泉田良輔の考えたこと

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こんなシャープに誰がした

オンリーワンは創意である (文春新書)

オンリーワンは創意である (文春新書)

報道を見る限りホンハイにやられっぱなしじゃないか!

元凶は大型液晶パネル製造の拠点の低稼働率だと思われるが、台湾の手錬に主導権を握られている印象。

もともとのシャープといえば、内製デバイスを軸としたアイディア商品を生み出してきた会社。

「目のつけどころが、シャープでしょ」

このキャッチコピーもそういったDNAを意識したフレーズ。

そう、シャープはいまでいうところのイノベーターだったはず。

ところが、そのゴールデンルールを破り、液晶パネルの外販を意識しだしてからおかしくなったように見えます。

結果として、積極的な設備投資を背景にパネルのコスト競争力で勝負するという展開に。

これは過去の経営とは全く違うフェーズに入ったことを意味します。

当時の経営者にその意識があったかどうかがポイントです。

2000年代初頭でいえば、液晶テレビはコモディティではありえませんでした。

その為に液晶パネル事業に投資したのは十分に理解できます。

ところが、テレビは買い替えサイクルが8から10年、PC2から3年程度という中での液晶パネル事業への投資はリスクが高いと言えるでしょう。

もちろん、液晶テレビが普及フェーズの間は、買い替えサイクルは問題にならないでしょうが、いつそのフェーズが終わるということも言うことができません。

当時の経営者はその普及フェーズの投資機会の代償として長期買い替えリスクをとったといえます。

いまはまさにそのリスクが顕在化しているということができるでしょう。

円高を理由に液晶パネル事業が赤字になったと説明する経営者も多くいます。

ところが、同じデバイスでコモディティでもそうとは言い切れない事例があります。

たとえば東芝のNANDフラッシュメモリーは一時的には赤字になることはあっても、これまで利益を稼ぎ出してきました。

東芝のNANDの製造拠点は三重県四日市にあります。

国内で製造し円高が災いしていても、おおむね黒字を計上しています。

各社液晶事業が赤字なのは、競合パネルメーカーと比べて市場に対しての交渉力がなく、供給超過だからです。

この分析なくして円高のせいにするのは、本当にそう思っているのであれば、相当「痛い」状況です。

すべて分かったうえで、言い訳していると期待したいところです。

さて、なぜホンハイがそこまでシャープの液晶事業を欲しがるのでしょうか。

答えは簡単です。

技術開発と量産技術を持ち合わせているからです。

これはシャープだけではなく他の日本のメーカーも誇ってよい側面です。

ホンハイもチーメイをグループに持っていますが、パネル生産がうまくいっていない話も聞こえてきます。

タッチパネルのインセル化なんてとてもとても

ということで、現場を非難するというのは的がはずれているような気がします。

ここでも私の持論ですが、経営力がなかったというのが正確だと考えいます。

経営力というのが曖昧だという声も聞こえてきそうなので、具体的にあげてみましょう。

大きなポイントはインテリジェンスの欠如です。

設備投資が競争力の源泉だとすると、競合の設備投資のタイミングだけでなく、投資余力を分析しなければなりません。

そう、日本人がもっとも苦手な作業、インテリジェンスを通じてのベンチマーキング。

お隣韓国のサムスンはベンチマーキングの鬼です。

シャープのインテリジェンスがS社よりもすぐれていたかを自信を持ってYesとは言えないのが残念です。

設備投資で競争するとは、インテリジェンスと資金力で勝負することです。

既存の技術をすり合わせて新しいものを生み出すイノベーションとは全く違います。

結果論ですが、経営者はここを一番間違えたのかなという気がします。

太陽光パネル事業も同じです。

欧州でFITのバブルがやってくるというのはどこまで読めたかは分かりません。

しかし、設備投資競争で相対的に優位なポジションにあったかの評価はどのようにされていたのかは知りたいところです。

世界中見てもパネルメーカーはほとんど赤字です。

京セラは定款を書き変えてまでも、太陽光発電による電力事業に参入しました。

パネルを作るよりも、電力事業がもうかると判断したからでしょう。

また、電力事業を行うことで、バリューチェーンをより理解できるからでしょうか。

パネル事業をあきらめる前に、これまでの知見でどこが一番もうかるかを分析すべきです。

すでにその余裕がないのかもしれませんが、それが経営者のとるべき行動だったよな気がします。

自分の何が強みかを忘れると怖いなというのが教訓です。