マイケル・モー「10倍株投資の実践理論 明日のスターバックスを発掘する方法」ダイヤモンド社
原題は、Finding The Next Starbucks。ということで、10倍株なんてキーワードはない。
ちなみに、10倍株、テンバガーはフィデリティのピーター・リンチが名付け親。
ピーター・リンチは、Fidelity Investments の伝説のファンドマネージャーだ。
そのピーター・リンチに執筆寺にアドバイスをもらったようで、このタイトルらしい。確かに、本の帯もピーター・リンチ絶賛となっている。
小型株投資で成功するためには
内容は小型株投資で成功するためにはというアプローチが記載されている。
極めてオーソドックスで、ヘッジファンドでゴリゴリ回転させる人には向かない。
ただ、内容の随所随所は、極めて同意できるポイントがたくさんある。
高いEPS成長率+期待を超える業績=超勝ち馬
小型株投資に限らず、株式投資で結果が出る必勝パターンはこれだ。
日本の株式市場は循環相場だが
残念ながら日本の株式市場は循環相場であった。
しかし、上の条件に当てはまる銘柄がなかった訳ではない。
全体がダメだから、個別もダメと捨てるのは実にもったいない。
そのスタンスというのは投資家としてはどうかしていると思う。
発掘した少数の銘柄を管理すればよいので、それで良いではないか。
長期投資は儲からないと嘆く人も多いが、長期投資の効果を実感できるのはやはり複利。
複利は世界の七不思議に次ぐ八番目の不思議である。ーアルバート・アインシュタイン
ということで、勝ち馬を見つけることができたら、驚異的なパフォーマンスが享受できる機会があるということだ。
逆も真なりであるが、それが長期投資の本質で、長期投資はツールである。
みんなが既に知っている銘柄も爆謄する不思議さ
私も実は米株運用でスターバックスの担当をしたことがある。
当時スターバックスも日本に進出しており、まあみんなが知らない銘柄でもなかった。
それでも、10数年過ぎて株価を振り返ると株価はとんでもなく上昇している。
小売りは一度稼げる仕組みを確立し、拡大するフェーズに入ると恐ろしい。
モー氏がタイトルにスタバを持ってきた気持ちは分かる。
銘柄調査の神髄
それと、銘柄発掘の際の証券会社の立ち位置は日本も米国も変らないことをこの本は教えてくれる。
それに、実はぼくがこの本を書いている理由がそもそもこれだけなんだけれどもー明日の勝ち馬に投資しようと思っているのならウォール街の出すレポートなんかよんでいてもダメだからだ。
まあ、自分がウォール街にいたので、よくわかるのだろう。
アメリカのナノキャップ(時価総額50億円)未満の株式766銘柄のうち、アナリストがカバーしているのはほんの126銘柄(16%)に過ぎない。マイクロキャップ(時価総額50から250億円)だとアナリストのカバレッジ率は58%に上がるけれど、それでもまだ650社のマイクロキャップがカバーもされずに放っておかれている。それらを合わせると、アナリストがカバーしていない企業が1300社あり、これは全銘柄の20%に上る。
こうした状況は、日本も同じ。
カバーされている銘柄の方がそうでない企業より多い。
したがって、個人投資家は、ビックキャップを相手にするよりは、小型株がベター。
情報のエッジがある方を選択するのがよい。
これは情報の捉え方の話だ。
投資アイディアは、ほとんど情報と洞察力がすべてなり。情報に価値があるのは他人に知られていないときだ。洞察力に価値があるのはそんな情報の意味が分かるときだ。
人間の洞察力は、一部の帆とを除きそれほど優位な差はないと考えると、情報をどうあつめるか。
こうした観点から、ピーター・リンチもフィデリティの山下裕士相談役も町に足を運ぶということになる。
【私の運用報告書(1)-フィデリティ投信元ファンドマネージャー(現相談役)山下裕士 × Longine 泉田良輔】
を参照のこと
プロも個人投資家も調査の前には平等だということだ。
常に、情報のエッジを求め、そこに分析を加えれば、自分だけの投資アイディアだ。