泉田良輔の考えたこと

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「ロボット時代を拓く」:ファナックはやっぱりアップルに似ている

ロボット時代を拓く―「黄色い城」からの挑戦 (1982年)

ロボット時代を拓く―「黄色い城」からの挑戦 (1982年)

私が理解をするのに時間がかかった会社は2社ある。

何度話を聞いても理解が進まない会社。

一社は任天堂。もう一社はファナック

ファナック創業者の稲葉清右衛門の「ロボット時代を拓く」を読んで訳がわかった。

2社ともイノベーションを生み出すべく生み出してきた企業だということ。

今ある延長線上で事業を考えていない、つまりそこには技術の「編集」がある。

「編集」というプロセスを経ている場合は、短時間に事業内容だけを聞いても理解できない。

会社哲学、歴史そして技術を一つずつ紐解いていかなければならない。

リバース・エンジニアリングを経て、更に今見ているモノを組み上げてくのである。

このプロセスを経ないと本当の理解ができない。

さて、ファナックがイノベーションの体現者なのはなぜか。

最大の背景は技術の会社でありながらR&DのDevelopmentに重きを置いていること。

稲葉氏はこうも言っている。

「Rは非常に基礎的な問題。必要であれば国家の研究機関や富士通研究所に依頼する。」

必要であれば外部のリソースを使い、自分たちは設計(デザイン)に専念すると言っている。

ファナックの設計(デザイン)の最大のポイントは部品点数を減らすこと目的にしていることだ。

設計(デザイン)がしっかりしていないとそのあとの製造工程ではコストを削減できないとしている。

「育ちより氏」だそうだ。

ファナックのNCは精度は抜群なのであるが、本当の強さは設計(デザイン)にあるのではないだろうか。

設計(デザイン)がしっかりしていからNCの精度も上がり、部品点数も下がり、コスト競争力がある。

アップルのiPhoneにコンセプトが非常に似ている。

デザインの完成度が高いので、無駄が少なくホンハイなどのEMSにも製造できる。

また、デザイン精度高い会社は利益率をコントロールできるようだ。

ファナックははじめに販売価格を決定して、利益率は原則35%と決める。

利益の絶対額が決まって同時に製造原価も決まる。

これを研究開発の段階で決定してしまう。

アップルのiPhoneの利益構成もご存じの通り。

技術面でも、ファナックは新しい技術に積極的に挑戦していく。

はじめはモータの技術変化。

電気・油圧パルスモーターから電気パルスモーターへ。

オイルショックを契機に大きな技術の変化を経験している。

また、これはファナックに限らないが、真空管から半導体を積極的に使っている。

ファナックは先端の技術の上手な編集を乗り切ってきたわけだ。

アップルも同じように最先端の技術をうまく編集してきた。

日立が開発したにもかかわらず、日本で見向きもされなかった低ポリ(LTPS)液晶。

いまやRetinaなんて呼ばれているが、日本初の液晶だ。

日本の電機メーカーには編集しきれなかったわけだ。

イノベーションの本質はあらゆる技術や情報の洪水の中から「編集」する作業だ。

ほとんどは無駄なものを切り捨てる作業だろう。

真のクリエーターや優秀な経営者は同時に優秀な編集者かもしれない。

日本からイノベーションが起きないなんて嘘だ。

気がつかないのはもうすでにみているからだ。