泉田良輔の考えたこと

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MiFID2とは何か。証券アナリストはどうなる?証券会社や運用会社どうなる?金融庁は?

元メリルリンチの銀行アナリストの大槻さんのMiFID2についての記事。当記事で言及されている中でもMiFID2には、様々なポイントがありますが、ランダムに。

MiFID2(Ⅱ)の読み方

はじめての方は同様無か迷うと思うので、まずかここから。

「ミフィッドツー」と読む。「ミッフィー・ディー・ツー」と覚えよと、別の人に教わった。

そもそもMiFIDの規制概要とは

「ミフィッド」(Markets in Financial Instruments Directive) という規制は、欧州版の「金融商品取引法(金商法)」のことである。2007年11月に、投資家保護を主眼に施行された。日本の金商法と同様に、運用会社や証券会社に対し、投資家に合った取引商品の提供や、取引の透明化などを義務づけている。

そしてMiFID2へ-2018年1月1日

2014年6月に公布された改正法「ミフィッド2」が示した手数料規制の大幅な厳格化

もともと施行はもっとはやい予定だったが、英国のEU離脱などのイベントもあり、伸び伸びとなっていた模様。

そして迎える2018年1月1日。

なぜMiFID2か

ところがミフィッド2では、運用会社が外部リサーチを購入することは「原則として禁止」とされた。購入されたリサーチが本当に投資家のためになっているのかが不透明なためだ。

機関投資家とよばれるバイサイドは投資に必要な判断に至るまでの調査はそもそも自分で調べることにはなっている。

ただ、実際は、証券会社に所属するアナリスト(セルサイド・アナリスト)に会社の業績モデルをもらったり(発行体がセグメントなどを頻繁に変えるケースでは重宝する)、事業会社の特別に人に合わせてもらえるような段取りをしてもらっていた。

そうしたサービスがどれくらい価値があるのかはさておき、「原則禁止」というのはアクティブ運用の実態を完全に無視している。

仮に、セルサイド・アナリストのサービスがゼロになると仮定したときに、バイサイド・アナリストが全部自分で用意するというのは実作業レベルではちょっと考えにくい。

証券会社だけではない、本質は運用会社の直面する苦境

ただ、バイサイド・アナリストはもっとまじめに調査しろ!というメッセージは見えるが、果たしてどれくらいの割合で機能するかは今後時間とともに明確になるであろう。

外部リサーチへの調査費用が明確になるということは、バイサイド自身の調査費用はいくらになるのかという話でもある。

つまり、アクティブ運用に資金を拠出している投資家からすれば、「そのパフォーマンスを出すのに、内部の人材に対してそんなにカネをかけているのか!」ということにもなりかねない。

バイサイドからしてもMiFID2で証券会社のリサーチ費用が数値化されることは歓迎されない動きであるということは言える。

なぜMiFID2はこんなに無茶ぶりなのか

今回のMiFID2の話を聞いて思い浮かぶことがいくつか。

世の中は、アクティブ運用(ベンチマークを上回るような運用、アルファをとることを目指す運用)には冷ややかな一方、インデックス運用を歓迎するトレンドが現在は確実にある。

インデックス運用は、市場そのものに投資をし、運用をするというコンセプトなので、個別で企業調査などは必要ない。

仮に、このインデックス運用が今後も主体になるという発想があるのだとすれば、確かに「調査に費用をかけるなんてばかばかしくねぇ?どうせアクティブのほとんどはインデックスに勝てないんだから、そんなの削れるだけ削ったら?」みたいな読みもあるのかなと。

MiFID2は証券会社ドリブンのアクティブファンドはもはやどうでもいい扱いになっているのではという印象すら受ける。

だとすれば、アクティブファンドは大変だなと。

MiFID2で外部リサーチの扱いは?

例外的に認められるリサーチの購入のためには、運用会社は、どんなリサーチにどれくらい支払ったかを、おカネを預けている人や企業に対して明示しなければならない。リサーチ費用の年度予算は事前に決めることが義務づけられ、その予算を各チームに割り当てることになる。このため、データの必要性やその情報がもたらす価値がこれまでよりも厳しく精査されることになる。

普通の企業で考えれば当たり前かもしれないが、「調査」は事前に読み切るのは難しい。上記でいうと、実質ルーティンものしか事前に組み入れることができない。

そして、外部に見せて納得してもらえるような調査に予算を充てないと、担当者も説明するのにまた時間が取られるというので、外部から一定の評価を得たリサーチに需要が集中するということもあるだろう。

とはいえ、投資の世界でみんなの知っている情報を知っているということも大事だが、既にコンセンサスとなっている情報をどれだけ集めてもエッジはないのはみんな知っている。

MiFID2の料金表で証券会社のリサーチはどうなる

アナリストへのミーティングや個別分析の依頼については、さらに1回につき数万円〜数十万円の別料金を要求するとみられる。

まあ、別にアナリストでなくとも外部に調査を頼むということであれば、このレベルは普通ともいえるが…これで驚かれるとインテリジェンスの値段ってと思う。

投資家で数百億とか数千億を運用している人からすれば、本当にも受かる話であれば、1時間数十万レベルであれば、パフォーマンス次第でなんとでもなる数字だというのは気づいている。

ただ、リサーチの内容にもよるであろうが、機関投資家もコストにより慎重になるであろうから、証券会社のバンドルでのリサーチからより細分化された人ベースのリサーチに需要がさらにシフトするのは自然なことだろう。

証券会社もアナリストを採用するときに、MiFID2の枠内で客に売れるアナリストしかとれなくなる。

ジュニアアナリストを抱えるだけの余裕がなくなるところも多いのではないだろうか。

だとすれば、また業界の高年齢化が加速することになる。

また、クロスボーダー、セクターボーダーのリサーチといっても必ずしも証券会社のリサーチが強いわけでもないので、そうなれば、独立系でネットワークのある人が圧倒的に有利に。

となると、証券会社のリサーチの存在意義が問われる。

証券会社のアナリストの仕事はどう変わる

こういってしまっては身もふたもないですが、私が機関投資家をしていたころは、証券アナリストの公開されたレポートはもちろん見はしますが、それもをもって投資判断を直接するということはない。これは私が特殊というよりはまわりも同じ。

機関投資家も証券会社の証券アナリストと同様に決算説明会に出席し、経営者やIRにも(基本的には)会うことができるので、努力次第ではあるが、入手(アクセス)できる情報には変わりがない。

では、証券会社のアナリストの仕事はこれからどうなるのか。

機関投資家時代にありがたっていたのは「いつもとは違う情報」だ。つまり、証券アナリストが持っている情報ではないことになる。

では、証券アナリストはどう生きるのか。

禅問答のようになるが、証券アナリストが入手できない情報をとってくるということに尽きる。

担当する業種によるが、業界の情報かもしれなし、技術の情報かもしれないし、それらを分析した結果かもしれない。

また、情報を持っている人を見出す目利き力も問われるであろう。

おかしな話ではあるが、決算を分析して投資判断をするのは証券会社の証券アナリストの仕事ではなくなるかもしれない。

とっておきの情報を持ってくるか、めんどくさい収益予想モデルのアップデートをしてその作業をありがってもらうのか、どちらかという極端なことも十分にありうる。

www.bloomberg.co.jp

個人投資家と機関投資家の情報格差

アナリストリポートの開示範囲が狭くなる可能性が高い。これまでは、一部の大手証券会社のリサーチリポートは、その証券会社の顧客でなくても、ネット上など何らかの形で読むことができた。しかし今後は、多額の支払いを行う顧客からのクレームが怖いので、顧客以外はリポートを見ることができないように工夫が凝らされるだろう。同様にアナリストのメディアに対するコメントも自粛が促され、個人投資家と機関投資家との情報格差が大きくなる可能性もある。

一番最後が重要。

これまでも個人投資家と機関投資家の情報格差があったにもかかわらず、手数料?調査料?にカネを払わない投資家(別に個人だけではない機関も含まれる)はインテリジェンスにアクセスできないということになる。

機関投資家もネット証券に注文する?

仮に、機関投資家は証券会社には発注だけして、リサーチは別から調達する、という具合にしたときに、さて、これは一体何なんだと。

機関投資家は売買の発注をするときはネット証券に注文を出して、リサーチは自前か、外部から買えばいいということになる。

ただ、昔を思い出すと、インスティネット証券とかあったなぁと思いだす。

時代が一巡したんだろうか。

MiFID2の金融庁の対応はどうなる

問題はここ。

ただ、様子見の様子。

欧州の動きを見て、米国がどうするか、そして日本がそれを見てどう動くか。

まとめにかえて

個人投資家向けの金融経済メディアLongineも4年が過ぎたが、また更にその役割が(勝手に)見直される。とポジショントークでしめるが、いずれにせよアナリストの仕事そのものの意義や証券会社はアナリストを抱え続けるのかという点も。

また、中小型株のようにアルファの取りやすい銘柄のアクセスは引き続きあるであろうから、そこは需要は残るのかなと。

ただ、そこは今まで通りなので、大きい銘柄を見ていた人の競争が第一段かと。

https://www.longine.jp/

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今回執筆にあたって参考にした記事

toyokeizai.net

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