(下が記事リンク)、

人口減少率が全国一の秋田を歩いてみた | 投信1 [トウシンワン] | 1からはじめる初心者にやさしい投資信託入門サイト

正直、このまま放置しても良いことは何もなさそうな気がします。

日本の産業戦略、つまりどの産業をより強くして、日本として"食っていくのか"を決めて、それに最適な自国の整備をするというのが現実解にならざるを得ないかと。

人の数とその散らばりが今後大きく変わってくる中で、日本のグランドデザインも必要となるし、その中での解もこれまで見ているものとは大きく変わらざるを得ない潮目という気がします。

あらためてイノベーションを考える

日本人はイノベーションを軽く口にしがち

イノベーションというのは、起業家だけではなく、学者も軽く口にしがちであるが、そもそも、その定義を各人がしっかりと定義しているのかどうか。

そもそもはシュンペーターの「新結合」、new combination、なのだが、日本では、目新しいものすべてが、イノベーションとなっていないだろうか。

新結合なので、そもそもが組み合わせなのだが、発明とごっちゃになっているキライもある。

正直、日本でしっかりとイノベーションの定義ができていないので、結果としてイノベーションが生まれても気づきにくいであろうし、そもそも狙って生み出せないというのが実際ではないだろうか。

水平思考の世界がイノベーションを理解するバイブルのはずだが

イノベーションを語るには欠かせない、エドワード・デ・ボノの“New Think(水平思考の世界)”をあらためて読んでみた。

水平思考とは、この本では

“一方向のパターンを離れて、別のいくつかのパターンへと移る”

という思考と定義している。

結論からいえば、この本だけでは、イノベーションをどのように生み出せば良いかは具体的には見えてこない。

本書では、一部の記号を例に、どのように分解してモノゴトを伝えるかで、大きな差が出てくることは、よくわかったが、それで?という感じ。

イノベーションを語る際には、よく出てくる水平思考だが、この本では垂直思考を意味する論理的思考との対比を丁寧に説明しているところに限られており、あくまでも概念の説明というところで止まっている。

水平思考の例をたくさん並べてくれているのも、いちいち、そうだよね、とうなずけるだけで、次はどうするの?というところで止まってしまう。

イノベーション・ツールキット

そうしたもやもやの中、「発想を事業化するイノベーション・ツールキット ―― 機会の特定から実現性の証明まで」を読むと、アプローチが数多く解説されており、一応次のステップにはすすめそうだ。

 

ただ、この本の一番良いところは、イノベーションを次のように説明している点。

“イノベーション成功の鍵は、イノベーションは2つの異なるプロセスからなることを理解することからだ”

といい、その2面性とは、

  • フロントエンドでのイノベーションで、機会を定義する
  • バンクエンドでの活用で、新しいソリューションを改良する

というポイントからそれぞれスタートしています。

なるほどなと。

イノベーションのプロセスもVee Modelに近い形で定義できるかも!と思った次第です。

手元に置きたい1冊。

ECBのDraghi(ドラギ)総裁と記者のやり取りが歌舞伎のようだ

2015年9月初めの中央銀行の総裁の発言としては、ECBのDraghi(ドラギ)総裁, President of the ECB, の発言が一発目。

今回は、ギリシャだけではなく、中国の株価なども含めて注目していたのでECB Draghiのプレゼンとその後の記者会見をじっくり見てみた。

  • ECBの金利水準は変えない
  • 相変わらず欧州は景気は良くなく、実質GDP予想を下方修正
  • エネルギー価格の影響もあり、物価上昇のペースは想定していたより遅い
  • 毎月600億ユーロの資産購入を実行する

マクロの見方に対しては、今回のECB総裁会見の中で特に変わったことはないが、プレゼン内容を聴いても昔の日本を見ているようで、これは多くのエコノミストが同じことを言うのは納得できる。バランスシートの調整が続き…などというコメントが懐かしい。

ドラギと記者とのやり取りが、静かにそしてよどみなく進む。質問する方も、ちゃんと質問ができるし、ドラギも無駄なく答える。まるで、事前の質問表と回答が準備されているようだ。歌舞伎か?!と疑いたくなる。

加えて、動画で公開されている内容は言い間違いも含めてトランスクリプトとして公開されており、緊張感があってよい。当然ながらFTの記者も質問しているが、日経の記者も質問してる…。

それにしても、ECBのウエッブサイトのデザインが今風。日銀も見習えばとも思う。

ドラギは、9月3日が誕生日だったようだ。きれいな女性記者から「誕生日おめでとう」だって。しかも質疑応答の最後に持ってくるとは。ますます、歌舞伎っぽい…。

投信1(トウシンワン)で「ニュース解説」をはじめましたーGoogleがAlphabetになる理由等

投資信託初心者向け入門サイト

これまで、Longine(ロンジン)、株1(カブワン)と日本の個人投資家向けの経済金融メディアを立ち上げてきましたが、この度、「投信1(トウシンワン)」を立ち上げました。

投信1は、投資信託初心者向け入門無料サイトです。

投資信託は、株式とは違い仕組みでできているので、はじめて購入される方はとっつきにくいかもしれませんが、一度理解できれば、個人ではなかなか購入できない金融商品なども保有できる便利な道具です。ご興味があれば、ぜひ、投信1(トウシンワン)のサイトを覗いてみて下さい。

ニュース解説という経済や金融に触れる一歩

また、投信1では、新しい試みを始めました。

それは、投資信託や株式投資にすでに興味があるような方、まだ資産運用をしたことがないけれども今後投資信託や株式投資などで資産運用をはじめたいとお考えの方向けに、時事ニュースや相場動向の解説、アナリスト散歩、銘柄診断などを配信をしています。

G is for Google

たとえば、ニュース解説では、『グーグルが「アルファベット」になる理由―背景は株式市場か』では、なぜグーグルが今回持ち株会社になってまで、また会社名を変えてまで経営体背を変えるのかを解説しています。

通常の速報性の求められるニュースは、踏み込んで解説されることは少なく、私たちもニュースのタイトルだけをみてわかった気になりがちです。しかし、「ニュース解説」では、Longineに参画しているアナリストや外部の有識者が踏み込んで解説をしています。

グーグルがなぜアルファベットに会社名を変えるのかは、実はグーグルの創業者のラリー・ペイジのブログに詳しく書かれています。

ペイジのブログは、"G is for Google" というタイトルではじまっており、そちらに詳しく書かれていますが、簡単に言うと株式市場の圧力によるものです。

そもそも、アルファベットも、「アルファ・ベット」ということで、運用に携わったことがある人はすぐに気付くと思いますが、資本市場のパフォーマンスを上回る部分をアルファと呼び、それにベット、つまり賭けるという意味があるのです。

これまでは、グーグルは、グーグルXというプロジェクト(自動運転車やグーグルグラスなんかそうです)をはじめ、投資リターンが不明瞭に多額の投資をつぎ込んできた経緯と、本業のネット広告の成長率が鈍化してきたこともあり、株主の要求が強まってきたという事実があります。今回はそうした声を多分に反映したといえます。

ニュースも元ソースをしっかり分析することで理解できることもさらに増えます。投信1のニュース解説は気軽に記事を読んだ後は1つの気づきがあるように工夫しながら編集していきます。是非、一度触れてみてください。

なぜ日本ではベンチャーが出てこないのかーいや少しずつだが生まれ、成功しつつあるその背景とは

日本経済が活性化するのにベンチャー企業が必要だ、といわれて久しいが、なかなかベンチャーで大きな企業が出てこない、出てきていないと嘆かれる人も多い。ただ、それは必ずしも的を得た議論ではなくて、周りをみていてもそんなことはないといえる。

そういうと、今度は世の中を変えるようなメガベンチャーが出てきていないではないか、という人もいるが、初めからメガベンチャーだと言い切れるモデルに完成している企業も少ないと思うが、どうであろうか。

若く優秀な証券アナリストが続々独立

さて、実際自分の周りを見てどうかといえば、セカンダリー担当を中心とする証券業界の若手アナリストでも、すっぱりと証券会社を辞めて起業をしたり、ベンチャーの経営に回るものも出てきている。

UUUM(ウーム)CFOの渡辺氏ももともとゴールドマン・サックス証券でエレキやインターネット企業を中心としたテクノロジーセクターのアナリストだったし、UBSで商社を見ていた竹内氏やクレディスイスでインターネットを担当していた中安氏も独立したりしている。

彼らは将来を期待された、ランキングアナリストであった。アベノミクスで証券業界は一見盛り上がって層に見えるが、実際の手数料に落ちているかどうかというのは?が残るし、若手はここぞとばかりに起業に走っている。

起業する業種はサービス業。製造業ではない

起業が増えているとはいえ、一つだけ言えるのは、その業種が偏っているということはできる。その特徴というのはやはりコンテンツも含めてサービスが多く、研究開発などを中心とした上流系は少ない。まあ、現在の日本経済全体の付加価値分布を考えてみても当然かもしれないが。

周りを見る限り、特に若い人の起業熱量は以前の2000年頭のような感じすらもする。

しかし、その背景も、ITバブル時の「なんだか時代を十分には見通せないけど、インターネットはおもしろいし、起業しておけば面白いことになりそう」というような、勢いが大半を占めるものではない。

現在では、インターネットだけではなく、ハイスペックのスマホも世界的に広がって、その上でサービスを展開すれば、とんでもないことになりそう!そしてその成功体験を持った人や企業が身近にあるというある程度手触り感を持っているような気がする。

課金・決済プラットフォーム × ハードウエア

その差はいったいなんだろうなと考えるときに、やはり「課金・決済プラットフォームの有無」の影響が大きいとみている。

皆さんご存知のように、スマホのコンテンツはとりあえずアプリをダウンロードし、有料コンテンツであれば、課金プラットフォーム上で決済される。アップストアやグーグルプレイがあることで、そのハードルは極めて下がった。

話はそれるが、アマゾン・ドットコムのすごさも、クレジットカード情報を入力させ、一度入力すればその後は基本的には決済関係の手間は限りなく少なくて済むようになった。

もちろんアマゾンのすごさは、それだけではなく、物流倉庫を自前で持ち、またデータセンターへの投資も自身だけではなく、外部も含めることで投資効率を上げているということもある。

加えて、スマホが継続的なアップグレードとともに世界共通のハードウエアプラットフォームとして広がったことも大きい。(言語対応の問題は残るが)商機が一気に世界に広がったといえる。

コンテンツは相変わらず

余談であるが、この決済とハードの組み合わせに足りていないものがある。それがコンテンツだ。2000年初めにも当然動画や音楽といったコンテンツは存在したが、十数年たってもその姿はそもそも変わっていない。

音楽はスポティファイやアップルミュージックのようにこれまでのダウンロード型からストリーミング型への配信方式の変化はあるが、別段内容が変わっているわけではない。

動画もそうであるが、個人的に言わせていただけば、視聴する時間や空間の制約がある以上、コンテンツも合わせて変わらなければ、コンテンツを消費する面は増えない。ゲーム市場がここまで大きくなったのはそうしたニーズに対応したからだと思うが、いかがだろうか。

メディアでも、スマートニュースやニューズピックスのようなキュレーションメディアも出てきているが、本丸はやはり自前の編集機能を持つモバイルを最大限活用したメディアであろう。閑話休題。

ファイナンス

ただ、そうした要素は世界中共通しているわけであって、日本特有の話というわけではない。2000年はじめと今を比較して、何が変わったのかといえば、ベンチャーのファイナンスを取り巻く環境が変わってきていることも大きい。

FIBCというフィンテックのカンファレンスで知り合いになった磯崎哲也さんはカブドットコムの社外役員などを経て、現在ベンチャーキャピタルを運営されているが、そうした2000年はじめのITベンチャーブーム経験者にファイナンス面で適切なアドバイスをしてもらえるような機会が増したことも大きいと思う。

磯崎氏に以前ご献本いただいた本「起業のファイナンス 増補改訂版 ベンチャーにとって一番大切なこと 」をあらためてじっくり読まさせていただいたが、事業モデルの組み方から資本政策、コーポレートガバナンスまでを丁寧に解説してあることがわかる。

こうしたファンナンス面での知識というインタンジブル・インフラも地味に起業機会には効いてくるとおもう。その意味で、今の起業熱が一時的なブームでないとみているが、そもそもアベノミクスで景気が良くなったから、というのでは身もふたもないが。

【追悼】任天堂岩田聡社長。今しか書けないので書いておこうと思います。

2015年7月11日に、任天堂の岩田さんがお亡くなりになりました。

年齢を考えれば、あまりにもはやかったと思いますし、世界中のみんながそう思っているでしょう。

病気については、もともと難しい病気という話はありましたし、時折マスコミに出てこられる写真を見ても闘病生活が容易でないものだということは想像がつきました。

特に、任天堂の次の取り組むテーマがQOL(クオリティ・オブ・ライフ)ということでしたので、ご自身の背景を重ねて、ゲームをいかにその領域で活用できるのかを考えておられたのだと思います。

岩田社長には何度かお会いさせていただいたことがあります。それぞれあわただしいこともありましたし、じっくり話す機会もありました。

しかし、いずれの機会でも、間髪入れずに自分の言葉で自分の考えをまっすぐに話をされていたのを思い出します。

常に自分の考えがあるからこそ、質問に対してよどみなく回答ができたのだと当時も感じましたし、今でも感じます。

岩田社長は、日本人の中でも、いや世界の中でもたぐいまれなる経験をした経営者だと思います。

それは何を言っているかというと、ニンテンドーDSやWiiといった世界のゲーム市場に、新しいユーザー体験を提供したエンジニア・経営者であるということです。

イノベーションという言葉は、日本ではややもすれば使い古された、手垢のついた言葉ですが、岩田社長は本当の意味でのイノベーションを実践した人物といっても良いでしょう。

ただ、私の持論ですが、イノベーションの本質は残酷です。

イノベーションを起こす方は「世界を良くする!」というのを錦の御旗に、既存プレーヤーを次々となぎ倒していきます。

一方で、イノベーションを起こされる方は、これまでのゲームのルールを無効化され、なすすべもなく敗れていきます。

そして、一度イノベーションを起こしたものは、別の誰かにイノベーションを起こされるのではないかと不安にもなりますし、投資家などからは次々とイノベーションを起こすように催促されます。本当にインパクトのあるイノベーションなどは、そんな短い時間軸で起るはずもないということも理解しつつも。

個人的には、岩田さんはWiiが成功した後に社長を辞めればよかったのではないか、と思うことはしばしばありました。

2度も大きなイノベーションを起こしたうえに、さらに新たなイノベーションを起こせる確率などどれくらいあるのかとも思ったものです。

一方で、岩田さんならという期待もあったのも事実です。

岩田さんはこうした株式市場や資本市場からのプレッシャーを相当強く受けた可能性は高いと思います。

プレッシャーによるストレスとご病気の関係性はわかりませんが、世界の人からの期待をご自身で受け止めるというのは、常人には想像がつきません。

さて、岩田さんがSNSを知らないとか、スマホゲームを知らないとかいう評価は相当程度ありました。ただし、その評価は正直ずっと的を得ているとは思いませんでした。

なぜなら、岩田さんは大のアップルMacユーザーでしたから。決算説明会でMacを広げ、ご自身で作ったであろうプレゼンテーションシートでプレゼンをしていました。

iPhoneでスマートフォンの世界観がどう変わったのかなどは感じていたことでしょう。

でも、スマホにゲームは提供しなかった。

それは、ハードウエアの力を理解していたからですし、また自分たちでデザインしたハードとコンテンツを掛け合せた時に最高のユーザー体験を提供できると知っていたからです。

日本人の多くがあきらめてしまったハードウエアにこだわっていたのだと思います。

岩田さんは、本質を語る人でしたが、無駄なことはあまり多くを口にする人ではなかったです。

ただ、私が岩田さんのまわりの方に話したアイデアなどは、あとあと「聞きましたよ」と言ってくれたりしたものです。誰にでも心配りができる方でした。

恐らく、社内では相当厳しい経営者だったでしょうが、その背後にはそうした心配りもできることもあったのでしょう。周りには優秀な人材がひきつけられていったようにも見えました。

ある年の年末だったかと思いますが、打ち合わせをしたのちに、岩田社長から握手を求められ、握手をしました。

私はなぜ握手を求められたのかは分かりませんでしたが、いまでも鮮明にその時のことは覚えています。

岩田社長ののような経営者と同じ時代を過ごし、面識があったことは何物にも代えがたい財産だと思って、あらためて今を生きようと思います。

ご冥福をお祈りいたします。

 

Longine、おかげさまでサービスを開始して2周年!

2015年6月26日で、Longineのサービスを開始して、丸2年が経過しました。

2年前を振り返ると、当時、歌舞伎座の近くで東銀座にあった吉積情報に寝泊まりをして、ローンチしたのを思い出します。そうそう、あの時にセブンイレブンの100円コーヒーが激ウマということをしったのでした。

もともとLongineのサービスインを日本経済新聞さんに報道されていたとあって、絶対にサービスをスタートしなければならないという、極めて追い込まれた状況でしたw

下のリンクが当時の日経さんの記事リンクです(2013年6月23日)。

【アナリスト経験者ら、個人投資家向けリポート 月1050円で配信 】

Longineは個人投資家向け経済金融メディアとしてスタートしたわけですが、日本全国の個人投資家の購読者の方だけではなく、ヘッジファンドや大手運用会社のアナリストなどにも読まれています。

また、楽天証券様、マネックス証券様といった大手オンライン証券の方、「企業IR」に参画下さった多くの上場企業マネジメントの皆様、「投信解説」にご登場下さったベテランファンドマネージャーを中心とした運用会社の皆様に支えられて今があります。改めて感謝いたします。

今後のLongineは、というよりは、ナビゲータープラットフォーム社はどっちに行くかといえば、LongineをCutting Edgeメディアとしながらも、様々なステージにある個人投資家読者との接点(タッチポイント)を増やすべく、メディア・ポートフォリオ・マネジメントを強化していきたいと思います。

2015年4月にローンチした、株初心者向け投資入門サイト「株1(カブワン)」もその一つです。

そういえば、株1も日本経済新聞社さんに報道いただきました(2015年4月12日)。

【投資初心者向け無料情報サイト ナビゲータープラットフォーム 】

メディア・ポートフォリオ・マネジメントを進めていくにあたって、メディア運営経験者から経験豊富なアナリストなどこれまでの深堀と横展開で基盤を強化していきたいなと考えています。

日本の株式市場は(とはいっても日経平均ですが)、ITバブルの高値を抜いたなんて言っていますが、気を引き締めて調査活動に邁進したいと思います。

Longineの推奨銘柄のパフォーマンスなどをまとめたトップニュースをアップしておりますので、ご興味ある方はそちらもご覧ください。

【Longineサービス開始2周年!数字で見るLongineポートフォリオのパフォーマンス】

引き続き、よろしくお願いします。

風間八宏監督の戦略-サッカー理論と戦術から分析

2012年に就任した川崎フロンターレの風間八宏監督。2016年シーズンで就任5年目となる。2016年シーズンは年間勝ち点で現在2位。1stステージは鹿島アントラーズに優勝を奪われたものの、その後は再び首位に返り咲いたのだが。風間戦略の根底にある理論と戦術の背景に迫まる。

風間八宏監督が川崎Fでの監督を2016年今季限りで退任するという。今後はどのような役割を担うかに注目が集まるが、風間監督の戦略および戦術観は大きく変わらにであろう。引き続き風間監督のコメント「風間文学」をもとにその思考プロセスを考えていきたい。【2016年11月21日アップデート】

風間八宏監督が唱える日本サッカーが強くなるための処方箋

川崎フロンターレ風間八宏監督のサッカー理論は日本では独特、ユニークな理論に聞こえるが、グローバルを視野に入れれば特段特別な話をしているわけではない。

風間理論を一言でいえば、日本のサッカーのレベルがどうすれば世界に近づけるか、個人がどうすれば競争優位を確立できるかという思想が基盤となっている。

2012年に風間監督が川崎フロンターレの監督に就任し、2016年現在いまだタイトルを獲れていない中、「なにをそんな理想をいうか」と指摘する人もいるであろう。

しかし、ワールドカップに出場できるサッカーのレベル及びそのステージの追求は日本としてはもう十分ではないであろうか。

むしろいかに世界の強豪国、強豪クラブと競う中でどのように勝てるかが重要かと思う。

風間サッカー理論とは

風間監督のサッカーは実際に川崎フロンターレの練習を見に行くと勉強になる。詳細は外では見せないであろうが、練習やミニゲームなどから見えてくることもある。

ただし、言語化されたものの方が理解し易いということもあるので、著書も紹介しておく。

風間サッカー理論を理解できる本は下に示す2冊である。

風間監督が語る内容は当然サッカーに関することが、それ以外の領域、特にビジネスにも共通すると思える良書である。

>>日本サッカーを救う「超戦術」 (ベースボール・マガジン社新書)

>>「 1対21 」 のサッカー原論 「 個人力 」 を引き出す発想と技術

さて、風間氏は「目的と手段を間違えるな」と繰り返し指摘している。これは、あたり前のように感じるが、言われてみるとなるほどと思うことが多いから不思議だ。

日本人は、手段を教え込まれると、それを磨き上げるのが目的となってしまい、もともとの手段の目的を見失ってしまいがちである。

たとえば、首を振って周りを見るというのは何のためなのか、ということを風間氏は例として取り上げている。首を振るのは、周囲の状況をよく見るためであるが、首を振ることの自体は忠実に行うのであるが、なぜ首を振るのかを忘れてしまいがちであるという。別に周囲を理解するためには必ずしも首を振るのではなく、別のアクションでもよいではないかということだ。

余談だが、日本の半導体産業においても“微細化のための微細化投資”になり、微細化のイニシアティブをとることで最終的に半導体メーカーとしてどうしたいのが見えていなかった。現在、技術的にも競争優位の残っているとされるNANDフラッシュメモリもそのトレンドにあるような気がしてならない。

結果、日本の半導体メーカーは微細化投資に多額の資金がかかった上にアップルをはじめとした一部大口顧客の交渉力に負け十分な収益を上げることができないケースが多かった。最悪のケースの場合には、莫大な設備投資をした割に回収が十分ではなければ会社の生存確率を極端に下げてしまうことも多い。

個人戦術-「個」にこだわる

風間氏は、「個人戦術」を「考える力」と「技術」の集合体と定義しており、選手一人ひとりの戦う術としている。

また、「考える力」に必要なのは情報収集力とスピードが大事だとしている。

では、情報収集が重要だというのは、自分の周りの状況を把握し、次にどうするかを決める材料になるからである。また、その情報収集と意思決定を迅速に行うことができれば、相手よりも有利なポジションや展開ができるということもある。

「技術」に関しても定義は極めてシンプルだ。

  • 止める
  • 蹴る
  • 運ぶ
  • 外す

とこの4つであり、この一つずつを完成度の高いものにしていくことと、その組み合わせが技術としてレベルの高いものとなっていく。

詳しくは以下のDVDが非常に面白いし、分かりやすい。少なくともVol.3 までをじっくり見ると風間監督の言いたいことが理解できるようになる。

>>風間八宏 FOOTBALL CLINIC Vol.1 [DVD](ちなみに「止める」がテーマ)

>>風間八宏 FOOTBALL CLINIC Vol.2 [DVD](「運ぶ」[外す]がテーマ)

>>風間八宏 FOOTBALL CLINIC Vol.3「受ける」 [DVD]

>>風間八宏 FOOTBALL CLINIC Vol.4「シュート」 [DVD]

>>風間八宏FOOTBALL CLINIC vol.5「シュート応用編」 [DVD]

戦闘能力とはいかに

さて、風間氏は、「個」をテーマに、別の個所では「個人戦術」という言葉のほかに「戦闘能力」という言葉を使う。

その言葉自体は、やや平たく言いすぎているが、システムズエンジニアリングでいえば、LCI, Lowest Configuration Item に近いかなと思う。サッカーのシステムを構成する上で、もっとも根幹というか、基盤になる要素だ。

風間氏は、その例を「ボールをいかに取られないか、取られたらいかにとりかえすか」や「相手の力を見極めて自分の手を講じる」というような意味で使っている。

ビジネスでも、個人の戦闘能力で大きくビジネスモデルそのものが影響を受ける。細かいことを言えば、相手の言いたいことを理解するコミュニケーション能力であったり、自分たちの受注環境を優位にするための交渉術であったり、会社のキャッシュフローを盤石にするためのプライシング策であったり、様々だが、こうしたマイクロな局面での積み上げがビジネスでいう「戦闘能力」だ。

サッカーでも、監督の言われたとおりにやって見せたので褒めてほしいというような選手もいるそうだ。それは最低限で、それ以上の何ができるかで評価が決まると、風間氏は言う。

サッカーも局面局面で様々に変化をする。それにいかに柔軟に対応ができるかも「戦闘能力」だという。つまりは、読み筋をいかに柔軟にいくつも持つことができる選手が強い。

サッカーもビジネスも同様だと思うが、全体はシステムであるのだが、LCIでそのシステムの強さが決定づけられることが多い。そこを理解できるだけで、システムへの取り組み姿勢とデザインが大きく変わる。

風間八宏語録

風間監督の試合後のコメントは、その試合の振り返りとともにどのような思考プロセスや戦術があるのかが透けて見えてくる。極めて面白いので順を追ってみていこう。

<第96回天皇杯ラウンド16 対浦和レッズ戦>

激戦。このコメントで風間監督は日本全体のサッカーを展望しているなと思っていたのだが。代表監督も視野に入ったかと思ったのだが、ハリルがサウジ戦で勝ったことも含めて歯車が崩れたのか。

浦和レッズというチームはものすごく特別に個人が揃っているチーム、それから自分達の自信というものをものすごく持っているので、そういうところでああいうゲームが沢山できるというのはすごく大事なことだと思いますし、Jリーグでもああいう試合が見られるんだということをもっともっとみんなで突き詰めていかないといけないんじゃないかなと思います。必ず海外が面白いという訳では無いですし、海外から何かを学ぶというのはいつも言っていますけど、もう必要が無いんじゃないかなと思いますので、我々独自のもの、ペトロヴィッチさんも外国人とは思っていないです。*1

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<2016年2ndステージ第17節 対ガンバ大阪戦>

2点先行したらちゃんと勝ち切れよ!という試合。以上。

初めてやって約5シーズン。その中で色々と考えることもありますし、それから選手と同じように自分自身も継続と刺激と、トレーニングでもそうですけど、必要だと思いますので。そのへんで少し頭を変えたいなと思っただけです。*2

ということで、結局グランパスに行く可能性が高くなった風間監督。グランパスに一体何があるのか不明だが、そこは風間監督なので。

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<2016年2ndステージ第16節 対鹿島アントラーズ戦>

ちぐはぐな試合。結局GK新井章太選手とFW森本貴幸選手が主役。

1人でも自信を持たない、あるいはそこのところの技術を相手に対して向かっていかなければ、リズムが悪くなる。*3

そして風間監督をしてでも言語化できない森本選手。

不思議な選手というか。それが僕のいつもの印象です。なかなかゲームの中に入ってこないなと思うと、でも試合に出すと点を獲る。練習試合でもカップ戦でもですけど、そういうところがあるので。不思議な選手だなと。*4

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<2016年2ndステージ第15節 対サンフレッチェ広島戦>

この試合で負けると本当に年間王者が遠のいてしまうので負けられない一戦。といっても相手がサンフレッチェとあればという心境。

結果は怪我後の新井章太選手がしっかり守っての2-0という完封勝利。

たくさんの失敗、それからたくさんの成功、そこのところを徹底的に作って行けと言うことを言って3週間たちましたけど、そういうことは何かというと、失敗がわかると成功がわかることですから。逆に成功がわからないと失敗がわからないので。そこを徹底的に意識してくれと。かなりきついトレーニングをしましたけど、逆に試合だから全てが成功だということも伝えて。*5

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サンフレッチェの森保一監督の言葉も読み応えあります。以下が優勝経験監督の言葉です。風間監督に対してサンフレッチェの先輩という尊敬の念もありますが、ジュビロ磐田の名波監督の時といい、コメントの潔さ度が半端ない。

(森谷賢太郎のシュートを受けて)優勝争いをしているときは、ああいうスーパーなゴールが決まる。我々も経験していますし、川崎さんの攻撃のクオリティで、あのシュートは素晴らしかったと思います。

結果として力不足だったということ。そこは結果を真摯に受け止めて、どんなシーズンであろうとも、結果を出せるようにこだわって。ただ、今日もそうですけど、ケガ人や離脱者がすごく多い中で今シーズン戦ってきていますし、ほぼメンバー編成で固定して戦える状況が無かった中で、上位というか優勝争いには届かなかったですけど、選手達は逆に降格争いをしていてもおかしくない状況の中でギリギリのところで踏ん張ってくれたという部分では良くやってくれたと思いますし、そこはさらに上を目指して、優勝の喜びを知っているチームなだけに悔しさを糧に来季に繋いでいきたいです。*6

<2016年2ndステージ第14節 対ヴィッセル神戸戦>

あーっ、という結果。もともと負傷者・けが人続出でリソースの限界もあったが、GKまでもという状況。1stステージでの福岡戦が思い出される。最後は個人個人の意識レベルの問題か。勝ち続ける、優勝するというのは別次元、と感じる。

下を向くようなゲームではないと思いますけど、選手がチームに隠れたかなという感じがすごくしました。選手おのおのが「自分がチームを勝たせるんだ」、それからもう1つは「やりたいんだ」というところを出してもらえれば、決めるべきところを決められたと思いますし、ミスのところもなかったんじゃないかなと。ただ、途中から代わって入った3人は、すごくギラギラ感を出してくれました。こういうのがまたチーム力につながっていく。競争がない世界では強くなれませんので。*7

<2016年2ndステージ第13節 対横浜F・マリノス戦>

劇的すぎる結末。あれほど劇的な内容は欲していないので、2-0で素直に終わらせてほしい。技術という目。

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色んなことを選手がわかってくると思うですけど、特に技術という目ですよね。目がどのくらい早いか、あるいは何が見えているかという仕上げが出てくる。それは何かというと、いつも、というといつもではないですね。*8

<2016年2ndステージ第12節 対大宮アルディージャ戦>

前半の大久保嘉人選手が退場することで数的不利に。負けてはいけない試合での敗戦。

我々はいつも数的有利の練習はしていないので、そういう意味では、そういうものではないというのは選手たちは理解している。自分たちがボールを持って崩せば、人数が少なくても崩せるということは、選手たちは理解していると思いました。そこのところをハーフタイムに言いましたし、点は取れるとも言いました。そこはよくやってくれたと思います。

<2016年2ndステージ第11節 対アビスパ福岡戦>

1stステージでのフロンターレの優勝を阻んだ福岡をホームに迎えて。終始ボールを支配して安心感のあるゲーム。DF陣にけが人続出する中で、MF6の田坂祐介選手がまさかのDFで先発。大丈夫かなとドキドキしてみてましたが、安定感あり。

立て直す必要はないですね。過去はないというのと、レイソル戦も失点がものすごく安易だっただけですけど、あとはもう、今日と同じような試合展開になっていたので。あれをもっともっと、毎回ですけど、結果的にはそれを敬遠するよりも、自分たちのものですね。*9

風間監督の言葉の意味は良く分からないが、昨日と今日と明日は非連続であるということのようだ。はい。

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<2016年2ndステージ第10節 対柏レイソル戦>

小雨がふる等々力競技場。前節の緊張感ある立ち上がりとは打って変わって、試合開始早々ポンポンとセットプレーから立て続けにディエゴ・オリベイラに得点を許す展開。

はたから見ていると、セットプレーのマークが緩いとかディフェンスや攻撃時のミスから失点が多くみられたが、そこは風間監督は特に何が問題だとは指摘しない。よくわからないという。自ら相手を調子に乗らせるという「風を起こす」という。

ただ、僕はそこのミスももちろんなんですけど、最初のプレーはものすごく大事なんだなと思いました。そこでちょっと風を起こしてしまったかなと。というのは何かというと、遠いところ、サイドに開いたところ、特に自陣で逃げたパスが何回かあって、立ち上がりにそれをすぐに引っ掛けられて、それからなので。風を起こしてはいけないのですけど、相手の風をそこで起こしたかなと。ワンプレーの大切さ、それから、いつも言っていることを自信を持ってやること。これがあらためて大事だなというふうには思いました。*10

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<2016年2ndステージ第9節 対浦和レッズ戦>

今シーズンの天王山のアウェーでのレッズ戦。完全に前回の失敗を修正してポジションをしたというコメント。

単純にサイドバックがいないということですね。あとは自分達がボールをしっかり持って崩すというところが一番の課題で、レッズを受けるのではなく、どれくらいの時間、レッズに対してボールを持てるかで彼らはどちらかというとボールを取りたいチームですので、そこで取らせないように。前半はちょっと何回かありましたけど、だんだん良くなってきたので、そこのところをどのくらい出来るかということをみんなに話しましたけど、後半なんかは余裕を持ちながらやってくれたと思います。*11

ペトロビッチが自身でレッズを攻撃的なチームといっているのをいなすように「ボールを取りたいチーム」とカウンターを起点にスタートするデフェンシブなチームと皮肉っているようにも聞こえるのだが、どうだろうか。

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<2016年2ndステージ第8節 対サガン鳥栖戦>

落としてはいけない試合で0-1で敗戦。途中交代の三好選手の退場など計算したくないことも起きた試合の後を受けて。

今日は一言ですね。いろいろな事があったゲームだなと。以上です。*12

<2016年2ndステージ第7節 対ヴァンフォーレ甲府戦>

王者のメンタリティとはという質問に対しての回答。

まあ、いろんな意味で、全てそうなんですけど、ずっと言っているメンタリティという言葉はすごく抽象的で、考え方なんですよね。スポーツ心理というのは。そういう意味では、何に集中するか。例えば今、何ができるかですよね。例えば、3試合後のことを考えても何も起こらないですし、例えば3試合前のことを考えても今更何も起こらないですし、今この瞬間に何をすべきかを突き詰めていくこと。それで、そこに対して一人一人が強い要求を持つこと。ここだと思います。*13

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<2016年2ndステージ第6節 対湘南ベルマーレ戦>

練習以上のことは本番では出せない。

選手には日頃、練習で想定する試合の基準を高くしてくれということを言っていますが、そこにまだ多少、途中から出た選手も含めてバラツキがあるなと。*14

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<2016年2ndステージ第5節 対FC東京戦>

ポゼッションを結果的に支配するサッカーにおいてのリスクをどのように管理するかの解説。相手がこう来るのでこちらはこうするというのではなく、こちらがこうしたいから考えられる事態をどのように対処するかというサッカー。ちなみにこの試合でFC東京の城福監督が解任される。

我々のチームはどこでも、向こう中心に考えていないので。自分たちがボールを持って押し込んでしまえば何もないと。とういことは何かというと、うちの場合は必ずカウンターがあると。ミスをすれば相手のカウンターになるので、まずカウンターを起こさせないということ。それから、それに対して時間を吸収するといいますか、相手のスピードを止めることはだいぶ狙っていますので。そういう意味ではだいぶ良くなったかなと。*15

<2016年2ndステージ第4節 対ジュビロ磐田戦>

今回のジュビロ戦は名波監督との2度目の対戦。もともとフロンターレ風間監督と名波監督は清水商業の先輩と後輩という関係。したがって、試合後にかわすやり取りも美しい。

このサッカーは形でやっているわけではないので、一番大事なことは今日も見ていただけたと思いますが、何本もものすごく早いパスが飛び出しています。今までとは全く違うので、そういう意味ではそれに対する技術の変化を一人ひとりが進化をしていかなければいけないと。常に常に進んでいかなければいけないので、そういう意味では彼ら(中村憲剛と大島僚太)がいるからいないからということではなくて、先に進む為に1人ひとりが本気で努力をしてやってくれていますので、進んでいかなければいけないなと思います。*16

以下は名波監督のコメント。

試合が終わってすぐに八宏さん(風間八宏)に前回対戦の時とどうでしたか?と聞いたところ、今日の方が良かったと言っていただいたので、まずは僕自身もそうですし、チームとしても自信を持って次節以降に臨んでいけるお言葉をいただきました。非常に嬉しく思っています。*17

Jリーグに日本代表として世界で戦ってきた選手が監督として活躍しているのでどんどん面白くなってきたなと。サッカーは当然、走る・蹴る・受けるが中心のスポーツではあるが、それらを支えるには頭のエッセンス。日本代表監督に日本人が出てきてほしいもの。いい加減外国人監督に頼るのはやめたい。 

<2016年2ndステージ第3節 対アルビレックス新潟>

ハーフタイムには毎回言っていますけど、相手のやり方とか弱点ですよね。逆に向こうが強いと思っているところが弱点になると。3ポイントくらい言いますけど、あとは相手がどこが疲れているかというのはわかりますし、今日はどんどん左に回せば良いと思いましたけど。勝負勘は僕があるかはわかりませんけど、だんだん選手がボールを動かすことで相手を見れるようにはなってきているなと。(中略)質というのは永遠に、これで良いというのはないので。(中略)勝負勘という抽象的なものだけではなくて、相手が見られるということですよね。どう見るかというところと、どうボールを動かしながら、いつ見るかというところ。そこを鍛えていきたいなと思います。*18

 <2016年2ndステージ第2節 対名古屋グランパス>

自分たちが分析されるので、そこをそらすといってますね。

フロンターレとやる時は相手がものすごい力を出してくるので、これで良いというものはないですし、分析をしたところで相手も変わりますので、我々は1試合1試合、試合中に対処していくための技術をつけていますので、今話されたことは当てはまらないと思います。今日は上手く勝てましたけど。*19

<2016年2ndステージ第1節 対ベガルタ仙台>

どこでチャレンジをすれば得点の可能性が上がるかについて当たり前に語る。

特にペナルティエリアの中でやっていけるようになれば、チャンスも決定的な場面ももっと増えるのではないかなと思いました。*20

<2016年1stステージ第17節 対アルディージャ大宮>

最初から言っている通り、チャンスはありましたら、周りはそこを騒ぎますけど、我々は今シーズンに入る時から1試合1試合自分たちのステップを踏んでいかなければいけないと。過去も未来もあまり気にする必要がないと。1番気にしなければいけないのは、今日であれば明日のこと*21

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<2016年明治安田生命1stステージ第16節 対アビスパ福岡>

最後の表現が絶妙。ただし、なぜ勝てなかったかは正直理由不明。

長いボールが来るのは分かっていたのですが、2本、ものすごくきれいに決められてしまった。思いがけないスタートになってしまいましたが、選手もボールを持てていましたし、取れるという確信、それから前半のうちに1点を取ったので逆転できると思いましたけど、今日は本当に決めなかったのか、決められなかったのか、そのへんが上手くいかなかったのかなと思います。*22

<2016年1stステージ第15節 対横浜F・マリノス戦>

長い先のことは考えない。 

何回も言いますけど、シーズンが始まる前から、我々は1つ1つの相手に今から全力を費やすと。いつも言っているように、見えないものに対して何かアプローチをするつもりはないので。そういう意味では、次はなにかと言えば、もしかしたら明日の休養、それからその次の日のトレーニングと。そこから入っていくので。*23

<2016年1stステージ第14節 対ジュビロ磐田戦>

攻撃と守備は一体であると。

ですから、守備と攻撃が別ではなくて、自分たちがどれだけボールを持って相手を崩せるか。崩せた上での相手のカウンターですから、それをまた奪うと。それから、そういうところの準備はもう出来ていると思うので。イメージはできていると思うんです。そこだと思います。*24

<2016年1stステージ第13節 対ジュビロ磐田戦>

風間監督のコメントによく出てくる「質」というキーワード。プロもどこまで行っても質。そしてその質を上げるための練習。

もっともっと最後の質のところで上げられば良かったのですが、なかなか今日のコンディションだと難しかったんじゃないかなと思います。*25

<2016年1stステージ第12節 対ヴィッセル神戸戦>

自分でやりたいと思わなければ終わり。ちなみに奈良竜樹選手がこの試合でけがをしリオオリンピック代表への選出がなくなった。

積極性というのは楽しい、やりたい、と思うこと。それを自分でやるんだということ、それが楽しいんだということがなければ、強気でもサッカーはできませんし、それから自信を持ってもできないと思います。ただ、楽しそうに見えているときは自信を持って選手がやれているときだと思います。*26

<2016年1stステージ第11節 対柏レイソル戦>

攻めるから守りが堅くなる。つまり攻めと守りは不可分だということ。

今日の試合は自分たちがどのくらいやるのかというのをしっかり見せなければいけない。というのは何かというと、攻守ともに攻めると。これが我々の形だということですよね。相手をしっかり崩し切るからその後にすぐボールを奪い返して、その後にすぐ俺たちが攻められると。攻めの時間を増やさなければいけない。*27

<2016年1stステージ第10節 対ベガルタ仙台戦>

これは本当に重要なコメントで、サッカーに限らずプロ全てにいえる。

「仕事というのはその人にしかできないこと」といった東芝の佐々木則夫元社長の言葉にもあるように、そこにいることは必然だということ。

サッカーは選手が楽しめなければ観客も楽しめない。

グラウンドに出たというのは、自分が楽しむ権利がある。グラウンドに出たということは、自分の意志を積極的に、自分の思考を出して良いと。やらされる場ではないと。そこのところが非常に残念でした。*28

<2016年1stステージ第9節 対ガンバ大阪戦>

風間監督がいつもいうこのコメントは全てそのまま日本代表の質を上げるためのコメントでもある。

ここ何試合か続いているようにラストのプレー、最後のパスあるいは最後の選択肢、そこの判断がまだまだ甘いなと。*29

<2016年1stステージ第8節 対浦和レッズ戦>

攻めというのは発想(クリエイティビティ)で守備は経験(スキル)。ただし、チームとして成立するためには両立しないとダメということ。2016年は年間通じてこの試合での敗戦の教訓を生かせるかどうかというのがカギにもなっているような印象すら受ける。

だいたいが、攻撃というのは発想だと思っています。確実性もないし誰の目にも見えないものだと思うんです。守備というのは相手が教えてくれるものなので、そういう意味ではそこの対処は比較的にできるのではないかなと思います。ただ、どういう組み立てをするか、どういうふうな時間を使うのか、それから普通でいうと攻守という言葉になってしまうのですが、どっちが先にすればそういうことができるのか。最終的に、守備も含めてチームとして成り立っていくのかというのがすごく重要になるんじゃないかなと。

攻撃起点で考えれば、技術と戦術眼であり、そこから判断が生まれる。

だから、ミシャさん(ミハイロ ペトロヴィッチ監督)も言っている通り、そっちから組み立てているという風には思いますし、他の監督のところは言うつもりはないしわからないですけど、攻撃を組み立てる上では1番は技術と戦術眼。これが、自分たちの中で判断という形を生んでくるので、その的確な判断を正確な技術でやらなければ結局、ボールは持てませんので。*30

ただ、ペトロヴィッチが自分でいうような攻撃的なサッカーかどうかは理解しかねますが。

<2016年1stステージ第7節 対FC東京戦>

監督もメンバーを固定するのは実は難しいということ。固定できるならばしたいができないぞという話。

何故かというと、財布の中を見ると思ったより入っていなかったり、急に1万円札が抜けていたりするので。突然のことで、この何試合でどのくらいの確率であるんだろうというところなので、何かを固定しないのではなくて、固定することが出来ないということです。*31

<2016年1stステージ第6節 対サガン鳥栖戦>

相手あっての自分ではなく、自分あっての相手。

敵よりも味方なんですよね。例えば田坂が入るだけでも、動きが間、間に入るので、マークが付こうが付かないが、必ず相手は上げられるんですよね。*32

<2016年1stステージ第5節 対鹿島アントラーズ戦>

個の戦術を基盤においている以上、個が期待値に届かなければ理想のサッカーはできない。

人が変われば全て上手くいかない。我々がずっとやり続けているのは人を増やしていくこと。今日も人が変わってもそれなりにではできていると思いますけど、いろんな選手ができるかといえばそうではない。そこのところは根本的にいつものペースではないというのが一つです。ですから必然的にピンチも多くなる。これは分かっていること。*33

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<2016年1stステージ第4節 対ヴァンフォーレ甲府戦>

場所を攻めるのではない、人を攻略する。

いつも言っているのですが、うちは場所を埋められても場所を攻略するわけではないので、人を攻略するサッカーですから、そういう意味では今日なんかは壁パスやワンツーのパスなんかはすごく効果的なので、そこのところで人を動かしながら、どう崩していくかという作業をしました。*34

<2016年1stステージ第3節 対名古屋グランパス戦>

やっぱり攻めから入るんですと。

やっぱり、自分たちが攻めることで相手が崩れていくから、そこはすごく、こっちのほうが速く奪うことができるということですよね。*35

Jのレフリーの質の低さも風間監督はしばしば指摘する。特にアフターチャージ。2ndのグランパス戦でも中村憲剛選手へのアフターに怒っていた。

最後にレフェリーには、お疲れ様と言いながら、少しアフターを気をつけて貰わないと危ないということは言いました。でも、レフェリーもそれなりに自覚はしてくれていると思いますので、そこはどんどんどんどん、そこの境は我々とレフェリーの両方で作っていかなければいけないなと思います。激しさと危ないプレーは違いますのでね。*36

<2016年1stステージ第2節 対湘南ベルマーレ戦>

攻めてカウンターがあるので守備をする体制も備える。つまり、点を入れることがすべての前提に立っている。あたりまだが、点を入れないことには勝てないゲームなので。

それから、ただし、間違われて困るのは、守備をしているわけではないです。攻めるための対応です。選手達がすごく理解をしてやっている。受ける守備でやろうとすれば絶対にできないです。そういう意味では崩せないと難しいとは思います。*37

<2016年1stステージ第1節 対サンフレッチェ広島戦>

風間監督でも緊張するのか?!というコメント。なぜか質疑応答がなかったとのこと。なぜだろうか。

久しぶりに大勢の人の前で話をするので多少、緊張している感じがしています。していませんか?*38

まとめ

いかがだったでしょうか。風間監督の言葉には哲学が存在しますし、どのようにしてサッカーを強くしていきたいかというのが明確です。かつ重要なことはシンプルであるということです。

日本サッカーは決定力不足というのがまことしやかに語られるのですが、正直疑問です。日本サッカーに決定力があるFWが存在しないという単純な話ではなく、得点を挙げるだけの十分な崩しとそれを支えるロジックが確立できているかが怪しいのです。つまりプロセスの方法論というゴールという川下の論点でなくさらに問題は上流にあるのではということです。

2016年は川崎フロンターレで5年目の風間監督ですが、Jリーグで優勝争いできる状況になるまで5年を要したということです。日本サッカーも経験豊富という理由だけで外国人監督を安易に連れてくるのはもうやめにしませんか。

日本人の特徴を生かせる、かつ競争優位のあるサッカーを基盤としてそろそろどうやって世界で生存確率を上げるかの戦略を真剣に立てる時期に来ていると思います。

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「人口減少×デザイン」。インフォグラフィックスを活用した人口問題理解

人口問題×インフォグラフィックス

人口減少が問題というのは、多くの人が理解しているだろうが、それをインフォグラフィックスを活用して、視覚に訴える企画。

良い企画だと思うし、インフォグラフィックスを有効的に活用できていると思う。

人口減少×デザインーー地域と日本の大問題を、データとデザイン思考で考える。

この本のような企画、つまり長期的な視点で分析する対象の方がインフォグラフィックスには向いているのかもしれない。企業の決算情報やその分析などはちょっと時間軸が短くてとらえにくいのかもしれない。

この本は、P指数などを可視化して分かりやすくしているのだが、地方の人口減少ぶりが半端ない。

東京はブラックホールとは言うけれども

現在の人口減少の構造は、一言でいうと、

出生率の相対的に低い都市圏に地方から人が流れ、その結果さらに人口が減る

という構造。

そこで、地方を盛り上げようという、そのためにはどうするか、というまあありがちな結論だなのだが、そのソリューションは難しい。

東京の出生率が低いなら、東京を住みやすくしてしまえと思うのだがどうだろうか。

つまり、地方から東京に流れ込む人口が多いなら(そしてそのトレンドを変えにくいのなら)、東京の出生率をあげると、更にレバレッジを上げることができる。

ただ、現実問題として、富山のように家族が周りに住んでいて、何かあれば頼れる環境と東京を比較すると相当ハードルが高い気はするが、東京にインフラはあるので、それは活用できればよいなと。

製造業はそうは言っても雇用機会を創出する

さて、地方に若い人を還流、滞在させるにはどうしたらよいか。

まあ、マチコンなどもその一例だが、そもそも地方に産業がないことが問題。

学校を卒業すれば、必然仕事を求めて地方から都心出るという選択肢が出てくる。地方にある工場で働き続けることができれば問題はないが、電機産業を筆頭に日本の製造業の敗戦とともに地方の働き口も相当減少したはず。

単純に地方に戻りましょう!といっても働き口がなければ、戻りたくても戻れない。

ということで、単純に地方をデザインするだけではだめで、日本の産業をデザインしなければ、根本的にはこの問題は解決しない。

日本は製造業で世界との競争に勝ち残れるのかという問題も一方であり、仮にモノづくりで勝てなければ、地方に生産拠点を展開して…というのが難しくなる。

東京とはまた違った大都市が日本のできれば面白いのだけれど。ニューヨークに対するシリコンバレー的な。

まあ、ありきたりかもしれないが、東京 vs 京都 なんていかがだろうか。 

大久保嘉人の変化と風間八宏の戦略が美しい川崎フロンターレ。ただし脆い

大久保嘉人というベテラン

大久保は昔からよく知る選手ではあるが、以前は特に印象に強くない。

今でこそクレバーな動きをする。

しかし、いわゆる猪突猛進的なフォワードだった。

キレのある抜け出し、シュートはあったが、印象に残るようなプレーは少なかった。

ところが、いまは良い意味で完全に違う。

現在のフロンターレの試合を見る限り、昔の淡白なプレーの印象はない。

あまりないというのではなく、ほとんどない。

2年連続得点王、それはなぜか

「2年連続得点王」

結果、競合チームにマン・マークをされる十分な理由は多分にある。

そうした理由からか前線~中盤まで引いてのディフェンスにも貢献する動きが多い。

大久保は、はっと気づくと相当後ろまで下がっている。

FWにもかかわらず、ボールを奪ったりし、パスを前線にまで回している。

観客席から見ていても大久保を一瞬見失うこともあるような動きをする。

あそこまで得点に絡むので、前線でずっと張っているのかというとそうではない。

トップ下から前線の相手ディフェンス最終ラインのスキを突く飛び出しもある。

そうした動きが多くなる中、大久保の運動量は多くなっているのではないだろうか。

風間監督は大久保に動くなと

運動量が多くなっているのかなと思うのが自然であろう。

ところが、大久保は風間監督には「動くな」と言われたそうである。

(詳細は【FOOTBALL PEOPLE 川崎フロンターレ編 (ぴあMOOK)】参照のこと)

大久保は30代も過ぎているが、いまだ賢くなっている。スマート化している。

体力とのバランスを考えて変化しているのであろう。

しかし、2-3年でここまで変化できるのはすごい。

逆に、これまではいったい何だったんだという気もしてくる。

ヴィッセル神戸時代は、シュートができる場面でもパスを選択していたという。

チームの戦術に個は合わせなければならないという場面もある。

しあかし、大久保は得点王のポテンシャルを引き出せずにいたということになる。

これも、チームが違えば事情が異なるので、一概には言えないが。

風間八宏監督に断然興味が出てくる、そして中村憲剛

試合を見る限り、フロンターレはコンパクトなサッカーをしている。

ディフェンスラインを十分に上げ、前線との距離を短くとる。

一方で、ホームでディフェンシブなチームにロングボールを入れられると脆い。

ロングボールをディフェンスみんなが追いかけている印象が強い。

ただ、そうしたフロンターレのシステムも危ういながらも、サッカーは面白い。

狭いゾーンではボールを取られにくいサッカーをし、崩して点をとる

という、サッカー通にはたまらないサッカーをする。

こうしたサッカーを一口に攻撃的と呼んでよいのかは疑問だ。

ただし、スタッツをみればボール支配率に表れるプレーだ。

ちょっと手元にないが、支配率を高めて、崩していれば理想的だ。

(いつか調べてみよう)

なぜボールがキープできるか

中村憲剛がしっかりとボールキープをし、パスを展開できる強みがある。

結果、コンパクトなゾーンと、パスを中心とするチームが作れるのであろう。

中村も30歳中盤に差し掛かり、いかに効率的に動くかを考えているという。

中村のテーマは「俯瞰」だそうだ。

(詳細は【サッカー脳を育む/中村憲剛】を参照のこと)

 俯瞰というテーマはシステムを構築する上では必須だ。

サッカーは、システムそのものなので、ゲームメイカーが必ず必要な視点だ。

システムデザインとも共通する。

余談ではあるが、中村の動きを見ていると、猫背がラモスそっくりだ。

戦略を分析するのも考えるのも面白い。

毎年5月の日本の株式市場の特徴

5月の株式市場のレギュラーの特徴

5月は、4月末から始まる本決算発表により相場は大きく左右されます。

日経新聞の業績見通し報道なども株価に影響を与えます。

そうはいっても、決算と業績見通しが最大のキーファクターです。

市場コンセンサスに対して、上回れば株価は上がり、下回れば下がります。

市場コンセンサスというのは、証券アナリストの業績予想の平均値です。

平均値なんです。1人1票です。

アナリストの能力差は反映されません。

とんでもない予想があると、そこに引っ張られます。

予想の民主主義が思わぬ弊害を招くこともあります。

企業のIRの方の仕事は、足元の業績とコンセンサスの差を埋めるかです。

そうとうコミュ力とロジカル性が求められるのです。

大変なお仕事です。

業績が悪いのになぜストップ高?!

一方、プロ投資家が業積未達や弱いガイダンスを見越してショートを仕掛けることがあります。

そうした場合は、悪い決算でも翌日はポジション解消の買いが入り、大きく株価が上がることがあります。

また、Sell in May という言葉もあるようにヘッジファンドの需給により下がることも。

ただし、Longineで過去データを検証した結果、有意な表現でないことが分かりました。

Sell in May(セル・イン・メイ、株は5月に売れ)は本当か | Longine(ロンジン)

しかし、最近の市場の乱高下は気になりますね。

日本の機関投資家の年度はじめは当然ながら4月

日本の機関投資家も新年度に入るために年度はじめに決めた投資実行のタイミング。

4月で実行できない場合には、5月にまで差し掛かります。

売れない(流動性のない)銘柄はだらだら売らないとダメですね。

なので、5月も下がります。

マクロ指標も5月から新年度のデータが手に入ります。

そういう意味でも、アナリストにとっては5月が新年度になります。

 

 

大和証券投資戦略部「大予測『投資テーマ』別成長業界&企業 2015-2016」

今年も出ました。このシリーズ

大予測「投資テーマ」別成長業界&企業 2015-2016

このシリーズ結構面白いです。毎年購入してます。

実は、このシリーズ2002年から読んでまして、出版社も変わりながら今です。

2002年は、日本実業出版社が、いまや日経です。

売れているようで、今まで年代はついていなかったのに「2015-2016」とつきました。

こうして欲をかくと、実は今がピークだったりします。

まだ、株式市場は堅調であってほしいですが。

何が良いか

結論。安くて便利です。

短時間に、大きなテーマのまとめができます。

内容もしっかりしていて、マクロデータと関連企業が分かります。

マクロデータは、なるほどねーというデータも含まれていて、便利です。

マクロデータも、インフォグラフィックスを意識するとよいかも。

一方、関連銘柄については、紙面の関係もあると思いますが、今一歩です。

加えて、ディスクリプション程度なので、これで投資はちょっと難。

そのあたりが限界でしょうか。定期的なアップデートもないですし。

そこはLongineを購読、もしくは株1(カブワン)の特集見ていただいた方が良い。

たとえば株初心者向け株入門でいうと、株1のコンテンツの

【ABCマートとチヨダのIR情報で理解する小売り株への投資手法】

とか、気軽に読めて、投資の手順、取説的な内容です。

ストラテジストが16人!

ちなみに巻末の執筆者一覧を見るとストラテジストと名がつく人が16人。

大和の投資戦略部・・・大所帯ですね。

個人投資家向けのレポートをつくっている部隊かとおもいますが、リソース贅沢。

2002年に初めて手にした時もよくできてるなぁと感心したものです。

個人投資家向けだけではなく、プロでも十分読みごたえがある内容だったです。

テーマ投資はもうかるのか

 テーマ投資はもうからないというのがプロの世界のコンセンサスです。

ブームは永遠には続かないですし、どちらかといえば冷めやすいので。

ただし、上がる時は半端なく上がります。

そういう時はプロは指をかんで「続かいないよ」と悔しがります。

そうしたフェーズは個人が圧倒的につよい。

テーマは上手にお付き合いするという割り切りで付き合うのがよいかと。

長期で考えれば、継続的に利益の出せる企業に投資をする方が確かです。

ROEも一つの目安になります。

テーマよりもビジネスモデルの評価や経営者の評価だったりするでしょう。

本当は、そうした本が必要なんですよね。

四季報は四季報でも米国会社四季報に注目

四季報で育った世代

日本株を知る上で重要なアイテムは四季報だというのは多くは同意してくれると思う。

ただ、未だ紙がもっとも使い易いメディアというのが個人的意見。

四季報オンラインもあるのは知っているが、使ったことはほとんどない。

四季報が発行されるタイミングになるといつもアマゾンで注文するという習慣。

何ぶん、買ってかえると重いので。

米国会社四季報

さて、最近の東洋経済の快挙は、「米国会社四季報」 を創刊したことだと思う。

米国には世界を代表する企業が多いが、その情報をまとめて入手できる。

2014年に創刊されたとのことだが、さらに発刊タイミングを短くしてほしい。

本当に面白い。重さも手頃なので、いつも持ち歩いている。貪り読んでいる。

何が面白いか

本でカバーされている銘柄は上場している一部だろうが、中小企業も多いということ。

ちなみにS&P500プラスαとETFが掲載企業とのこと。

米国は大企業ばかりというイメージもあるが、そうでもない。

我々になじみのある企業でも、売上・利益規模を見るとそうでもない。

EBITで数百億前半億円の企業がゴロゴロしている。

そして、成長していない企業も結構ある。

日本株だけを見ていると悲観的にもなるが、変に安心できるところもある。 

バリューラインのような物があったらと思ったが、当面はこれで代替。

中国株の二季報

実は、「中国株二季報 というのも面白いし、内容は充実している。

フォーマットは日本株四季報に相当準じているというか、まねているので見易い。

「不景気の株高」という謎を解くために、丹念にファンダメンタルズを追える。

世界の情報は、次第に入手し易くなっている。

あとは欧州株か。

そこが一番問題だ。