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泉田良輔の考えたこと

ノマドアナリストが株式投資, テクノロジー, エネルギー, FinTech, メディア, サッカーをテーマに.

日本がスマートシティを世界に売っていくという無謀な計画そろそろ捨てませんか?

チャタムハウス・ルールに基づいて誰がいったかというのは書きません。

しかし、日本でスマートシティを世界に売っていこうとするプロジェクトの責任ある立場の人が世界でおきているインフラ事業の競争のルールが分かってないので一言。

 

すばらしいといわれる日本の技術を集めてもスマートシティ事業で日本(連合)は海外でプライムになれませんーつまり、日本勢はプロジェクトは獲得することはできません。

理由は、スマートシティを希望している国や地域は技術だけでプロジェクトを任せるかどうかを決めないからです。

スマートシティの中で、省エネの技術はもちろん大事です。

そして、間違いなくその省エネの技術は日本の競争力のひとつです。

 

しかし、スマートシティを欲している国が誰かを考えなくてはなりません。

多くはスマートシティを建設するカネがなく、自国の経済成長を牽引するのに必要なエネルギーに乏しい国々ですー人口増加の著しい、将来生活水準が上昇しもっとエネルギーが必要になる国々です。

と、すればそうした国々ーつまりお客が必要なのはスマートシティを成立させるための資金調達と安定的なエネルギー調達です。

マチ全体での消費するエネルギーを減らすなんて言うのは当然です。

 

スマートシティを売るのに「技術だけではダメだ」と言っておきながら、

「海外で日本連合のスマートシティのピッチをして何が評価されているのか」という質問に、「技術です」という回答では、当然納得できません。

 

発注する先には何十年というライフサイクルを保証してくれる財務内容が必要です。

何かあったらつぶれてしまうような企業にプロジェクトを発注はできません。

ですから、強固な財務内容とそれにともなう資金調達力が求められます。

 

これまでの競合企業はGEやジーメンスだけだったかもしれません。

これに加えて、IBMやグーグルも参入しつつあります。

彼らの財務体質と比べてどうかという話です。

(IBMはイメージで思っているほどは良くないけど)

なので、日本で圧倒的に自己資本の大きいインフラメーカーを創るというのは解ではあります。実現性の問題は当然残りますが。

 

一方、スマートシティはエネルギー安全保障問題のソリューションです。

これは結構見落とされがちなので、指摘しておきます。

経済成長を狙う国は、エネルギーをどのように調達し効率的に運用するかが肝です。

 

仮にスマートシティが必要な国に対して、米国がこういったらどうでしょうか。

シェールガスを輸出するからGEのガスタービン買ってよ」と。

エネルギーを輸出できない日本連合と比べてGEの方が圧倒的に有利だというのは理解しやすいと思います。

この状況下で果たして日本製のガスタービンが売れるでしょうか。

GEのガスタービンよりも大型で高効率だよとスペックで語ったとしてもです。

 

なぜロシア勢が日本の原発プラントメーカーを差し置いて原発を輸出できたか。

それは、ロシア製の原発を購入すれば、使用済み核燃料を自国で引き受けるというエネルギーを調達から燃料の処理まで面倒みるといえたからです。

 

日本がスマートシティ輸出国にエネルギーの調達までに関われるようなポジションでしょうか。自国でもエネルギー調達に困っているのに無理ですよね。

 

ということでスマートシティというインフラを輸出する以上は川上がもっとも重要なわけです。日本勢はその川上を抑えられないわけです。

 

日本のメーカーはスマートシティの「部品屋」として事業を突き詰めるというのはこれもひとつの解です。

プロジェクト全体を無謀にも取りに行って、プロジェクトマネジメントに失敗して、また流さなくてもよい血を流すよりもマシです。

 

日本人というのは、一か所でやられるとどうしても競争領域を広げて戦おうとする不思議なところがあります。それでは今以上に生存確率が下がることになります。

 

スマートシティを輸出することが成長戦略と言われると、いつか来た道と思ってしまします。そして、時間がたった後、その事業に携わった人が、リストラ等の不幸にあうことになるのです。

 

インフラについては「日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか」に書いてあります。

 

日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか ( )

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