泉田良輔の考えたこと

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日立金属と日立電線の経営統合:キーワードはガバナンス、少数株主

日立金属と日立電線の経営統合の公開されたプレスリリースをじっくり読んでみた。

何回読んでもどのような「相乗効果」が期待できるのかイメージしにくい。

「経営統合の目的」を分解してみる。

  1. 材料・製品開発力を強化するとともに、
  2. 事業領域を広げ、
  3. 市場やお客様が期待する新たな製品やサービス・ソリューションを提供し、
  4. 市場基盤、顧客基盤の拡大・強化を図っていきます。
  5. さらには、双方の持つ販売網、生産拠点を活用することで事業効率を高めるとともに、
  6. グローバル生産・販売体制を整えてまいります。
  7. 世界に類を見ない、高機能材料メーカーとして持続的に発展することをめざします。

これだけではなぜ合併相手が日立電線でなければいけないのかの問いに答えていない。

実は7の結論がありきというような気もする。

(7のフレーズは個人的には気にいったが…持続的がポイント)

プレスでは、現段階でお互いの株の交換比率がまだ決まってはいない。

しかし、今日の株式市場では金属は8%以上売られ、電線は19%近く買われた。

まあ、株式市場では買収する会社と被買収会社のよく見られる反応だ。

ただ、金属株は8%も株価が下がった以上、金属はなぜ電線が必要かを説明する必要がある。

本日金属は年初来安値を更新している。

唯我独尊ではすまされないだろう。

しかし、今回のポイントは両社とも日立製作所が51%以上株式を保有していることだ。

最後まで少数株主の動きは読めないが、両社過半数以上の議決権は既にとれている。

最近の日立グループ再編の動きで特徴的なのは製作所が直接介入することが少ないこと。

たとえば、

日立ビジネスソリューション(孫)は日立ソリューションズ(子)に買収させ、

新神戸電機(孫)は日立化成(子)に買収させ、

今回は金属(子)も電線(子)も対等とは言いながらも存続会社は金属である。

(過去の業績を見てしまうと救済合併の印象も受ける)

製作所(親)は一歩ひいて、再編の動きを見守る格好だ。

製作所自らは手をくだしていない。

上のような動きは、日立グループ内のビジネスのくくり直しの話である。

グループの事業ポートフォリオをどうしたとかいうようなドラスティックな話では決してない。

グループで事業ポートフォリオを整理しようとすれば子や孫会社を整理しておきたいのは分かる。

しかし、やはり今回のディールをみると少数株主はガバナンスがきいていないと見るだろう。

株価だけを見れば、金属の株主はアンラッキーで電線の株主はラッキーだったことになる。

金属の少数株主はファンダメンタルズを分析して好きで株主になったのにこの結果だ。

この結果は両社とも過半数以上占める大株主が日立製作所だから生じた可能性がある。

金属の役員で今回のディールに反対に回った人は果たしているのだろうか?

上場子会社のガバナンスが機能しているかの真価が問われている。