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泉田良輔の考えたこと

ノマドアナリストが株式投資, テクノロジー, エネルギー, FinTech, メディア, サッカーをテーマに.

シャドーバンク・バンキングとは。問題は中国だけではない。規制をどうするか。日本はどうなるか

シャドーバンクは理財商品を中心に中国だけで問題になっているような印象があるが、実際はそうではない。我々が日頃投資をしている金融商品により引き起こされるシャドーバンキングもある。ここでは、シャドーバンキンクの意味と現在注目の集まるシャドーバンキングについてまとめてみる。

シャドーバンクとシャドーバンキング

そもそもシャドーバンクとは、その名の通り金融当局の監督下になく規制を受けない、もしくはその監督や規制の程度が弱い金融機関を言う。

なぜシャドーバンクが問題になるのかといえば、通常の銀行(バンク)は当局の監督のもとに信用創造を行うからである。これがシャドーバンキングとなる。

預金や決済機能がないシャドーバンクにより信用創造に近い機能を実現することができると金融当局の監視が届かない領域が生まれてしまう。結果、その領域がバブル的な状況や流動性に関して問題が生じてもそもそも監督が行き届いていないため当局によるコントロールが効きにくくなる。

ハイイールド債の投資信託はシャドーバンクか

果たしてシャドーバンクが信用創造に近い役割を実現することは可能なのであろうか。現状起きているシャドーバンク問題は以前から取り上げられる中国の理財商品だけではない。

たとえば、日本の個人投資家に人気のあるハイイールド債のファンドなどもその一つだ。企業が金融機関からの借入ではなく、社債を資本市場で発行することで資金調達をし、財務レバレッジをかける状況がそうだ。

企業からすれば、財務上は借入を金融機関から資本市場に代えたにすぎないが、その資金の出し手が当局の監督下にある銀行からその監督の度合いが弱い投資信託やETFが取って代わることで、投資信託やETFがシャドーバンクとしての姿を見せることになる。

ドイツ証券の村木正雄アナリストは、2016年10月号の証券アナリストジャーナルの中で、グローバルで低金利となることで利回りを求めて少しでも利回りのある金融商品を探し求める方向にあることと、企業が投資家の要求に応じて(ROEを高めるため)債務の比率を上げてきたことなどを指摘しつつ、いつでも解約できるとしているオープンエンド型投資信託のRunリスクについて指摘している。

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そもそもが世界中が低金利・マイナス金利下で利回りを求める

ネット証券で人気のある投資信託ランキングを見れば、グローバルや米国中心のハイイールド債やREITの投資信託が日本の個人投資家に非常に人気だということは一目でわかる。

これは個人投資家が(為替リスクを取りながらも)利回りがある程度確保できるということと定期的な配当があるからであると考えられる。

日本はマイナス金利下で個人投資家も資産運用の選択肢が狭まっている。資産運用に困っているのは何も機関投資家だけではない。シャドーバンキングが資産運用難の結果であるということもいえ、量的緩和を続けざるを得ない各国の金融政策の裏返しともいえる。

突き詰めれば流動性

では、金融政策の裏返しであれば、シャドーバンキングがすべて肯定されるかといえばそうとも言えないであろう。

そもそもハイイールド社債などは流動性に関して万全かといえばそうではない。何らかしらのきっかけでオープンエンド型投資信託に解約が殺到すれば、債券に関して売却がスムーズに行われないような場合には基準価格がスムーズに算出されないような状況も起こりうる。

もっとも怖いのが、投資信託を購入している個人投資家が自らが投資している金融商品が、外国資産また投資先が社債であるということが十分に認識していないとすればどうであろうか。そうしたことになればさらに混乱を招く可能性もある。

シャドーバンキングの金融資産に占める比率

さて、シャドーバンキングを定量的に把握しておきたい。日本銀行の2015年7月のレポート

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2015/data/rev15j10.pdf

によれば、実は米国とユーロ圏(英国を除く)の比率が高い。中国が問題かのように思われるが、実は問題は先進国だ。

米国ではシャドーバンキングの比率が銀行部門を上回っており、金融資産に占める比率は30%を超える。

一方、ユーロ圏は銀行部門の占める比率が50%程度あるものの、シャドーバンキングの比率は35%に近づく勢いだ。

日本はどうかといえば、シャドーバンキングの金融資産に占める比率は10%程度である。

こうしてみると、実は結局リーマンショック後の資産運用及び欧州通貨危機後の金融政策をそのまま引きずっているようにみえるが、どうであろうか。

シャドーバンキングのグローバルの動向

グローバルのシャドーバンキングを理解するのに、FSBの発行するグローバル・シャドーバンキング・モニタリング・レポート

Global Shadow Banking Monitoring Report 2015 - Financial Stability Board

が詳しい。

そこからはGDP比でも年々その比率が上昇していることがうかがえる。いまや、シャドーバンキングを無視して金融システムを語ることができない。

また、グローバルで低金利の中、そうした金融政策が長く続けられる環境下でそのシャドーバンキングの役割が投資家にとって重要になってきているようにも見える。

まとめ

シャドーバンキングは、なんらかしらのパニックがあるときは震源地になりそう。なんとも雲をつかむような領域。また、金融当局からすれば、自分たちの手の届かない領域が増えることの不安感といったらないであろう。ただ、選択肢が限られた中でのシャドーバンキングの拡大ということもあり、落としどころが見出しにくいのも事実。

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