「超」入門失敗の本質:今も昔も変わらない日本の負けパターン
「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ
- 作者: 鈴木博毅
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2012/04/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この本を読む限り、日本の電機メーカーの負けパターンと太平洋戦争のそれとは酷似。
内容はとっつきにくいかもしれないですが、分かりやすくて良い本。
さて、なぜ電機メーカーや日本軍が敗戦したのか。
それはこの本でいう「追いかける指標」を間違っていることに気がつかないのが敗因。
「追いかける指標」とは経営が事業を遂行する上で勝つためにもっとも重要な指標。
この見極めがうまくできないのが日本人の敗戦理由とのこと。
まあ、半導体や液晶パネル等設備投資産業で「資金力」という指標を見抜けなかったのはその通り。
日本はいつまでたっても「技術」が指標だと思っていたんでしょう。
ただ、個人的には、その指標も同じ事業していても転換点があったと思うんです。
「技術」から「資金力」への追いかけるべき指標の転換点。
これを経営者が見抜くには何が必要だったかはいまだ不明。
この本では、イノベーションについてもうまく語ってくれてます。
イノベーションはこれまで追いかけてきた指標を無効にし新しい指標を導入すること。
まあ、ゲームのルールを一夜にして変えてしまうことですね。
日本人はこれで海外勢によくはめられるんですね。
「標準化」という名のもと、日本がモノづくりで差別化しようとすると打ち消される。
海外勢はシステムの運用というなんとも得体のしれない土俵で勝負に出てきます。
プラットフォームというシロモノです。
ビジネスだけではないです。
スポーツでも、ノルディック複合とか水泳のバサロとか日本が勝つとルールを変える。
これを「すかし」と個人的には呼んでいますが、海外勢はかならず「すかし」てくる。
イノベーションといっても、別に「無」から新しいモノを生み出すわけではないです。
既存に存在しているものの組み合わせで新しく見せることをイノベーションと呼びます。
日本人は既存あるモノを組み合わせるというのは、プライドに障るんでしょうか。
一億総職人国家ですから。
何だかそんな気がします。
結果、組み合わせてシステムを作るのは積極的になれないで、見て見ぬふり。
で、新しい「個」を生み出すことににこだわり続けてしまう。
別に日本人がイノベーションを生み出すのが苦手というわけではないと思います。
そこが、この著者との意見の違うところ。
ネタ本の「失敗の本質」もダイヤモンド社で、この本も同じ出版社だから中身はどうかなと思いましたが、期待以上。