泉田良輔のブログ

テクノロジーアナリストの100%私見

タイトルの獲り方が分かった川崎フロンターレ。常勝チームになるために必要な3つのこと

川崎フロンターレ(川崎F)、2017年で悲願のタイトルを初めて獲得!

フロンターレ関係者がおそらくはほとんどが望んだリーグ優勝。

うれしさのあまり、この出来事はもったいないのでソーシャル等に簡単に投稿などもせずに、うれしさに浸っておりました。選手達がテレビ番組に出演をするのを見て、ようやく落ち着きました。2017年も12月に入りました。今年の観戦も含めて、今年を振り返っていきたいと思います。

タイトルの獲り方が分からない

ACLで浦和レッズに敗れた後、やや落ち込んだものの、「まあルヴァン杯は獲れるだろう」と多くのフロンターレサポーター(フロサポ)はタカをくくっていたことでしょう。

ところがふたを開けてみればセレッソ大阪にまさかの敗戦。直前のリーグ戦のホームゲームではセレッソに大勝していただけに、その落ち込みっぷりは思い出しても半端ないものでした。

「タイトルの獲り方が分からない」

セレッソ戦後は本当にそう思いました。

ただ今では、「常勝軍団」などというのはなく、「常勝をどう目指すか」ということしかないのかなと思うようになりました。これは一つの大きな気づきです。

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2017年は元旦から落胆

2016年のチャンピオンズシップ(CS)では11月の準決勝でホーム等々力で鹿島に敗戦。勝ち点では72と首位の浦和の74との僅差で2位となっていましたが、結果はまたしてもタイトル獲得を逃したという喪失感を抱えたままでした。

そして迎えた2017年元旦。

天皇杯決勝。

場所は大阪の吹田スタジアム。

はじめて見た太陽の塔だったので記念撮影。

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相手はまたもや鹿島アントラーズ。

雪辱を晴らすべく、元旦当日に大阪まで新幹線で出かけます。

はじめての吹田スタジアム。

吹田スタジアムはピッチまでが近いなと感じながらも、席の幅が狭く窮屈だなと。

ただ、「今日は優勝するから我慢」と思い直し、試合を迎えます。

ハーフタイム中に食べようと思っていたたこ焼きも、まさかの「1時間待ち」。

試合が終わるやないか、と突っ込みつつも、勝って追われたら最高の1年が始まると言い聞かせ、我慢を続けた元旦。

結果は延長戦の末、敗戦。

風間八宏監督体制の最後の試合。

また、タイトルを逃したと喪失感。

新年早々、いやなスタートだなと正直思いました。

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リーグ優勝はなくてもアジアチャンピオンならと思ったのだが

2017年のリーグ戦は序盤はエウソンや家長昭博選手が怪我で戦力として機能しなかった時期がしばらく続きました。

前半だけを見ると、負けはしないものの、大きく勝ち点を積み上げるという展開ではありませんでした。リーグ優勝は厳しいかなと思ったフロサポも多かったのではないでしょうか。

ただ、ACLの予選は厳しい戦いが続きましたが、リーグ戦同様に「勝てないけど、負けない」という状況を続け、結果は予選も突破。

そして勝ち進む中で浦和が対戦相手に。

浦和はいつも試合が白熱する強い相手ですが、フロンターレからすると苦手意識はあまりなく、向うが勝負を受けてくれれば、試合はかみ合うというのがいつもの展開。

浦和とのホームでの1stレグは安定の試合展開と結果を手にし、2ndレグはよほどのことがない限り勝てるだろうと思いました。

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ただ、よほどのことが起きました。

車屋紳太郎選手が(確か、興梠選手の顔に向けて-あまり思い出したくないのでよく覚えていない)足を上げ、スパイクの裏を見せたことで一発退場。

ACLのレフリーの判断の基準は本当に要注意で、Jリーグとは違うものだなと痛感。

その後、フロンターレは守備で逃げ切るというスタンスが裏目に。

ここでも、ACLでのタイトルという夢も消え去りました。

そして、フロンターレに勝利した浦和が勝ち進み、アジアチャンピオンになったのはご存知の通り。

今でも、もしフロンターレが勝っていたら今頃アジアチャンピオンだったのではと心のどこかで思うこともあります。

ただ、タラレバなのでやめておきます。

下は、最近、例の車屋選手の一発退場の裏側を興梠選手が語ります。

「川崎Fは強いんで、一人減らしたかった。足を上げたのであたりに行ったら、レフリーがうまくとってくれた・・・」

 

今年はルヴァンカップのタイトルだけでも

何事も行けるでしょ、と思うと油断が生まれるのでしょうか。

選手も決して油断しているわけではないと思います。むしろ緊張をしているという方が正しいのでしょうか。それはサポーターも同じ。

ただ、対戦相手は直前で大勝し、いいイメージを持っている相手のセレッソ。

場所は、埼玉スタジアム2002。

天気は快晴。

個人的な感想ですが、フロンターレは雨の日に弱いのかなと。

理由は、相手がロングボール主体の戦術に切り替えて、フロンターレのパスサッカーとかみ合わないからだとも思います。

さて、フロサポが多数乗車しているのが分かる始発で浦和美園駅に向かい、順番待ち。

「今日はタイトルをとれるから眠さも関係ないさ」というテンションでした。

ところが、ふたを開けてみると、試合開始早々、エドアルド選手のクリアミスから、以前フロンターレの9番だった杉本健勇選手に得点を奪われる展開。

その後も、フロンターレは決め手に欠き、試合終了間際に全体がオフェンシブになった際、ソウザ選手に隙を突かれ、敗戦決定。

天皇杯も決勝でダメ、ACLもいいところでダメ、ルヴァンも決勝でダメ。

さすがに、その時は「タイトルの獲り方わらねー」と多くのフロサポが思ったのではないでしょうか。

フロンターレはリーグ優勝の可能性も残っていたものの、先行する鹿島がそう簡単には負けないだろうなと思いつつも、そこしか残されていない…という状況。

今年も無冠か、と頭をよぎったのは事実です。

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タイトル獲得には勝つしかないフロンターレ

勝ち点で首位を走る鹿島はいつも勝てばそれだけタイトル獲得が近づくという構造。

ところが、鹿島は柏に勝てば優勝という試合に、引き分け。

そして、どのチームが優勝するかは最終戦まで持ち越しに。

「他力」という言葉が最後まで正しいのかはよくわかりませんが、迎えた最終の第34節。

鹿島は磐田に勝てば、勝ち点で首位確定で優勝。

フロサポ以外は、鹿島が充当に勝利して、鹿島の連覇というスト―リーを描いた人がほとんどではなかったでしょうか。

当然ながらシャーレも磐田にあったことでしょうし。

ただ、名波浩監督が目の前で鹿島の優勝は見たくないという信念が強ければ強いほど、引き分け以上というのはアリかなとも祈っていましたが。

最後の対戦相手が大宮だったという事実

一方、フロンターレはホームでの最終節・大宮戦に勝つしか優勝の可能性が残されていないという状況。

フロンターレの方には、ある種、割り切りのような雰囲気もスタジアムにあったように思います。「勝しかない」と。

この大宮戦、フロサポもいろいろと思うところも多かったのではないでしょうか。

まず、大宮は2016年シーズンに大久保嘉人選手を退場に追い込み、フロンターレが手を焼いて、かつその後もいろいろあった引っかかる相手だというのが多くのフロサポの印象ではないでしょうか。

また、大宮の監督はつい先日まで鹿島で指揮を執っていた石井正忠監督。

石井監督は、そう、今年の元旦に天皇杯を持っていかれた対戦相手の指揮官。

そして、大宮は家長選手の古巣。

当の大宮はJ2降格が既に決定しており、その理由は「家長ロス」というのは多くが報道するところ。

家長選手は自分が移籍したことでこうなっていると、引っかかるものがあるのでは、と気にするフロサポも多かったのではないでしょうか。

ところが、試合の結果はフロンターレの圧勝の5-0。

家長選手も小林悠選手へのアシストも複数記録し、徹底的に戦ったという印象を強く残しました。なんだか、妙にほっとしました。

大宮に勝利し転がり込んだリーグ優勝。タイトル

そして、何より、鹿島が磐田と引き分け、勝ち点は72で鹿島と同点のものの、得失点差でフロンターレの優勝が決まりました。

このときほど、攻撃的であることの意味と重要さをかみしめたことはありません。大量得点でより少ない失点が生きたのです。

「サッカーは点を入れなければ勝てないスポーツ」

風間監督はこうよく口にしていたのを思い出します。

「シルバーコレクター」と揶揄されたフロンターレで先頭に立ってきた中村憲剛選手が悲願の初タイトル。

そして2017年からキャプテンを任された小林悠選手はプロ初のハットトリックを記録し、初の得点王に。

セレッソの杉本選手が首位を走り、ちょっと得点王は難しいかな、と思っていたところに最後は自身初のハットトリック。

「健勇だけにはやらせたくない」と思ったフロサポも多いのではないでしょうか。

最後にまくれて本当に良かったと思います。

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フロンターレが常勝チームになるために必要な3つのこと

タイトルを獲得し、総額22億円ともいわれる大きな賞金などを手にし、フロンターレの強化はこれまで以上にされることでしょう。

多くのフロサポが願っているのは、これをきっかけに勝ち続けるチームになることではないでしょうか。

そのために必要なことを考えてみました。

【その1】頭とシステムが守りにはいらないこと

サッカーはミスをいかにマネジメントするかというスポーツだと実際は思います。今年のフロンターレの強さも、MFも大島僚太選手を中心に守備が機能し、DF陣も跳ね返し力では目を見張るものがありました。

ただ、フロンターレの良さは「等々力劇場」とというとややもすれば心臓に悪いエキサイティングな試合です。「ウノゼロ」ももちろん局面によっては大事ですが、ガンガンと行ってほしいなと。

決してボールをとりたがるチームではなく、ボールをどうゴールまでもっていくかにこだわって欲しいなと期待しています。

タイトルといってもまだ一度だけですが、追われる立場、これまで以上に研究される立場になったのは事実です。

敗戦したACLの浦和戦でも感じましたが、守りに入った時のフロンターレはもろいなとまだ思います。

「攻めているうちはやられないんだから」といっていた風間監督のコメントは当たり前すぎるのですが、それは本当にそうだなと。

ただ、「ハーフコートでボールを支配し、攻め続けていることの裏返しとしてカウンターリスクを抱えている」というのは風間監督も口にしていました。

そのリスク管理を鬼木達監督は実現してきたのだと思います。

【その2】攻めをもっと強くすること

フロンターレの攻撃陣は技術もあり、結果ボール支配率も高い試合も多く、攻撃的と評価されます。

ただ、欧州リーグの試合を見ていると、そのスピードと精度は違うスポーツのようにも感じます。

欧州のサッカーの方が面白いというつもりはないですが、ひとつずつのプレーは欧州の方が魅せるものがあります。日本でもあのスピードとダイナミックなサッカーは見てみたいという気もします。

話は変わりますが、ハリルホジッチ日本代表監督も欧州リーグに参加する選手ばかりを起用するのも、そうした環境に目が慣れている、というところ(だけ)を重視しているのかなという気もするくらい、無策に感じもします。

そして、2017年シーズンを振り返ると、やはりフロンターレが苦手としたのは、ブロックを引いていたり、カウンター主体のチームにはてこずった、という事実です。

実際、フロンターレは対鹿島や浦和にはホーム、アウェーでは負けてはいません。

ところが、甲府やセレッソ大阪には試合内容も含めててこずった印象があります。

  • ブロックを敷いた相手をどう引きはがして、より多く得点をするか。
  • ハーフコートで攻め続けるリスク管理をどう行い失点を防ぐのか。

この2つをバランスをとりながら、勝ち点を重ねるというのがフロンターレのテーマだと言えます。

【その3】スタジアムを大きくすること

これはビジネスサイドの話かもしれませんが、スタジアムの収容人数が多ければ、設備投資はかさむものの、入場料は増えます。

フロンターレと浦和の違いはスタジアムのキャパシティとその入場料収入の差です。

フロンターレがアジアでのビッククラブを目指すのか、そうでないのかは知る由もないですし、それが良いのか悪いのかもわかりません。個人的には、レアルマドリードは無理としても、アトレティコマドリードというクラスにはなってほしいなと思います。

ただ、現在の2万5000人がほとんど最大値に近いとするならば、その倍くらいのキャパシティは欲しいところです。

ファンクラブの会員が3万人を超えて、キャパシティが2万5000人だと、やはりこれ以上ファンが増えると、「試合が見たくても見られない」という人も増えてくるでしょう。

そうすることで、良い選手を獲得する原資も手にすることができるでしょうし、いまのフロンターレならリスクをとっても良い局面ともいえます。

個人的には埼スタがどのように資金調達を行い、あのような立派なスタジアムを建設できたのかが知りたいところです。

【番外編】風間グランパスに要注意

去年までフロンターレの監督を務めた風間監督率いる名古屋が1年でJ1復帰を決めました。さすが!と思うとともに、怖さを覚えます。

トヨタ自動車が過半数超出資

ひとつは、トヨタ自動車の連結子会社というポジションを活かして、どの程度の資金量で選手補強をしてくるのか。

まあ、資金量といっても再び増資をして、というのではないでしょうから、フローの広告収入をベースにどこまでよい選手を引っ張ってこれるかということになるでしょう。

個人的には、日本のクラブチームで観客収入を除いて、もっとも資金調達力のあるグランパスに、技術をコアにした戦術を掲げる風間監督がグランパスで指揮を執っている意味を感じます。

風間監督による引き抜き

そして、もう一つの注目ポイントは、フロンターレの選手が引き抜かれることがあるのか。

フロンターレの中盤のかなめのネットの引き抜きの話などがすでに出ています。

また、元フロンターレで現東京の大久保選手が移籍しても非常に嫌なものがあります。

chuplus.jp

ちなみに上はグランパスの出資者である中日新聞の報道です。中日新聞は第2位の株主なんですね。トヨタ自動車の次がメディアというのも面白い構造だなと思います。

nagoya-grampus.jp

そして、以下がグランパスの出資者です。企業規模を考えても、非常に強力な布陣です。

トヨタ自動車(株)
アイシン精機(株)
(株)中日新聞社
愛知製鋼(株)
東海旅客鉄道(株)
(株)デンソー
中部電力(株)
(株)東海理化
(株)三菱東京UFJ銀行
トヨタ車体(株)
東邦ガス(株)
(株)ジェイテクト
(株)名古屋銀行
豊田合成(株)
名古屋鉄道(株)
(株)豊田自動織機
(株)ノリタケカンパニーリミテド
豊田通商(株)
(株)大丸松坂屋百貨店
トヨタ紡織(株)

nagoya-grampus.jp

これらは要注意です。

まとめにかえて

2017年は元旦から、一体どんな年になるのかと思いましたが、2018年はどんな年になるのか楽しみです。

どんな選手が入ってくるのか、ACLでタイトルをとれるのか、リーグで圧倒的に勝ち続けられるのか、そうした視点で試合を見続けていきたいです。

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大宮戦の前に紅白の餅を餅まきで手にできたこともその後の喜びを意味していたのかなと今では思います。

フロンターレ関係者の皆様、お疲れ様でした。

また、来年もどうぞよろしくお願いいたします。