株式市場は効率的か:パナソニックは本当にストップ安でいいのか?
「株式市場は効率的か」シリーズ第2段。
本日の株式市場ではパナソニックはストップ安。
時価総額はほぼ1兆円。
今年度の会社計画の年度末の株主資本と同じ額だ。
つまりはPBR1倍というわけだ。
ここからの判断は来年度はROEがいくら出るかがポイントだ。
仮に2013年度に最終利益で1000億円出せれば、ROEは10%。
ROE10%なら東証の平均のオーダーと比べれば数字としては悪くない。
ただし、レバレッジが効いているのでもう少し欲しい。
法人税率を40%で計算すれば、税引き前利益で2500億円必要となる。
今回の修正後の2012年度の営業利益が1400億円で、修正前が2600億円。
2013年度に向けての固定費削減効果が実際どれくらい出るかは分からない。
売上次第だが、絵空事というわけではなさそうだ。
それにしても、下方修正の原因となった下期の見方だが相当厳しい見方をしている。
この会社の見通しの根拠は何なのであろうか?
経営者の見通しが弱気であれば、監査法人も腰が引ける。
シャープをみているとそれはなおさらであろう。
見通しが弱気になればさらに繰延税金資産等の取り崩しを迫られる。
まさに資産のデフレスパイラルだ。
「負け組」とか「普通の会社ではない」というのは誰へのメッセージであろうか?
誰に対してでも企業価値を棄損すること以外にない。
企業価値を向上させることが経営者の役割だとすれば、まったく必要のないメッセージだ。
尖閣をはじめとする中国のスローダウンはお気の毒としか言えない。
しかし、家電やデバイス以外の数字も細かく下方修正している。
これは一体何を意味しているのだろうか。
既に11月なのでクリスマス商戦がほぼ見えてきての下方修正だろうか。
だとすれば納得できるが、受注の動向がカギだ。
さて、社長や財務担当役員のプレゼン資料をじっくり読んでみた。
キャッシュフローの話ばかり出てくる。
財務内容も悪化している中で非常に重要なポイントなのだが、話の順序が逆だ。
キャッシュフローは事業戦略が語られてその結果でしかない。
株主はパナソニックという配当機能を買いに行っているのではない。
キャッシュフローがあって事業戦略があるのではない。
キャッシュフローを重視しすぎると、会社全体やBUはリスクをとれない雰囲気になる。
収益に貢献する事業は何でその事業にどの程度投資が必要なのか語られなければならない。
それがまったくない。
基本は強い事業をより強くするであるが、その認識からしなければならないだろう。
ハードで売り負けたら、「家まるごと」をはじめB2B、ひいてはクラウド事業はありえない。
具体的にどのハードで世界市場でNo.1のシェアをとるのかを語るべきである。
「~軸」というような曖昧な表現で分かった気になるのが最も危険。