泉田良輔のブログ

テクノロジーアナリストの100%私見

湯之上隆「日本型モノづくりの敗北」文芸春秋

 

 

元日立半導体エンジニアによる半導体産業当事者の手記。

半導体の開発・設計・製造の企業文化の差を解説している。

日立は新しい技術好きの一点突破主義。

NECは極端な均一性を求める潔癖症。

三菱電機はどこまでいっても採算(コスト)重視と大規模な設備投資は嫌い。

それぞれ会社のキャッチフレーズになるような単語を並べている。

半導体事業だけを考えるのであれば、NECが半導体の勝ちパターンに見えるのだが…。

エルピーダだけを見るとそうではなかったようだ。

さて、実はこの本の一番のサプライズは、コラムだ。

(そして、このコラムが当本の一番興味深い個所!)

よくぞここまで書いたなぁと思う。

半導体以外は、他の文献に拠っているようなので、そこは原書に当たるのがよい。

しかし、エンジニアがマーケティングに気付くとここまで驚くという驚きがある。