泉田良輔の考えたこと

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日立と三菱重工の火力発電事業統合。日立は何の事業で成長するのか分からなくなってきた。売却ばかり

日本の重電メーカーの再編が進んでいます。日立と三菱重工の火力の経営統合が発表されました。新会社の比率は重工65%、日立35%となっています。

つまり日立は火力事業を重工に売却したも同然

日立のマネジメントもよくぞ決断したなと思う。

ただ、ガスタービンのグローバルシェアを考えれば日立がギブアップというのも理解できる。

しかし、実際この統合は世界市場で見るとなんのインパクトもない。明日、株式市場がポジティブなんていったら、世界で笑われる。

三菱重工が強いといっても世界の市場シェアで見れば3、4位を行ったり来たり。

重工の技術があるとは思うが、国内で生産している比率が高いので為替も逆風だろう。

世界の相手はGE、ジーメンス、アルストム

重工と日立がやらなければならないのは、インフラ事業を担う会社の自己資本を大きくすることだ。原発の受注で明らかになったが、インフラ事業を担う上で必要なのはファイナンスの能力だ。

重工がメインバンクからプロジェクトファイナンスでカネをつけるというのであれば理解できる。

しかし、メーカーとして今回のスキームでは残念ながらファイナンスの競争力はつかない。

そして組み合わせ自体も微妙だ。三菱重工は大容量を扱っていて、日立は中容量以下。品ぞろえが増えましたということ以外に言えない。

日立もずっと大容量をやりたがったに違いない。

なぜ日立は大型をやっていないかというと、基本技術はGEからライセンスを受けているから。

日立は昔に大型をつくろうとしたらGEに怒られた経緯もある。

東芝の戦略とは

東芝も同じくGEからライセンスを受けていた。

しかし、東芝はそこはあっさりとあきらめてSTにシフト。STというのは蒸気タービンのこと。

コンバインド・サイクルのガスタービン(GT)には必ずSTが一つつく。

一応東芝もGEと共同開発したGTがあるので、電力会社にはそれをさっさと納める。

東芝はGEがGTをおさめた後には、STをさっと据え付ける。

東芝は米国でも同じことをして、STのNo.1シェアをとり続けている。

これが東芝のビジネス上の戦術。スマートだ。

GEが東芝になぜSTを納めさせているかといえば、STはGTと比べて消耗品ではないから。

GEはGTは消耗品なので絶対に離さない。

日立は原発シフト

さて、今回の統合で日立は世界で伸びている火力をやめて、原発に賭けたことになる。

世界のトレンドとくらべて違和感はかなりある。逆張りに近い。

何か別の勝算があるのだろうか。そこが知りたい。

日立の事業ポートフォリオをどうみるか

それにしても、日立は事業売却ばかりだ。

事業ポートフォリオが多いので、当然ともいえるが、これから何で利益を伸ばすのだろうか。

ここまで来ると正解はITだと思うのだが、HGSTを売却してしまった。

あれはホントに残念である。WDがあそこまで大枚をはたいて買っていた背景をもう一度考えてみると面白い。

ITインフラのアーキテクチャが垂直統合に向かう中、キーデバイスを売却してしまった。

実は世界のITサービス市場を誰が押さえるか決まっていない。

IBMといえども世界市場の7%程度だ。

これは発電や鉄道などと比べればまだコンソリデーションが進んでいない世界だ。

それにしても2011年8月の話が1年ずれ込んだ形で収まった。

あの当時は2013年1月に新会社設立でしたから。