泉田良輔のブログ

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フロンターレ大島僚太選手と南野拓実選手のやり合っていた記憶。今は昔で日本代表

2016年9月29日にサッカー日本代表監督のハリルホジッチ監督により日本代表が発表されました。相変わらずいわゆる海外組とよばれる海外チーム所属の選手中心の選出となりました。その中でもJリーグで選出された数少ないメンバーに川崎フロンターレの大島僚太選手が。FWとMFのほとんどが海外組。大島選手はどんな選手なのでしょうか。

 川崎フロンターレの日本人の背番号10番

オリンピック代表やA代表に呼ばれて全国区になったイメージはありますが、そもそも2016年シーズンから川崎フロンターレで10番を付けてます。したがって、そもそも当然ながらプレーは際立っています。

どう際立っているかといえば、一言でいえば、ゲームを組み立てる、そしてFWに決定的な仕事をさせるパスを供給するという、極めてMFらしい仕事をします。

そこからシュートを打てる!と思っても、不思議とシュートを打たないことが多く、自分が打つよりも寄り確度が高い選手を見つけてはパスをします。結果的にはその選択でよかった(つまり得点につながる)というのでよいのですが、あの辺りは、ストライカーというよりはMFだなぁと毎回感じます。

川崎Fのゲームメイカーにボールを渡らせないようにする

川崎Fでは、最近はブラジル人大型MFのエドアルド・ネット選手とボランチのコンビを組むことが多く、「大島・ネットコンビ」でゲームを組み立てていきます。

DFが拾ったボール・奪ったボールは大島・ネットを起点としてゲームが組み立てられることから、相手チームはこの2人にボールが渡る前、つまり高い位置からのプレッシャーをかけることでゲームを支配させないようにする施策が良く見受けられます。

そうした相手チームの攻撃は、ベンチから見ると次のように見えるようです。以下は、ベンチで見ていた三好康次選手のコメント(2016年10月1日対ヴィッセル神戸戦)。

相手が前から来てこちらが後ろからつなげないような形を取ってきた。ただ、そのぶん2列目のところが開いていたので、そこをうまく使えばリズムを組み立てやすくなるかなと思っていた。*1

川崎Fのゲームメーカーにボールを支配させないために、前線からプレッシャーをかけ、また、ロングボールを入れるのが相手チームの定石。

問題は、そのロングボールのその跳ね返り、セカンドボールをどうコントロールできるかがポイント。以下は、大島選手のコメント(2016年10月1日対ヴィッセル神戸戦)。

後半は前が重かったのか後ろが重かったのかはわからないが、相手のロングボールに対して、後ろが下がるのは当然。ボールを奪って前を向いたときに、前の選手がプレスバックできないぐらい、間延びさせられていた。*2

川崎Fが押し込まれるような展開では、大島選手のボランチの会い方であるネット選手がDF陣のラインに入り込んでプレーすることがままみられます。結果、3バックが4バックにも見えたりもします。

こうした状況を見ると、相手のDF陣へのプレシャーが効いているのだなと思いますが、不思議なことに前半45分はそうした場面を見ることは多いですが、後半になると相手チームもバテるからでしょうか、あまり目にしなくなります。

川崎FのDFはDFだけではない

相手チームが高い位置からのプレッシャーを掛けに来る理由としては川崎Fのディフェンス力の安定性をついてく来ているというのもあります。

事実、DF陣のえ?!というような目を疑うようなミスで失点をすることもまま(多い?)あり、そこは相手チームが必ず狙うところではあります。

川崎Fは相手チームがそうした戦術に来ることは事前にわかっているので、対応策としては、高い位置でプレッシャーをかける人数をかけきれないようにさらに攻撃的にします。

右のエウシーニョ選手や車屋紳太郎選手をどこまで相手陣内にまで上げていけるか、そうすることで相手にとって高い位置でボールを取らせないようにするという姿勢で臨みます。とにかく攻撃的に行きます。

DF陣にミスが多い?攻守一体なのでそれは攻めきれていない証拠

風間八宏監督に言わせると攻守一体。「攻めていれば守る時間帯が減る」というでしょうか、ボールを支配して攻めていないのことの裏返しとしてDF陣へのアタックがされているということで、もっとボールを支配しろということになります。循環論のようですが、そう理解してます。

それでもDF陣の好きを狙われたらどうするのか、という質問もあるでしょう。もちろん風間サッカーのリスクは「カウンター」だという認識はあります。そこでのポイントは、カウンターには気を付けてプレーしているという解説になります。

ロシアW杯アジア最終予選にスタメンでの出場

大島選手が一躍全国区になったのは、ブラジル五輪サッカー日本代表の中心メンバーとして活躍したからでしょう。日本チームの結果はグループ予選敗退という残念な結果でしたが、アジア最終予選も含めて大島選手の活躍は記憶に残るモノでした。

ところが、私なんかからすると、別のポイントが目に行ってしまいます。大島選手と南野選手が同じ五輪の日本代表チームでプレーしているではないですか。南野選手は現在は欧州のザルツブルグでプレーしていますが、Jリーグのセレッソ大阪時代では大島選手とピッチ上で激しくやり合ってました。

ところが、五輪代表では、見る限りパス回しを含め、むしろ良い関係にも見えました。代表で高みの目標があるのは強いなと思いましたね。

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そうした五輪での実績もハリルホジッチ監督に買われ、満を持してのA代表でのスタメンが2016年9月1日の対UAE戦での出場です。

試合の結果は、痛恨の敗戦。1-2での敗戦となるのですが、その失点に相手へのPKなどを与えてしまい、敗戦原因とする批評も多かったのです。

とはいえ、大島選手の体調を含め海外組のパフォーマンスもさえず(つまり大島選手からすれば、使いずらい)、ハリルホジッチ監督自身もいっていたように「選択を間違えた」ということになります。

では、日本代表をどうすればいいかということになりますが、以下が2016年9月29日に発表された日本代表のメンバーです*3

2016年9月29日時点の日本代表メンバー

GK
川島 永嗣 カワシマ エイジ(FCメス/フランス)
東口 順昭 ヒガシグチ マサアキ(ガンバ大阪)
西川 周作 ニシカワ シュウサク(浦和レッズ)
DF
長友 佑都 ナガトモ ユウト(インテル・ミラノ/イタリア)
槙野 智章 マキノ トモアキ(浦和レッズ)
森重 真人 モリシゲ マサト(FC東京)
太田 宏介 オオタ コウスケ(フィテッセ/オランダ)
吉田 麻也 ヨシダ マヤ(サウサンプトン/イングランド)
丸山 祐市 マルヤマ ユウイチ(FC東京)
酒井 宏樹 サカイ ヒロキ(オリンピック・マルセイユ/フランス)
酒井 高徳 サカイ ゴウトク(ハンブルガーSV/ドイツ)
植田 直通 ウエダ ナオミチ(鹿島アントラーズ)
MF
長谷部 誠 ハセベ マコト(アイントラハト・フランクフルト/ドイツ)
柏木 陽介 カシワギ ヨウスケ(浦和レッズ)
永木 亮太 ナガキ リョウタ(鹿島アントラーズ)
香川 真司 カガワ シンジ(ボルシア・ドルトムント/ドイツ)
清武 弘嗣 キヨタケ ヒロシ(セビージャ/スペイン)
山口 蛍 ヤマグチ ホタル(セレッソ大阪)
大島 僚太 オオシマ リョウタ(川崎フロンターレ)
FW
岡崎 慎司 オカザキ シンジ(レスター・シティー/イングランド)
本田 圭佑 ホンダ ケイスケ(ACミラン/イタリア)
小林 悠 コバヤシ ユウ(川崎フロンターレ)
原口 元気 ハラグチ ゲンキ(ヘルタ・ベルリン/ドイツ)
宇佐美 貴史 ウサミ タカシ(FCアウクスブルク/ドイツ)
武藤 嘉紀 ムトウ ヨシノリ(1.FSVマインツ05/ドイツ)
浅野 拓磨 アサノ タクマ(VfBシュツットガルト/ドイツ)

 と、ほとんどが欧州組。ただし、全員が試合に出れているわけでもなく、ハリルホジッチ監督自身も以下のように言ってます。

我々はアジアではかなり良い攻撃をしている。これまで7、8年間日本に貢献してきてくれた選手を外すと、メンタル面でチームが壊れる危険性もある。これは、試合に出ていなくても選手を信頼しているという私のメッセージ。彼らのピッチでの返答を待ちたい*4

もう、これは戦略ではなく、精神論。公の場でいうコメントではないですね。相当ヤバいところまで追い込まれていると思います。

日本サッカー協会ももし仮にどこかの試合でハリルホジッチ監督がしくじるようなことがあった時に、監督代行もしくは監督として代わりを見つけてこないといけないと思いますが、そのピンチヒッターを手倉森コーチに充てるというプランBを準備しつつあるのかというのを人事をみて思います。

大島僚太選手の移籍

さて、今後の大島選手の活躍は気になります。今年川崎Fがチャンピオンズシップで優勝したり、ロシアW杯最終予選で活躍することになれば、当然海外からのオファーの話も出てくるでしょう。

ただ、川崎Fも選手層が厚くなったとはいえ、中村憲剛選手の次の世代としてコアとして位置づけられているので、すぐに変わりがいるというわけでもありません。川崎Fとしてはなかなか難しいところです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。日本代表のボランチも正直ちょっとマンネリ化しつつあるので、大島選手のようなテクい選手に世代交代してほしいですし、「個」を攻略することでサッカーのプレーの質を追求してきた風間八宏監督による日本代表チームを見てみたいなと思います。その時には、大久保嘉人選手や中村賢剛選手、そして大島僚太選手も当然日本代表チームに入ってくるでしょうから、ポンポンとボールをけり込むサッカーから脱皮できる日が近づけばと思います。