経営学の3つのソーシャル:「世界の経営学者はいま何を考えているのか」
世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア
- 作者: 入山章栄
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2012/11/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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てんこ盛りの内容ですが、頭の整理になった「ため」になった本です。
一読の価値あります。
著者は非常に丁寧に、かつ誤解が生まれないように書いていますが、イイタイコトは
「経営学は未熟でこれからの学問だよ(トホホ)」
ということです。
図書館で「アカデミー・オブ・マネジメント・ジャーナル」を読んでみました。
経営者が読んで、すぐに実行しようというよな内容はほとんどなく、経営「学」。
著者も少し呆れている感もあり、まだやれることがあると鼓舞するそんな感じです。
(細部にこだわる)実証分析ではなく、ケーススタディを!!!というのも著者の意見。
(著者も職を手にして4・5年というところなのであきらめもつかないんでしょうが)
さて、この本の良いところは経営学の世界の潮流を歴史を踏まえて説明してくれていること。
経営学の流れがよくわかりました。
言葉遊びだったり、
(バーニーのRBVへの批判とか:競争優位の言葉の定義の問題かと思いますが)
日替わりメニューの「理論」の乱立と実証されない状態、
おまけに基本的な統計の手法を認識したのが1998年だったとか。
おまけに、教科書もないんだそうです。
ただ、新しい学問にもよいところはあって、次々に新しいテーマをおえることです。
ソーシャルもそこそこ前から研究対象になっています。
- ソーシャル・キャピタル
- 関係性のソーシャル・ネットワーク
- 構造的なソーシャル・ネットワーク
この中で一番おもしろかったのは「関係性のソーシャル・ネットワーク」。
「弱い結びつきのネットワークの方が幅広く多様な知識を効率よく手に入れやすい」
スタンフォード大のグラノベッターは就活を題材にした研究結果を発表してます。
弱い結びつきの方が、よりクリエイティブになれるんだそうです。
おもしろい研究結果ですよね。
はて、「クリエイティブであれ!」と社内に調査機能をもつ組織は多いです。
情報があふれる環境でin-houseの調査機能の付加価値はなんでしょうかということ。
in-houseの真に重要で真価を発揮できるのは、
- 短視眼的なことではなく、
- 構造や長期のトレンドを大胆に予想すること
と個人的には思います。
でも、グラノベッターの研究は実は1973年のもの。
経営学もイマイチということですが、実務の世界も進んでなかったというオチ。