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泉田良輔の考えたこと

ノマドアナリストが株式投資, テクノロジー, エネルギー, FinTech, メディア, サッカーをテーマに.

FinTech雄レンディングクラブの株価はダダ下がり-決算とビジネスモデル(仕組み)

FinTechの雄とされているレンディングクラブ(Lending Club Corp.)ですが、実は上場来で見ると株価はダダ下がりです。ここまででは、いわゆる上場ゴール的な扱いを受けてしまうのですが、不祥事によるCEOの退任などもありました。今後再度株価は盛り上がることはあるのでしょうか。

レンディングクラブCEO辞任

ブルンバーグの報道は以下の通り。

事情を知る匿名の関係者によると、問題になったのは米ジェフリーズ・グループに対するプライムローンに近い2200万ドル(約24億円)の融資債権の販売。後になってレンディングクラブが買い戻したため、ジェフリーズに損失は生じていない。レンディングクラブは発表文で、この販売が「投資家の具体的な指示に反して」いたと説明した。*1

レンディングクラブ上場来の株価

下のチャートを見てみると、いわゆる右肩下がりのチャートともいうべき状態です。2016年5月にも株価は暴落しています。これは2016年第1四半期(Q1)の決算で当期純利益が前四半期で減益になった決算をネガティブに株式市場が受け取ったものです。

加えて、不祥事による創業者兼CEOが辞任するという事態。通常であれば、創業者が退任するというのはベンチャーであれば異常事態といえます。株価は大きく下がっても仕方がないといえます。

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その後、株価は反発するものの、再び下落基調となっています。上場来高値が30ドル近いことから現在の株価はその6分の1程度です。時価総額も現在は2000億円程度といったところでしょうか。

レンディングクラブの決算

当期純利益で見ると、結構凸凹していて、黒字になったかと思えば、大赤字になったりして、安定していません。2016年Q1は対前四半期で減益になったことを株式市場は嫌気したようですが、2016年Q2は大赤字です。

その背景は、販管費のその他項目、のれんの減損などが響いた結果です。のれんの減損はキャッシュアウトはしないので、除いて考えてあげてもよいですが、基本的には赤字体質ですね。

今後、貸し付け審査などに伴うコストもこれまで以上に必要となってくることから、どの程度の費用増(比率を含めて)になるかにも注目です。

レンディングクラブの貸付け規模

レンディングクラブをスタートして以来のローン・オリジネーションは2016年Q2までで約2兆円。これをメガバンクと比較して小さいという人は多いでしょうが、2011年スタートということを考えれば大したものだと思います。

ただ、2016年Q2のローン・オリジネーションは1955百万ドルということで、対前四半期では減少しています。まさに ❝Misstep❞ というところですが、仕方がない決算といえます。

さて、この状態が2016年Q3以降どう出るか。

レンディングクラブの案件出資者は、2016年Q2時点で、Managed Accountsが35%、銀行が28%、その他機関投資家が20%、個人投資家などが17%という状況。*2

今後、金融機関や機関投資家がレンディングクラブの融資の質に対してどれくらい敏感に反応したかが問われるかと思います。

ところで、レンディングクラブの投資家層をみると、完全にシャドーバンキングの状態ですね。

レンディングクラブの価値

基本は世界中で金利、利回りが消失した中で、リスクを取りつつも利回りが存在している世界(投資対象・金融商品)を提供していること自体が価値があると思いますが、いかがでしょうか。

Lending ClubのIR(決算説明会)資料では、以下のような説明になっています*3

借り手は13.8%の利払い、貸して(投資家)は6.9%のリターンということで、貸し手にとっては夢のような世界です。

借り手も、従来の銀行では、20%以上の利払いが必要なことから、レンディングクラブを使うことでメリットがあるというものです。

つまり、レンディングクラブは利払いと投資家への戻し分のスプレッドを抜けるというモデルになります。

銀行のように貸し出しと借り入れの非常に薄いマージンで勝負していることを考えれば夢のような世界ですが、意外にマーケティングコストなどがかかっており、さてマッチングの実際がどうなのか気になります。テクノロジーで解決しているというよりは、人間を介していたら何がFinTechかも分からなくなってしまいます。

レンディングクラブのバランスシート

2015年末のバランスシートをアニュアルレポート(10-K)から見ていきましょう。*4

総資産は5793百万ドル、つまり約6000億円。そのうち、株主資本が1041百万ドル(約1000億円)。まあ、金融機関らしい構成です。

まだ累積損失が若干残ってますね。

時価総額が2000億円で、株主資本が1000億円なので、PBRは約2倍。JPモルガンやシティといったメジャープレーヤーのPBRが1倍やらブック割れといった水準を考えると、赤字企業ながらまだ期待されているという状況です。

まとめ-今後のレンディングクラブ

いかがでしたでしょうか。FinTechの雄の株価がこの調子だと心もとないですが(小商事以前も含めて)、米国の利上げ後の世界で、引き続きレンディングクラブの扱う投資対象が投資家に施行されるのか、スプレッドの動向がどうなるかは気になるところです。

株式市場は昔のようには楽観的には見てない様子。