泉田良輔の考えたこと

ノマドアナリストが株式投資, テクノロジー, エネルギー, FinTech, メディア, サッカーをテーマに.

株式投資講座「泉田塾」を2018年3月からスタートすることにしました

Longineの会員の方からリアルで学べる場も欲しい!という声も多かったので、「泉田塾」を東京・大手町で始めることにしました。

今後、投資経験別に様々なメニューも用意していこうと考えています。

ご興味あれば、ご参加ください。

www.longine.jp

日経BizGateの私の連載名が2018年2月から「新・産業鳥瞰図」に変わりました。今回はNVIDIA

おそらくほとんどどなたも気づくこともないと思いますので、自分で言ってみるのですが、日経BizGateの連載名が「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」へと変更になりました。

ん?では前はなんであったのかと。

「泉田良輔の新・日本産業鳥瞰図」

ん?どこが変わったのかと。

はい、「日本」が取れました。

つまり、何が言いたいかというと、対象が「世界」になったということです。

ん?これまで海外の企業も分析していなかったっけ?

はい、おそらくは海外企業の方が多かったと思います。

個人的には、海外企業の分析が国内には少ないので、積極的に彼らをベンチマークしている手前、その分析をし、日本の各産業の今後の行く末を占うために(ここ重要)調査してました。

ところが、扱う企業が「日本」企業じゃないということも多く、今回「日本」をとることにしました。

そして、今月の調査対象はNVIDIA。

もはや単なるゲーム向け半導体企業などではなく、自動運転と都市を狙う、気を付けておくべき企業です。

よろしくお願いします。

bizgate.nikkei.co.jp

ブルムバーグのインタビューにFinTech、決済の内容についてこたえました

私がブルムバーグにインタビューを受けた記事が年末に出てました。

金融や決済ビジネスに詳しいナビゲータープラットフォーム社の泉田良輔アナリストは、既に電子マネー端末を設置した日本の小売店では、決済手段の追加を負担に感じる可能性があると述べた。労働市場のひっ迫から外国人や年配のアルバイトにレジを任せることも多く、複雑な作業を避ける傾向にあるという。消費者が電車と共通で使えるカード使用から切り替えるにも、それなりの恩恵を感じる仕掛けが必要と語った。

「黒船」アリペイ、日本の決済市場で足場固め-地域商店街に浸透図る - Bloomberg

Longine(ロンジン)の口コミや評判はどうなのか。というか自己紹介

2013年6月に個人投資家のための資産形成を応援するメディアとしてLongineを立ち上げました。そしてサービス開始以降、私が編集長を務めています。

はじめに

Longineは私と共同創業者の原田慎司(元シティグループ証券)らで2013年3月に立ち上げた株式会社ナビゲータープラットフォームが運営するメディアです。ナビゲータープラットフォームではLongine以外に、投信1(トウシンワン)株1(カブワン)といったメディアも運営しています。

立ち上げ当初は兜町の東証前のオフィスでスタートしましたが、いまでは大手町にオフィスを移し、FinTech(フィンテック)企業が集まるFINOLAB(フィノラボ)で活動をしています。

私どものがオフィスを構えるFINOLABがあるのは大手町にある、築60年のビル。

建物は古いですが、リノベーションされて、入り口はこんな感じです。

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FINOLABのドアを抜けると左手に、入居している企業のロゴプレートが。

Longineもこのように。

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更に中に入ると、こんな感じで、大きなスーペースがあり、ワイガヤ感&インターナショナル感があります。

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FINOLABは、電通、三菱地所、電通国際(ISID)が立ち上げたフィンテックのエコシステムです。今ではフィンテック関連企業のメッカのような拠点となっています。

https://www.longine.jp/company

finolab.jp

Longineは2018年で5周年です

話を戻しますと、Longineは購読者の皆様や上場企業の皆様、インターネット証券などのサポートもあり、2018年には無事5周年を迎えることとなります。誠にありがとうございます。

大手証券会社や資産運用会社に勤務経験のある証券アナリストがネット向けに企業分析記事や相場の見通しを配信しています。

執筆アナリストは国内外証券会社で投資家等の投票によるランキングで上位のアナリストであったり、機関投資家として長年経験がある執筆者により記事が作成されています。

私はと言えば、大学卒業後、日本生命の国際投資部で外国株式の運用に携わり、1.2兆円のファンドを運用していました。

その後、フィデリティ投信では調査部ではテクノロジーセクターの証券アナリストをはじめ、運用部では中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオマネージャーとして従事していました。

https://www.longine.jp/archive?author=4

このようにランキングの証券アナリストや機関投資家経験者がネット向けに有料購読者向けに情報配信するということ自体が珍しかったとおもいます。

日経新聞やブルムバーグなどでも報道されました。もっとも、いまであれば、それほどニュースにもならならないかもしれませんが。

www.nikkei.com

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Longineのコンテンツ

推奨銘柄や話題の銘柄など

現在、日本株に関するコンテンツが中心となっています。

個別銘柄の目標株価をご提供する「推奨銘柄」、株式市場やアナリストが関心のある銘柄を取り上げる「話題の銘柄」、決算発表や月次データの第一印象をお届けする「速報」があります。

推奨銘柄の記事一覧はこちら

https://www.longine.jp/archive?contentsCategoryAtom=RECOMMEND

話題の銘柄の記事一覧はこちら

https://www.longine.jp/archive?contentsCategoryAtom=HOTSTOCK

速報の記事一覧はこちら

https://www.longine.jp/archive?contentsCategoryAtom=SETTLEMENT

Longineでは、推奨が終了した銘柄とその記事に関してはすべて公開しております。Longineの推奨がどうであったか、どのような銘柄を推奨したのかということをお知りになりたい場合には、以下をご活用ください。

https://www.longine.jp/recommend-list

企業IRの発信の場

また、Longineは個人投資家が有益な情報を入手できる場としてアナリストが発信する情報だけではなく、上場企業がIRとして情報を提供する場も設けています。

「企業IR」「すぐわかるIR」は上場企業から投資家に届けたい情報を発信しています。

たとえば、オムロンさんは株主・投資家情報のサイトからLongineのコンテンツへの導線があります。

株主・投資家情報 | オムロン

パナソニックさんへの津賀一宏社長を含むトップマネジメントへのインタビューや個人投資家向け説明会を共同で開催したこともあります。

外部メディアとの共同企画 - IR (投資家向け情報) - 企業情報 - Panasonic

ダイキンさんの個人投資家向け情報提供もサポートしています。ダイキンさんの投資家向けトップページからリンクをたどれます。

株主・投資家情報 | ダイキン工業株式会社

このようにLongineは発行体のIRによる情報も提供できるプラットフォームになっています。

Longineの購読・記事価格

ネットで情報配信できる良さは、タイムリーに幅広く多くの人に届けることができる点です。

また、Longineは多くの人に読んでいただきたいということで、月額課金は1,080円(税込み)、1記事ごとでは216円(税込み)でご提供しています。

まずは、1記事ずつ読んでみて、納得感があれば毎月の購読を決めていただければと思います。クレジットカードのみの決済となっています。

無料のニュースレターも配信しており、Longineのサービスイメージをお持ちになりたいお客様はご活用いただければと思います。

Longineとは何か知りたい方

Longineにご興味のある方は、Longineの「はじめての方へ」をご参考にしてください。

当ページでは、Longineの思いやこれまでの推奨銘柄のパフォーマンスなどもまとめて整理してあります。

また、ニュースレーターの登録や月契約への登録も可能です。

https://www.longine.jp/about-service

Longineの無料や人気記事のご紹介

Longineでは人気記事のランキングをご提供しています。一部の記事は無料でお読みいただけるので、お時間があるときにでも除いてみてください。

https://www.longine.jp/ranking

Longineのセミナー活動

Longineでは、これまでは不定期ではありますがセミナーを開催してきました。

先日もセミナーを開催しましたが、皆様のご要望なども多くあり、今後はさらに積極的に開催して行きたいと思っています。

www.longine.jp

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Longineでは以前もセミナーを開催していました。アンケートでのお客様のごニーズなども把握できてきており、今後はより接点を増やしていければと考えております。

www.longine.jp

過去のセミナーはこじんまりとやっておりました…。

www.longine.jp

まとめにかえて

いかがでしたでしょうか。Longineについて少しは手触り感が出てきましたでしょうか。

日頃の活動状況は、ニュースレターやサイトでの記事の新着情報などでご確認いただければと思います。

今後は、皆様と直接対話ができるセミナーなどの機会を積極的に設けることで、Longineのサービス品質を上げていくことができればと考えています。

引き続きよろしくお願いいたします。

あわせて読みたい

MUFGが仮想通貨「MUFGコイン」と取引所を設立するという話

MUFGコインの話は以前からあるものの、その全容は明かされず。そして、今回もいつも通りの一部メディアのリークっぽい記事。そして、今回はなぜか「毎日新聞」。

何が新しい話か

今回の記事を読むと、今回の新しいポイントは、以下の2点ではないだろうか。

  • MUFGコインを「仮想通貨」というワーディングで強調
  • 取引所を開設する

ちなみに、1MUFGコイン≒1円、というのはこれまで通り。

引き続き決済で使いやすくするため、価格変動を抑えるというところにポイントが置かれている。

ただし、使い勝手を考慮して電子マネーにしない、「仮想通貨」にするところがこれまで以上にポイントといえるであろう。

以前、野口先生と話した時に、電子マネーと変わらないじゃんと突っ込まれたところを修正した感じはある。

現金の前払い方式の電子マネーなどとして円と同じ価値のコインを発行した場合、銀行を介さずに100万円超の送金を禁じる資金決済法が適用されることになり、企業の利用などで制約が大きい。

取引所で何をどうするのか

MUFGコインの価格変動を1円に抑えるという前提であれば、取引所を通じてMUFGが需給をコントロールする必要がある。

MUFGコインを購入したい人がいればMUFGが手持ちのコインから1円で供給するか、1円で新規に発行する。

また、コインを売りたい人がいればMUFGが1円で買い取る、もしくは1円で購入したい人にマッチングするということになる。

これであれば、円を単にMUFGコインにしただけであって、何というか、取引所といわれるとなんだか、話がでかいな、という気もする。

USDTみたいな感じかも。

取引所は手数料を抜くのか

取引所は売買で手数料を抜くのであろうか。

「1MUFGコイン=1円」という表現が見えにくいが、取引所という表現が手数料を抜くことをおそらく意味しているのだろう。

この手数料は、ユーザーが手数料を支払っても便利だと思えば支払うであろうし、でなければ、MUFGコインを購入するインセンティブは働きにくい。

ただ、これではネットのゲームでポイント(コイン)を購入し、アイテムを買うのと変わらないし、ポイントを購入したものの使わなかった分を同じ値段で売れる(ディスカウントなしで)ということぐらいしか違いがないと思う。

ただ、コインを手にしたものの、換金したいという人にとっては取引所があるということ自体は安心感があるであろう。

「コインをもらってもねぇ」という人には、「換金できるよ」というと問題なく受け取ってもらえるか。

MUFGコインは誰得なのか?

現時点ではよくわからないが、どうなのだろうか三菱東京UFJ銀行に口座があると、何か便利な点があるのであろうか。

もしそうであれば、預金者が法定通貨を預け預金口座を獲得するためのツールとはなりえる。

銀行からすれば取り組んでみたいという話にはなる。

ただ、法定通貨をこれまでのプリペイドの規制を避けつつ、いったん購入した(受け取った)コインを換金する機会を提供するというのにすぎず、やはり、何が得なのかわからない。

もっとも得というより利便性を狙っているかもしれないが。

mainichi.jp

日経BizGateに「マイクロソフトが再び輝くための成長のカギとは?」を寄稿しました

働き方の変化がマイクロソフトのビジネスモデルを壊しかねないという仮説で分析しました。

Office 365やアジュールなどのクラウドサービス好調ですが、さていかにという内容です。

よろしければどうぞ。

bizgate.nikkei.co.jp

齋藤学選手が川崎フロンターレに移籍してくる可能性は去年ほぼゼロになったと思ったのに…

齋藤学選手は怪我で6月くらいまで試合に出られないとはいえ、怪我以前のパフォーマンスは折り紙付きなのは周知のとおり。

ビルドアップの中で相手を押し込んでいるシーンでのドリブルは強力なスパイス。ドリブラーは、ブロックを敷いた相手にスイッチを入れられる機能。

カウンターでドリブラーを走らせるというのも分かるが、川崎Fでの齋藤選手の役割はそうではないだろう。

そして「対戦して怖い」と思った選手と取り込んでおくというのは戦略の基本。

ほぼゼロトップの川崎FでのFWのポジション争いは厳しいが、ここまでのレベルの高い選手がベンチ入りを含めて競争をする環境を見てみたい。

それよりもマリノスとどういうコミュニケーションでこうなったかを知りたい。

去年は断られたと聞いていた…ので。

www.nikkansports.com

川崎フロンターレの金融業界のスポンサーはSMBC日興証券からみずほFGに変わることはあるのか

フロンターレの背中のスポンサーはSMBC日興証券だが、来年にはみずほFGということもあり得そうなインタビュー。

もっとも、みずほFGは「サッカー日本代表」のスポンサーではあるが、いちJのクラブチームを応援することなどあるのだろうか。

とはいえ、フロンターレはもともと富士通サッカー部。みずほグループとの距離は近い。

そしてコーポレートカラーは、みずほもフロンターレも青。

浦和レッズは三菱重工をはじめとした三菱グループで支えられ、グランパスはトヨタ自動車が50%超出資をする企業。

資金力で勝ち点が増える、というほど話は簡単ではないが、ある程度の関係性はあると見ると、DANZマネーの話を除いても、グループ間競争にこれまで以上にシフトしてきた感じもある。

でも、なぜ佐藤社長はフロサポなのだろうか。

あと、私はJリーグの川崎フロンターレのサポーター。ときどき応援に行きますが、そのときも仕事のことが思い浮かびます。サッカーは、守りの人は守りだけ、攻めの人は攻めだけやっていてはダメ。フォワードが前線から戻って守備をしたり、ディフェンダーがオーバーラップするなどしてチームは機能します。その様子を見て、ああ、これはお客さまのためならば、自分の守備範囲を超えて「横っ飛び」もためらわずに仕事に取り組むみずほの企業文化と同じだなと考えたりします。

president.jp

ギグ・エコノミーとは。「ギグしてる?」と時代は職探しから働き方探しへ

GIG(ギグ)というとBOØWYの"LAST GIGS"を真っ先に思い浮かべるのは私だけだろうか。

中学生からそもそもずっと「ギグスってなんだろう」と思っていたところに今回の本「ギグ・エコノミー 人生100年時代を幸せに暮らす最強の働き方」を読む際に改めて辞書を調べてみた次第。

そもそもギグとは

リーダーズ英和辞典で「GIG」の5番目の意味として、

ギグ⦅ジャズ(ロック)演奏会⦆;(口)特に⦅一晩限りの⦆演奏の契約[仕事], 出演…

ととなっており、なるほどと。

これでBOØWYの"LAST GIGS"の意味もよくわかります。しかもGIGSと複数形です。

日本人にわかりやすいように言い換えれば、つまり、フリーランス・エコノミーという訳です(英語ですが)。

ギグ・エコノミーはどこまで影響力があるの

先の本では、そもそもギグ・エコノミーがどれだけの規模なのかを把握するのは難しいといっています。

ただ、米国で非伝統的な働き方をしているのは、2005年に10%だったものが、2015年には15.8%に増加。

また、2005年から2015年におけるアメリカの就業人口の純増はすべて非伝統的就業形態によるものだったそう。

こうしてみると、ギグという仕事の仕方の良し悪しは別として、それを前提に労働者も考え方を持っておかないと、時代の変化には適応できないということになります。

日本でいろいろと議論されている副業がOKかどうかという話ではなく、副業ありきの人生を考えないと取り残されるともいえます。

ギグ・エコノミーが拡大している背景とは

本の中ではいろいろとデータとして面白い引用をしていて、そうした中からざっくりとした特徴を言えば、

  • フルタイムの雇用が(過去のトレンドと比べると)増えていない
  • 雇用創出に欠かせない新興企業の勢いがなくなっている
  • 企業がフルタイムの従業員を敬遠していること

とのこと。

もっとも、もっと言ってしまえば、社内(つまり従業員)としてできることの付加価値を外部でも十分出せるということであろうし、そもそもその費用対効果が高いから企業もそうした行動に出ると言えます。

また、企業がそうした発注をする姿勢があるために、そうした需要を受け止めようとする供給が増えるの繰り返しでしょう。

ギグと相反する就職活動

ギグありきの人生とすれば、就職活動なんてものは、ばかばかしいということになります。

ギグするには専門性が必要なのですが(これもいつもある話)、大きな企業に就職して、専門性という面でエッジの立っていないポジションを数年でもしてしまうと、ギグするには遠回りということになります。簡単にギグできないわけです。

大企業に何かの専門性を求めない限り、リスクといえます。

ギグで苦しくなる職業とは

企業もギグで対応できる仕事をあえて社内にリソースを抱えるということはしないでしょう。

よほどギグの内容が良いか(一度手放すと順番待ちになるとか)、その人材のギグ以外の要素が評価されているかということになります。

したがって、フルタイムの仕事をし続けたいと考えるのならば、以下の様なエッセンスが必要となるでしょう。

  • 自分の強みはギグで置き換えられない領域で形成する
  • 社内特有の作業をコントロールできる立場になるか、それに従事できるようにする
  • 圧倒的なギグを出し続ける

主にはこうしたことではないでしょうか。

ギグがあることでこれまで以上に自分の仕事が相対評価されやすくなり、フルタイムも厳しい時代にどんどんなりつつあります。

フルタイム対パートタイム、これは今後産業動向も含めて大きなトピックになっていくと思います。

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鹿島アントラーズを外部から見るとこう見える。成功の背景と弱みとは

鹿島アントラーズ(以下、鹿島)は、なぜ強いのか、なぜ執拗なまでに勝利にこだわるのか、なぜ選手はいつも渋い顔をしているのか、そして鹿島が強い日本のサッカーで将来の日本サッカーはそれで幸せなのか等、素朴に考えたことはないでしょうか。今回は、自分でも疑問に思ってきたことを公開情報をもとに考えてみます。

鹿島が成功し、支持を受けている背景とは

いきなり、結論めいた話で何ですが、これまで鹿島が成功してきた背景を考える際にポイントとなろう大きく2つの特徴があるように見えます。

そのキーワードは「キリスト教」と「演歌」です。

キリスト教のフレームワーク

ひとつは、鹿島はまさにキリスト教のようにその誕生のストーリーが多くの人を惹きつけたという特徴があると思っています。

「ジーコ」というキリスト教における「イエス・キリスト」のような存在と、強化部長である「鈴木満」氏というキリスト教の普及に欠かせなかった弟子であり伝道者パウロのような存在が今となっては頭から離れません。

鹿島には演歌を感じる

そしてもう一つが、鈴木満氏が著書「血を繋げる。 勝利の本質を知る、アントラーズの真髄」でも自ら指摘しているように、鹿島には東北出身者が多く、ジーコ以降ブラジルサッカーを基盤としながらも、苦しくても頑張れば明日はいいことがあるさというどこかに「演歌」的精神を背景としていて、日本人の一定層の支持を受ける文化を築いているという特徴があげられます。

鹿島の強みとは

Jリーグ開幕前に、「サッカーの神様」であるジーコが日本のサッカーチームでプレーをするということを誰もが興奮を持って迎えたのは記憶するところでしょう。

そしてそのサッカーの神様が日本のサッカーファンの目の前でプレーをし、開幕戦のグランパス戦ではハットトリック。そして試合は大勝。

また、鹿島は開幕戦だけではなく、その後数々のタイトルを獲得していくという展開となりました。

鹿島のスタートとその後の輝かしい歴史は、ストーリーそのものとしては美しく、プロサッカーリーグ黎明期においては、珠玉の存在となったともいえます。

ただ、その鹿島のストーリーがジーコだけで終わらないのが、いまの鹿島がある所以です。

「ジーコスピリット」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。

  • 献身
  • 誠実
  • 尊重

この3つのキーワードなのですが、これは実際にジーコが「この3つのキーワードが俺の精神だ」といったわけではありません!

鈴木満氏が通訳と話をしながら「ジーコが言いたいのはこういうことだよね」と言って決めたのが、この3つのキーワードだそうです。

エッセンスを抜き取る、そしてまとめるというのは一つの才能です。この作業を鈴木満氏が主導したのであれば、それは鈴木満氏の成果です。

また、鈴木満氏は、シンプル化したキーワードを前面に押し出して、ジーコが現場を去った後でも、この精神に賛同できないものは鹿島ファミリーではないという雰囲気にすることに成功しました。

「ジーコスピリット」として、自分たちの(鹿島の)プレースタイルを継続させるために欠かせないエッセンスとしたのであれば、それもまた鈴木満氏の大きな成果です。

鹿島の弱みとは強みと表裏一体

ここまで鹿島の強みを見てきました。そして、その背景にはジーコと鈴木満氏の努力があることを見てきました。

ただ、アナリストの私から見れば、これがそのまま弱みにもなると言えます。

先の著書を見る限りでは、鈴木満氏は強化部長という肩書ながら、実際にはGM(ジェネラル・マネージャー)です。

チームにおける選手の獲得や放出、そして監督の選任も含めて、基本的に鈴木満氏の仕事です。

自分が採用した監督でも、試合を経ることで鈴木満氏の目線とあわなければ更迭されます。

選手もポジションで他に良い選手がいたり、また、若くても成長性などが評価されなければ放出もされます。

たとえチームに残れたとしてもレギュラーとして試合に出られないのであれば(鈴木満氏自身は親心というような感じで話をしてますが)他のチームにレンタルにも出されてしまう。

鹿島のスカウトは優秀だという点を差し置いても、スカウトが勝手に選手を獲得してくることはないはずです。

こうしてみると結局、鹿島はチームとしての戦略、そしてある程度の戦術まで含めて鈴木満氏のチームだということです。

鈴木満氏のサッカーが他のチームのサッカーに通用しなくなった時には、鹿島のサッカーの時代が一旦は終わりを迎えるということになります。

もっとも、鈴木満氏のことですから、自分が抜けたとしても「ジーコスピリット」にはじまる伝統が鹿島の文化を継承するようにするでしょうし、自分以外のエバンジェリストを育成するとは思います。

ただ、余人をもって帰ることができるかといえば、そうではないでしょう。鹿島が歴史的に強かった背景が鈴木満氏ということであれば、今後は誰がそれをカバーするのかという根本的な問題に直面します。

こうした状況はどの世界にもあることですが、安定している状況に見えても極めて大きなリスクをとっているともいえます。

後継者問題はどこの世界でも同じ

鈴木満氏も先の著書でも触れていますが、自分が今後どの程度の期間までGM的なロールを続けることができるのか、ということは問題になるでしょう。

いわゆる後継者問題です。

2016年シーズンにおいては、鹿島は勝ち点が第3位だったにもかかわらず、チャンピオンシップで川崎フロンターレと浦和レッズを破り優勝しました。

いちばん浮かばれなかったのは浦和レッズだと思いますが、当時はCSのシステムだったので致し方ありません。

また、鈴木満氏の著書では川崎フロンターレの勝負弱さも指摘しています。

ただ、あの試合では川崎フロンターレの主力メンバーが怪我で出場できていなかった点も分析家でもある鈴木満氏は触れておくべきでしょう。残念ながらその記載はありませんでした。

もっとも、2016年当時の川崎フロンターレの試合を決定づけることができる選手層の薄さは当然ながら指摘されるべきだと思いますが。

izumida.hatenablog.com

戦略に永遠という賞味期限はない

一発勝負を得意とすると自負している鹿島ですが、2016年シーズンは勝ち点は首位でなかったことには頭に入れておくべきでしょう。

そして2017年シーズンは川崎フロンターレに最後に勝ち点で並ばれ、得失点差で優勝を持っていかれました。

izumida.hatenablog.com

鹿島は手堅く試合を決める「ウノゼロ」ゲームに特徴があり、メディアでは評価されがちですが、もっともこれは守りは固く、相手の隙やミスで1点をとるというゲームです。

2016年のCSでも対川崎フロンターレでもそんな展開でした。

試合が始まれば、「ボールを奪いたがる試合展開」ということです。

やや言い過ぎかもしれませんが、俯瞰してみても「受動的サッカー」です。しっかりボールを「奪って」、攻める、という守備から入るサッカーです。

サッカーでは攻撃と守備は表裏一体といいますが、どちらを起点とするかは考え方があります。

後でも触れますが、鹿島の選手は練習でも耐えて耐えて、偉大な先輩を差し置いてレギュラーを獲得し、試合でもその精神面での強さを一点・一瞬において発揮するというコンセプトです。

ですから余談ですが、鹿島のCB(センターバック)は自身の歴史において主役になりえるのです。

もっとも昌子源選手は、守備においてはアクションをとることで試合展開を運用できるといっているので、ディフェンスというマイクロな局面においては、リアクションサッカーから脱却するように意識しているということは付け加えておきます。

資産運用の世界も鹿島スタイルはワークしてきた

サッカーに限らず、資産運用の世界でも、守りに徹して僅差で勝ち続けるファンドマネージャーが長期でも勝ち続けるというのは意外にあります。

ただ、付け加えるとそうした運用そのものに興奮はありません。おそらく、そうした運用をしている人も興奮をするというよりも、地道に作業を積み重ねているというのが正直なところではないでしょうか。

そうした僅差で勝ち続けるという戦略は、いまではAI(人工知能)や勝つことはしないが負けないというインデックスファンドに市場シェアを奪われつつあります。

戦略は永遠に同じで通用するというものではなく、賞味期限があります。

話をサッカーに戻すと、2017年シーズンにおいては、川崎フロンターレは鹿島にホーム及びアウェーの試合でいずれも勝利しています。

また、それぞれの試合で川崎フロンターレは鹿島に対して3点差をつけて勝利しています。

戦略家の鈴木満氏からすれば、川崎フロンターレに対してタイトルを逃したということも悔しいでしょうが、そのタイトルを獲得した川崎フロンターレにリーグ戦ではコテンパンにやられている事実をどう見るかの方が重要ではないでしょうか。

そしてその川崎フロンターレの鬼木達監督は鹿島出身です。鹿島出身である鬼木達監督からすれば、鹿島の長所や短所は十二分に理解していることでしょう。

風間八宏監督では成し遂げることができなかったタイトル獲得を鬼木達監督は1シーズンで成し遂げました。これも鬼木達監督が鹿島出身であったこととは無縁でないような気がします。

鹿島を支える東北出身選手

冒頭に「演歌」というキーワードに触れましたが、鈴木満氏も指摘するように「我慢強い」とか、またそこからイメージできる「耐える」という姿勢があるのはここまで見てきたとおりです。

そして鹿島の選手には東北出身が非常に多いのは特徴的でしょう。もっともGMロールの鈴木満氏も宮城県出身です。

以下の過去も含めて主力の選手たちも東北出身です。

  • 山本脩斗選手(岩手県)
  • 土居聖真選手(山形県)
  • 柴崎岳選手(青森県)
  • 小笠原満男選手(岩手県)

といった具合です。

東北にも、J1のベガルタ仙台などもありますが、茨城という関東地方とと東北地方の中間に位置する場所に鹿島という強豪クラブがあるというのは、優秀な選手の受け皿という観点から日本のサッカーの裾野を広げるためには最適であったともいえます。

ただ、今後も「我慢強い」選手をとり続けるというのをベースにして鹿島が良い選手をとり続けられるかというと、それは分かりません。

鹿島の場合はそこをチームの精神基盤としているので、ちょっとやそっとのことで変更することはないでしょう。また変更しない可能性の方が高いと言えます。

アナリストとして気になるのは、過去は必勝パターンであったものが、そうではなくなった時のカジノ切り方が難しいということです。

いわゆるイノベーターとしてのジレンマともいえるでしょう。

こうしたことはサッカーチームに限らず、様々な産業で多くの企業が経験していることと同じだと思います。

サッカーは結果を求めるものであることは今後も変わりがないと思いますが、そのプロセスとして、「我慢のサッカー」より、「魅せるサッカー」でしょう、という空気になればどうでしょうか。

過去にタイトルがたくさん獲得できたチームというだけでは、良い選手を獲りにくくなることは十分にあり得ます。

2017年シーズンに鹿島からガンバ大阪にレンタル移籍していた赤崎秀平選手が鹿島に戻らずに、川崎フロンターレに完全移籍してきたのは、なんともそんな兆候が起きつつあるのではないか、という気さえします。

日本のサッカーは鹿島が強いでいいいのか

日本のサッカーが「世界」で強くなるためにはどうしたらよいのか。

これはいろいろな議論があってよいテーマですが、2017年からDAZNマネーもあり、Jリーグは「日本からビッグクラブをつくる、つくりたい」という方向に舵を切った感があります。

その際にどこのクラブをある程度想定していくか。

世界を見渡すと、やはり、大都市、またはそれに準ずる都市に拠点があるビッグチームが多いのは事実です。

バルセロナ、マドリッド、マンチェスター…大都市を背景に巨大なスタジアム。

クラブチームは、ブランドやリーグによって放映権などの収入が期待できるものの、ほとんどのチームではチケット収入が収益の柱となることは変わりがありません。

その点に関しては、背景となる都市の人口とは切り離すことができないわけですが、鹿島は不利といえるでしょう。

ユニークともいえるし、(事業環境の競争劣後という意味での)弱者の戦略としては成功してきたケースとしてはアナリストとして注目しています。

鹿島は勝ち続けることで人を惹きつけるという戦略で成功してきたので、今後はどのようにしてビッククラブとなるための展開をするかには注目です。

結局どこがビッグクラブになるのか

残念ながら、サッカーは資金力が勝負だという、血も涙もない話をすると、個人的には、三菱グループの浦和レッズ、トヨタグループのグランパスが最有力候補でしょう。

今後のタイトルの行方で、どこまで富士通の川崎フロンターレ、日立の柏レイソル、パナソニックのガンバ大阪が食い込んでくるかなどがアナリスト的には見ものです。

あえて、2極化を促すような資金配分で、日本からビッグクラブをどのようにして生み出していくのか、Jリーグも面白いステージに入ってきました。

こうした中にソフトバンクが入ってくるとさらに面白いのになと妄想もしています。

【ご案内】Longineが個人投資家向け無料セミナーを実施します

新年明けましておめでとうございます。

今年もどうぞよろしくお願いします。

さて、新年早々、今回は告知です。

Longineが2018年1月18日(木曜日)に東京・大手町で個人投資家向け説明会を実施します。

私が登壇して、現在の株式市場の動向や今後起きうる産業構造の変化、Longine編集部の注目セクターや銘柄をご紹介します。

Longine購読者だけではなく、資産形成にご興味があればどなたでも剛おぼいただけます。ご興味がありましたら、ぜひこの機会に。

以下のリンクからご応募ください。

https://www.longine.jp/seminar

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AI(人工知能)時代のアナリストは生き残れるのか?生存できるとすればどの領域か

2017年も大みそかということでもあり、ここ最近でてきたAIで証券アナリストやファンドマネージャーの仕事が奪われるんではないか議論もあるので、プロ投資家の役割と今後の付加価値はどこにあるのかについて考えていきたいと思います。

はじめに

個人投資家向けにLongineをはじめた5年前は、アナリストやファンドマネージャーの仕事がここまで機械にとってかわられるなんていうことは、はっきりいってあまり想像しませんでしたね。

せいぜい、相場の浮き沈みでアナリストのポジションが増えたり、減ったりということぐらいで、そこまで真剣に考えるということはなかったのではないでしょうか。

ところが、ヘッジファンドだけではなく、一般投資家も身近な投資信託でもビッグデータを機械に食わせて、その分析に基づいて銘柄を抽出するなどというファンドもいくつかすでに出てきており、ゴールドマンサックスのファンドなんかはかなり売れています(信託報酬は高いですけどね)。

アナリストの仕事とは

大きく分けると3つに分けることができると思います。

  • 分析(アナリシス)
  • 予想(エスティメイト)
  • 値付け(バリュエーション)

基本はこの3つです。

分析は、大量のデータ・情報をインプットし(基本は読み込むこと)、その内容を分解していき、「何が何をそうさせているのか」というのを突き詰めることだと思います。

そして、その分析に基づいて、分解して決め手になる要素を統合していき、全体像を予想するという作業に行きつきます。

この辺りはシステムズ・エンジニアリングの分解と統合の作業にぴったりです。

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AIでどこまでできているのか

さて、AI運用の現場の話を聞いていると、現在のAIではおそらくこの第2段階までできていて、ここに人間の投資判断のパターンを埋め込んで最終的にはAIの投資判断としているのだと推測します。

もっとも、この時点の人間の判断というのはファンドマネージャーやアナリストの判断パターンを入れているので、その参考にしている人間のレベルが低いと、最終的なアプトプットが知れているということにはなりますが、その水準も時間とともにアップグレードしていくと考えるべきでしょう。

ということで、アナリストの3つのプロセスのうち、2段階目までは概ね機械で代替されているし、その精度は機械の方が上といえるでしょう。

今後生身の人間が戦う領域とは

では、現在、人間のアナリストの付加価値は何が残されているのかというと、最後の値付けの部分でしょう。

「この銘柄の適正株価はXXX円。よって買い(とか売り)」

というような投資判断をまだ機械「自身」がしきれていない(というか人間のこれまでの知見の一部がアルゴリズムとして活用されている)、という状況だと考えていて、そこはまだ人間が判断する付加価値が残されているのかと。

とはいえ、この領域も近いうちに機械が自分で判断をして投資判断をするようになる、という時代も当然あり得るわけで、その際に機械とどう戦うのかと。

プロ投資家はどこで付加価値をとるのか

ひとつあるのは、機械が判断するためには大量のデータを食わせないといけないわけで、そこをつくのだとすると、データの少ないIPO直後の株や公開情報の少ない中小型株というのは引き続き人間が判断しても勝てる領域は残るであろうということ。

あと、これは有名なファンドマネージャーにフィデリティ時代に学んだことですが、「株は変化だ」ということ。

これは株で儲けるためには、凪いでいる海ではなく、潮目を見逃すなということ。たとえば、経営者が変わることや業績が大きく変わる(←これらがポイント)といった変化点をどう判断するか。

非連続の変化点

過去と「非連続の変化」に対して機械が確信をもって判断することはできないでしょう。だとすれば、そこは人間の目利きであったり、過去の経験や知見を拡張して活用する領域が残るということになります。

過去との非連続の状況が儲かるというのは、これまでと変わりがないですが、いわゆるアノマリー的なデータに基づいていえてしまうパターン系は機械にとって代わられるし、その方が漏れがないので任せてしまえばいいと思います。もっともそうした領域が得意だったファンドマネージャーの仕事はなくなるわけですが。

まとめにかえて

ということで、私自身はテクノロジーセクターのアナリスト経験が国内外株を含めて最も長いわけですが、細かな技術を追うよりも、様々なセクターの(そう、セクターにこだわっていてはだめだということ)会社のそうした変化を追う方が儲かる時代になってきているのではないかと感じています。

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