泉田良輔のブログ

テクノロジーアナリストの100%私見

あらためてイノベーションを考える

日本人はイノベーションを軽く口にしがち

イノベーションというのは、起業家だけではなく、学者も軽く口にしがちであるが、そもそも、その定義を各人がしっかりと定義しているのかどうか。

そもそもはシュンペーターの「新結合」、new combination、なのだが、日本では、目新しいものすべてが、イノベーションとなっていないだろうか。

新結合なので、そもそもが組み合わせなのだが、発明とごっちゃになっているキライもある。

正直、日本でしっかりとイノベーションの定義ができていないので、結果としてイノベーションが生まれても気づきにくいであろうし、そもそも狙って生み出せないというのが実際ではないだろうか。

水平思考の世界がイノベーションを理解するバイブルのはずだが

イノベーションを語るには欠かせない、エドワード・デ・ボノの“New Think(水平思考の世界)”をあらためて読んでみた。

水平思考とは、この本では

“一方向のパターンを離れて、別のいくつかのパターンへと移る”

という思考と定義している。

結論からいえば、この本だけでは、イノベーションをどのように生み出せば良いかは具体的には見えてこない。

本書では、一部の記号を例に、どのように分解してモノゴトを伝えるかで、大きな差が出てくることは、よくわかったが、それで?という感じ。

イノベーションを語る際には、よく出てくる水平思考だが、この本では垂直思考を意味する論理的思考との対比を丁寧に説明しているところに限られており、あくまでも概念の説明というところで止まっている。

水平思考の例をたくさん並べてくれているのも、いちいち、そうだよね、とうなずけるだけで、次はどうするの?というところで止まってしまう。

イノベーション・ツールキット

そうしたもやもやの中、「発想を事業化するイノベーション・ツールキット ―― 機会の特定から実現性の証明まで」を読むと、アプローチが数多く解説されており、一応次のステップにはすすめそうだ。

 

ただ、この本の一番良いところは、イノベーションを次のように説明している点。

“イノベーション成功の鍵は、イノベーションは2つの異なるプロセスからなることを理解することからだ”

といい、その2面性とは、

  • フロントエンドでのイノベーションで、機会を定義する
  • バンクエンドでの活用で、新しいソリューションを改良する

というポイントからそれぞれスタートしています。

なるほどなと。

イノベーションのプロセスもVee Modelに近い形で定義できるかも!と思った次第です。

手元に置きたい1冊。