ソフトバンクのスプリント買収をクールにみてみる(孫さんは一体どんなリスクをとっているか)
- 作者: 佐野眞一
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/01/10
- メディア: 単行本
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今回のソフトバンクのプレゼンをじーっくり読み込んでみました。
プレゼンシートには孫さんのオモイが反映されていると思います。
そこで改めて、
孫さんが何にベット(賭ける)しているか。
そして何をリスクとみているか、株主は何をリスクと見ないといけないか。
を考えてみました。
まずは、何にベットしているか。
多分ここが一番孫さんと株式市場とかみ合わない点。
実は米国市場というのはユーザーベースからみると一番安牌。
孫さんは市場ではリスクをとっていないつもりでしょう。
破れていった外資系キャリヤは多いですが…。
米国のユーザー数とARPUの安定度は抜群。
米国市場全体のユーザー数は増えることはあっても減ることはないでしょう。
また、スプリントのARPUも安定して上昇してます。
孫さんはスプリントが業界3位のポジションで収益率にアップサイドがあるのはむしろチャンスと思っているんでしょうね。
昔のiPhone前のソフトバンクを重ねてみているはずです。
孫さんの目にはEBITDAマージンのアップサイドしか見えていないはずです。
株式市場はスプリントの収益率、たとえばボトムラインがずっと赤字とかを問題視してますが…。
孫さんはアジアも検討したなんていってますが、おそらく0.05秒で棄却しているはず。
先進国とアジアではビジネスのビジビリティと安定度が格段に違う。
孫さんはすごいリスクをとったように見せて安牌を選んだと思っているはず。
さてさて、今回の案件はマクロベットが大きいんだと思います。
それは、円高と超低金利。
今回のM&Aの原資は手元資金と借入。
世界中超低金利ですが、やはり日本の金利水準は依然魅力的。
(つなぎのブリッジローンは1%台とのコメント。長期はまた別らしい)
加えて妙に安定したように見える円高。
スプリント側で積極的に設備投資をする中でドル建てで回ればよいですが、それができないときに(まあそれができないから今回の話になるわけですが)、それをソフトバンクがいつまでどのくらいつないであげられるかというのがポイントですね。
買い手が日本ベースのソフトバンクである以上この2つの要素がレバレッジポイントでしょう。
孫さんはスプリントのオペレーションではアップサイドしか見ていないはず。
シェアのアップサイドやソフトバンクグループでのiPhone等の端末や通信機器等のインフラの調達力が上がることも追い風とみているのでしょう。
だから「自信があります」となる。
しかし、金利や為替が孫さんの想定している水準から崩れると今回の話は危うい。
さすがの孫さんも金利や為替はいじれないはずw
つまり今回のソフトバンクによるスプリントの買収で、株主は金利と為替というリスクをとったということで良いんですかね?!
信じるか信じないかはあなた次第です。