エンジニアリングとプロジェクトマネジメントの質
上越新幹線の中でプラントエンジニアと2時間ほどおしゃべり。
彼らは日本を代表するエンジニアリング会社出身の人達。
これまで誰もが知っている大規模プロジェクトに参画している。
最初はエンジニアリングの質ってどうやってみたらよいかというテーマ。
結論としては化学プラントが一番進んでいるとのこと。
なぜか。
試行錯誤ができるからそうだ。
一方で、原発はエンジニアリングとしては一番低いとのこと。
原発は扱っているものが原因となっている。
結果、教科書通りのプラントエンジニアリングしかできないとのこと。
したがって、現場の工夫というのが許されない。
現場でもかわいそうだけど、それが現実だと意見が一致していた。
なるほど。
原発を見学したことのある人ならすぐわかるが、原発は配管の塊。
311の地震では、私はまず配管の異常がないかを心配したものだ。
あれだけの揺れで配管がずれていないと考えるほうがどうかしている。
真っ先に話に出る圧力容器なるモノは鍛造品でしっかりとしたものだ。
配管はパーツはしっかりしているとは思う。
ただ、組み合わせた配管の全体としてはどうなんだろう。
原発の裏側は、素人には普通の配管の寄せ集めにしか見えない。
また、日本のプラントメーカーの受注の仕方に話が移る。
日本得意!?のランプサム方式は海外ではありえないらしい。
日本独特のビジネス習慣。
よくここまでそれなりにやってきたという感があるらしい。
海外では通常はコストプラスフィーという方式が用いられる。
外国人にはランプサム方式は信じられないらしい。
宗教が違うくらいの差だろうか。
ランプサムにはとんでもないくらいのプロジェクトマネジメントの質が要求される。
通常、原発を1基つくろうと思うと4000億円くらいかかる。
このプロジェクトで予算がが1%ずれても40億円。10%だと400億円。
中規模の企業でも吹き飛んでしまうくらいの金額だ。
為替も資材調達も職人の調達もすべてがリスク。
もちろん、最近は少し日本企業も勉強して、ヘッジはしているらしい。
そうはいってもプロジェクトが始まればリーンスタートというのは無い。
プロジェクトマネジメントの経験値は米国が高い。
(多分頭の良し悪しではないと思う)
Visualizing Project Management: Models and Frameworks for Mastering Complex Systems
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教科書を書いている人も、NASAだのCIAだのそういうバックグラウンドの人たち。
防衛、宇宙、インフラの先進国は必然そうなるのだろうか。
日本がインフラで世界で勝負するというのはこれまた説明としては弱い。
機器を売りきるのとプロジェクトをマネジメントできるのは次元が違う。
モノづくりとシステムを組み上げるPMは別物。
日本の必勝パターンは海外の得意な企業を買収してうまく管理する。
これしかない。
間違っても、自分たちがうまく管理できるといって乗り込んではダメ。