泉田良輔のブログ

テクノロジーアナリストの100%私見

12月1日の朝日新聞の三菱重工の大宮社長のコメントは日立との交渉は踏み込んでいるとはっきり言っている

大宮社長のインタビューを読むと、結局こう言いたいらしい。

  • 日立がマイノリティで統合を決心してくれたのはすごい(私と同じコメント)
  • 鉄道は重工がPMを作って、日立がハコと制御
  • 火力で発電機とSTも一部新会社に移管するので、原発も統合対象
  • 重工が風力のベスタスと洋上風力で提携?!
  • 今年の受注は(計画より)全体的に下がっている(日立との統合案件を除けば)

結局火力事業統合は2011年8月に日経が一面で報じたのがそのまま続いていたということ。

まあ、何かの不手際があり、一部のモノ言いが入って中断したが1年ずれて動き出した。

そんな印象。

2011年8月報道直後に重工がプレスで「合意する予定もない」と強く否定したのは何だったのか。

インフラ事業は火力のようにどちらかが連結に入れて片方が持分を残しいずれ売却という形。

これは実は以前、東芝と富士通が良くやっていた「事業スワップ」。

東芝と富士通は携帯電話とHDDで事業スワップをした。

なので、目新しいということではない。

ただ、日本の産業を守るというのはいいのだが、お互い摺り寄せても強くなる事業がない。

「強みのある製品や市場の重複が少なく、補完関係としてはパーフェクト」(大宮社長)

つまりは既存事業で経営統合しても圧倒的に強くなる製品やサービスがないということ。

やはり品ぞろえが増えるという話。

とすると、この後はお互いで事業スワップを続けていって、協業をするって話で落ち着きそう。

ただ、やはりかやの外に置かれているのは、三菱電機。

重工も日立も気付いているはずだが、今回の話は三菱電機がいないと始まらない。

  • 鉄道の電機品を納めているのは三菱電機(新幹線は日立よりシェア高かった)
  • スマートグリッドに必要なT&Dを扱っているのは三菱電機(日立より大きい)
  • スマートメーターを作っているのも三菱電機(重工も日立も作っていない)
  • 原発の計測制御を扱っているのは三菱電機(日立にPWRはいきなり作れない)
  • 原発の発電機を作っているのは三菱電機

こうやって見てやるだけでも、三菱電機抜きで議論しようとする方が無理がある。

私見だが重工、電機、製作所でホールディングスカンパニーを作り事業スワップをすればいい。

そして強くなった各事業が世界で戦いやすいプラットフォームをホールディングがサポートする。

これなら納得できる。

そう、米国のUnited Technologies(UTX)のように。

戦略は細部に宿るといいますから、もうしばらく様子見。