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泉田良輔の考えたこと

ノマドアナリストが株式投資, テクノロジー, エネルギー, FinTech, メディア, サッカーをテーマに.

Jリーグオフシーズンの移籍ニュースを見つつ思うこと。J各チームの戦略から日本らしいサッカーを考える

11月終わりからJリーグの移籍・残留・加入を見つつ思うこと

Jリーグに限らずプロスポーツのオフシーズンは毎年恒例だろうが、移籍や加入のニュースを見てて思うのは、どのチームも何を考えているのかなぁと思えるくらい、みな、せわしい。

確かに1年間チームとしてたたかってみて、各監督の戦術にはまるはまらない、思ったほどには機能しなかったなどという理由があるのはわかるのだけれども、サッカー選手の契約条件を見ていると単年契約の選手がそもそも多い。複数年でじっくりチームの戦術理解も含めて試そうという発想がないのかな、と思えるくらい。はたして、そんな頻繁な選手の入れ替えを繰り返していて何が残るのかなと。今年チームに残れたとしても、その選手も疑心暗鬼になるだけで、チームとして精神的にヘルシーなのだろうか。

そもそも毎年、選手の供給が十分であるから、選手を試す期間が短くても、次に試す選手がたくさんいるというのがあると思うのだが、「焼き畑農業」的にしか見えない。実力主義なのだから仕方がないというのは当然認めるのだが、そもそも1年で放出するのは、初めの目利きが間違っていたということを認めるわけで、あまり褒められたものではなかろう。

まあ、チームの成績が悪ければ、監督はシーズン中でもさっさと首をすげかえられる職業なので、監督も短期で結果を出せる布陣としたいインセンティブもわかる。そうはいっても、たとえが正しいかどうかは別として、結果が数字に常に見える運用会社とファンドマネージャーとの間の関係も正直ここまで短期志向ではない。

サッカーと資産運用は違うといわれればそれまでだが、サッカーに話を戻すと、最後はクラブチームとして、そのチームをどうしたいかという経営の問題に行きつくのであろう。経営の方針が確立されれば、監督の方針も決まるであろうし、そこで求める選手が決まってくるという流れであろうか。

日本のサッカーを強くするためには、どうしたらよいかという議論が常にあるが、そもそもサッカーに挑戦することで輝かしい未来を描くことができなのであれば、そのうちサッカーに挑戦しようという若い世代も減ってしまう。Jリーガーのセカンドキャリア問題よろしく、出口戦略のない職業はいずれそっぽを向かれる。現役時代にこれでもかと稼げる職業であれば、それでも一定の人材の供給があるであろうが、現役時代もそれほど稼げない、出口戦略もないとあれば、これは職業というより、趣味の世界といわざるを得ない。

そもそも、日本人が金銭的にサッカー選手として成功するためには、すでに欧州に行くだけが選択肢ではない。好き嫌いは別として、中国もじゃぶじゃぶのマネーで優秀な選手を買いあさっている。川崎フロンターレのレナト選手が広州富力にがっつりかっさらわれたのを目の当たりにしたので、あらためて中国でプレーする選択肢もあるのだなと気づかされた。欧州、米国、中国もありなのかと。これまでにない選択肢の広がりだ。

レナトも川崎フロンターレには感謝もしつつも、より条件が良いチームに移籍するのはサッカー選手としては当然という意思決定はあるいみさっぱりしていて、日本で見られなくなるのは残念だけれども、見ていて悪い感じはしなかった。選手にとって市場が広がるのは悪くはないであろう。

余談であるが、その広州富力の監督はあのストイコビッチである。グランパスエイトでは、ピクシーも結果を出せなかったが、またチャンスをもらえるというのは素晴らしいことだと思う一方、監督という職業は、そもそも人材が少ないからなのだろうか、結果や実績が大したことなくても、ある程度までチャンスを与えられているように見えるのは気のせいだろうか。もちろん、最終的には結果が出なければ、お呼びはかからなくなるのだが。ストイコビッチが監督になったので、日本人のJリーガーもチャンスといえばチャンス。JリーガーDNAが世界に拡散することもまた悪い話ではない。

2016年にかけての川崎フロンターレの補強や移籍を見てみる

さて、2015年は、大久保嘉人選手が3年連続得点王という歴史に残る記録を残したわけだが、チームとしてはタイトルはない。引き続き無冠だ。

2016年はチーム創設20周年ということで、節目にタイトルを!と誰しもが思うところなのだが、チームから選手放出の話はどんどん出てくる一方、補強がうまくいってないように見えるのは、気のせいだろうか。ただし、あとにもコメントするが、現時点での布陣はけが人を除けばあまり変える必要がないという考えもある。

私の立ち位置として、川崎フロンターレのサポーター、特に風間八宏監督の思考スタイルが好きということを明確にして、話を進める。

風間スタイルがポゼッションサッカーといわれることもあるが、個人的にはそれは結果的にそう見えているに過ぎないと考えている。ボールを回すというより、ボールをとられないようにしているという方が意識があると思う。ボールをとられることが少なければ、結果としてポゼッションは上がっている。

風間監督のDVDなどで、動き出しのコツというか狙いを見ていると、いかに最小限の動き-省エネといえるかもしれないーで相手を外すことができるかという点に重点が置かれている。ヴィッセル神戸から移籍してきた大久保嘉人選手に「動きすぎるな」とアドバイスしたことからもそれが分かる。ちょっとしたそらしでボールは格段に受けやすくなるし、パスも出しやすくなるというわけだ。

となれば、風間戦術にはまる選手というのは、

  • 動き出しを頭を使いながらでき、ボールキープ力のあるFW
  • FWの動き読み、パスを正確にパスが出せ、ボールキープ力のあるMF

ということになる。

ここでよくわからなくなるのだが、風間戦術ではどのようなDFが必要なのだろうか。

等々力競技場に何度も足を運び、等々力劇場よろしく川崎フロンターレの攻めには魅了されるのだが、え?!というような簡単なミス(にみえる)で失点を重ねる場面も何度もてきた。印象に残るのは、試合開始後すぐの場面に多い。

失点よりも得点が多ければ、試合に勝つわけだが、失点をいかに少なくするかというのも得点と同時に考えるべき領域だ。攻めと守りは、一部トレードオフの関係にあるのだが、失点のパターンにも善し悪しがあるであろう。素人目に見ても川崎フロンターレの失点は、あれ?!という内容が多い。

DFを見ていても、車屋紳太郎選手などをみていると、DF能力よりも切り込みの良さが目立つし、武岡優斗選手も、相手FWに振り切られている場面もよく見るのだが、どこまでリスクをとりながら上がれるかを見はからっているような、リスクの嗅覚に特徴のあるタイプに見える。いずれもDFなのだが、攻めるためのDFといえる。

と、こうして見てみると、川崎フロンターレの2016年の布陣は、風間監督の考え方はそれほど変わらないと思うので、カギとなる選手はそれほど変わらないと思う。ただし、それは固定という意味ではない。

試合を見ていると、固定メンバーというのはあまりなくて、その時々で、「こういうサッカーをしたい。そのうえで、相手がこうなので、このメンバーでいく」というようなアプローチで決められているように見え、結構メンバーは変わっていたりする。そうすることで、2015年は中野嘉大選手のような若手も見出せるし、というわけである。

今回FW陣では、杉本健勇選手がまさかの1年でセレッソ大阪に移籍した一方、ジェフユナイテッド千葉から森本貴幸選手が移籍してきた。森本貴幸選手の動き出しは、瞬発力があるので、風間戦術にははまりそうな予感はある。ただし、風間戦術を理解する気時間が必要だろう。

小林悠選手や田坂祐介選手がケガ気味であることを考えると、大久保選手と森本選手の2トップは見ごたえがありそうである。もしくは中野選手をFWとして、3トップも面白そうではある。

たとえば、次のような布陣はどうであろうか。(ちなみに左から)

FW:中野嘉大、大久保嘉人、森本貴幸

MF:車屋紳太郎、中村憲剛、大島僚太、エウシーニョ

DF:小宮山尊信、谷口彰悟、武岡優斗

GK:新井章太

このメンバーであれば、新規の移籍組がそれほどなくてもしっくりくる。

ただし、韓国代表GKのチョ・ソンリョンやブラジル人MFのエドゥアルド ネット選手もどれくらい機能するかでその布陣も変わってくる。風間監督はちょいちょい試すのは好きな方と見ているので、彼らのパフォーマンスを見ることもすぐにできるであろうと思う。レナトの代わりであったマイアーはあっという間にブラジルに戻ってしまったこともあるので、どうなるかは未知数だが。

日本のサッカーはサンフレッチェ広島スタイルで強くなるのか

風間サッカーが、個人の能力に依存した理想を追い求めすぎるというのは、ある程度理解した上で思うのであるが、では、サンフレッチェ広島のプレースタイルを追求すれば、日本代表を含めてが世界でのし上がっていくために最善のアプローチかと問われると、心底そうだねとは言いにくい。

しっかり守って前線にロングボールを出してスピードで勝負する、またサイドからボールをあげてこぼれ球を決める、というアプローチで海外でJリーグ同様通用すると考えるのは尚早であろう。

クラブW杯をみていて、結果は上出来という評価も多いが(それまでは、やはり疑問に持つ人も多かったのだろう)、サンフレッチェ広島のスタイルを日本代表に持ち込んだとしても、負けない試合はできるが、勝ち進むチームにはならないであろう(そもそもハリルホジッチがどういうサッカーをしたいか、いまだに見えないことの方が問題だとは思うが)。だとすれば、いつも議論になる「日本らしいサッカー」にはいつまでたってもならないのではないだろうか。

このことは、現在のサンフレッチェ広島のスタイルの源流であるミハイロ・ペトロビッチ監督率いる浦和レッドダイヤモンズについても同じである。現在のJリーグでは、ペトロビッチスタイルが強いのであるが、それが必ずしも日本のサッカーを強くするための正攻法とは言えないのが問題だと思っている。

世界の強豪チームのデファクトが結果としてのポゼッションサッカーが主流としているのであれば、果たして今のサンフレッチェ広島や浦和レッズのアプローチで勝てるのか、同じことが代表チームに土俵を移して考えるときに、どうなのかという議論が必要に思う。

これは、余談であるが、サンフレッチェ広島や浦和レッドダイヤモンズのスポンサーを考えると、決して資金力に余裕がある企業とは言えないであろう。同業他社比較で見てもマツダや三菱自動車がトヨタ自動車と比べて資金力が決してあるとはいいがたい。

資金力と順位が必ずしも一致しない当のもサッカーの良いところであるが、資金力のない企業をバックに持つ弱者の戦略がいまの日本サッカーで強いというのが、なんとなく見えてくる構造である。

個人的には、川崎フロンターレのスタイルでしっかりタイトルをとって世界で勝てるサッカー基盤を作ってほしいと思う。ええ、完全なポジショントークです。