泉田良輔の考えたこと

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都市経済学は大学や大学院では人気がない?!東京五輪に向け必要な研究なはず

都市経済学はミクロ経済学のひとつの領域であるのだけれども、日本の大学や大学院では講座を開いているところが少ないという。また、都市経済学の研究者も少ないという。

一方、日本の人口動態や首都圏と地方との関係、2020年東京オリンピックに向けて東京をはじめとした首都圏のインフラをどのように準備していくかを考えれば都市経済学は必要な研究、学問ともいえるのだと思いますが、どうなのでしょうか。

Airbnbに代表されるようにシェアリングエコノミーといった既存インフラの活用事例などに注目がされてくれば、今後は必然興味の対象となると思います。【2016年8月27日更新】

都市経済学とは

都市経済学とは何かといえば、都市をテーマとした経済学。ただし、その中心は価格理論をスタートとしたミクロ経済学の応用領域です。

経済学全般にそうかもしれませんが、限られたリソースを活用してどのように分配し、その結果があるかを研究するものです。不動産は、その場から動かせないので輸入できるものなどと異なって「限られた」という概念は分かりやすいですね。

入門書の目次を見渡せば、借家か持家か、家賃や住宅価格の決まり方、都市と地方の人口配分、土地利用規制、所得分配、都市交通、都市政策などの問題を取り上げていています。

都市経済学を理解しようといくつか入門書をあさってみました。

いわゆる都市経済学として俯瞰できるのは、ちょっと発刊年が古くなりますが、宮尾尊弘「現代都市経済学」が良いかなと思います。

他では、山崎・浅田「都市経済学 (シリーズ・新エコノミクス)」が面白いです。この本を読み始めてこれほど切実に都市経済学の必要性と魅力うぃ訴えかけてくる「はじめに」も少ないです。はじめにを少し引用して紹介しておきます。

 

 

大学生や一般的な社会人にとって、金融論や国際経済などはそれほどなじみの深いものではないでしょう。(中略)

他方、都市や住宅問題は身近な問題で、しかもミクロ経済学の応用問題としてはとても適しています。(中略)

ミクロ経済学の応用として学ぶ市場の失敗の例も、都市や住宅に関する身の回りの事例で多々見られます。例えば、外部性では、一般的なミクロ経済学の教科書で出てくるような、工場排水によって汚染された川下で漁業を営む漁師の例より、隣のマンションの騒音や交通混雑の方が身近な問題でしょう。(中略)

国鉄が民営化されてJRになりましたが、それによってどんなことが起こったかを考えれば、規制緩和の効果も実感できます。スイカや駅ナカ…(中略)…規制緩和や技術革新の重要性も理解できるはずです。最近問題になっている格差問題も、地域への経済政策と関係させて考えると、どのような政策が日本にとって必要かが分かります。

 

という具合に、都市経済学の必要性が縷々述べられています。確かに、言われてみれば身近なことばかりだと思いますが、金融論が身近でないかといわれればそこまで程遠くないでしょ(笑)と思いますが、どうしても都市経済学をメジャーにしたいようです。

大都市圏の人口増ペースも大したことがない

大都市圏には地方が疲弊しても人口は増加している(集まっている)のかと思いきや、上の本では2005年までのデータしかないですがその水準は年率0-5%の間に納まってしまうほど。

アウトプットはインプットに依存するところが大きいので、よほどの生産性向上要因がなければGDPも2-3%成長すれば御の字という気もします。

川崎市などは相当の人口増があった気がしたのですが、確かに年率に直せば2-3%といったところでしょうか。

民間住宅投資は伸び悩み

2000年以降急激に家計貯蓄が減少しています。これでは住宅投資も拡大する理由にはなりませんね。

一方で、持ち家の帰属家賃は積み上がり続け、気づけばGDP比9%。単純に高齢化で持家に住む人が積みあがっているのでしょうか。寿命が延びる×持家数が増える=帰属家賃拡大、というロジックは成り立ちますからね。

借地借家法

この法律も常に話題に取り上げられますが、都心の家族向け貸家の供給不足の一因となっているようです。

単身向けマンション・アパートは供給は多いのですが、家族がいるベースで家を借りようとすると案件がなく選択しにくいことが多いです。

結局、自分の気に入った家、間取り、広さを考えると家を購入するという人も多いのでしょう。金利も低いことだし、結局家を買ってしまうという…。

いや待てよ、家族向け貸家の供給不足を借地借家法のせいにしているけれども、国が住宅投資をある水準以上に維持しようとするのであればこの悪法と呼ばれる法律を生かす方が良いという目論見もあるのではと勘繰りたくもなります。無駄が需要を一時的には生み出しますからね。

じっくり派には高橋孝明「都市経済学」がおすすめ

上で紹介した2冊よりもさらに詳細に知りたい人には、次の本がおすすめ。薄いから入門書かなと思いきや、中級者も対象かと思います。

>>都市経済学 (有斐閣ブックス)

まとめ

ということで、 都市経済学は今後の日本が直面する問題とそれを解決する策を考える際には重要な領域と考えますが、リオ五輪がちょうど終わった今、東京オリンピックまであと4年しかないんですよね。間に合うのか日本。安倍マリオは次はどのような策を打ってくるのかには一応期待はしてます。